第2話【龍刀】
パチパチと音をたてて燃える家々、そこらかしこから聞こえる断末魔…アルドは呆然と立ち尽くしていた、そこに赤い刀身をした刀をもった男がアルドに近ずいてきた、その男はまるで炎を衣服のように着ているようだった、男は囁くようにこう言った「お前達は…災厄…生きてはならない」喋り終わった瞬間、男は刀をアルド目掛けて振り下ろした
「うわああああああ」アルドの叫び声が宿の部屋に響き渡った、アルドはあたりを見回したそこには椅子から転び落ちたケイがいた
「痛たたたた…」
「ケイ…大丈夫か?すまん、びっくりさせちまったな…」
「いや、大丈夫!アルドの方こそ大丈夫?物凄い叫び声だったけど…」
「ああ…大丈夫だ少し悪い夢を見ただけだ…そんなことより、自警団の収集はどんな要件だったんだ?」それを聞いた瞬間、ケイかおが曇った
「その事なんですが…アルドさん酒場に行きませんか?アルドさんの旅の話も聞きたいし」
「?良いけど」
「なら僕は外で待ってますね!」
「わかった、すぐ用意する」
数分後、アルドは外で待っていたケイと合流し酒場に向かった。
そこでケイはある話をした
「アルドさん…【龍刀】ってご存知ですか?」
「!?知ってるが…龍刀がどうかしたのか?」
「ご存知なら知っていると思いますが、龍刀は街一つを簡単に消滅させられる力があるといわれているんです。今、その龍刀を持っている人間が、この街にいるんです…」
「それが今から向かう酒場となにか関係はあるのか?」
「はい、さっきの自警団の収集は、この街にいる、龍刀を持っている人間に、何事もなく去ってもらうと言う事でした、それで今その人が酒場にいるという情報が入ったので、見張りに行くんです。なにかあってからでは遅いので…」
「なるほど、だからカモフラージュのために一般人の俺と酒場に…」
「すいません…利用するような事して…」
「いいよ、宿教えてもらった借りがあるからな」
「ありがとうございます!そうこうしてる間に酒場につきましたね」酒場に入ろうとした瞬間、凄まじい怒号が聞こえた
「テメェ!酒持ってくるのおせぇんだよ!この街と一緒に死にてぇのか!」
ケイとアルドは、酒場に入り、入口近くの席につき、怒号が聞こえたほうを向いた、するとそこには腰に刀をつけた大柄な男がいた
「腰に刀があるな、あいつがお前らが言う人間か?」
「はい、そうです」
「龍刀所有者だからって、偉そうな態度だな。まぁ、あの調子じゃ、酒飲んで、宿泊まって、すぐ出ていくだろ」
「そうだといいんですけど…」
「まぁ、怪しまれないように、なんか頼もうぜ」注文しようと、アルドが店員を呼ぼうとしたその時、また怒号が響いた
「この女!俺の服に酒こぼしやがったな!」女店員震え声で
「も、申し訳ございません!すぐにお吹きいたします!」女店員がタオルを取りに行こうとしたその時、男がにやけた顔で
「誰も拭けなんて、言ってねぇ」女店員は驚いた
「え?」そして男はこう言った
「吸い取れお前のその口でな、靴とか床とかにこぼれたのも、全部な」と言った、女店員は今にも泣き出しそうだった
「そ、そんな…」
「やらねぇのか?ならこの酒場をこの刀で消し飛ばそうか?」と男はニヤニヤとしながら女店員に言った
「あいつ…!」アルドは怒りで、今すぐあの男を殴りかかろうとしていた、女店員は震え声で
「分かりました…やらせていただきます…」と涙を零しながら言った
「ケイ、すまん、もう我慢できん!」と言って席を立ち男の席に向かおうとしたその時、ケイが男の席に向かっていた。アルドは困惑した、雑貨屋で「面倒ごとは嫌い」っと言っていたケイをアルドは臆病者と思っていた、だがアルドは男にこう言った
「それ以上横暴な真似をするのであればあなたを拘束させていただきます!」男は一瞬驚いたが、すぐにニヤつき言った
「テメェ…この俺がどんな力持ってるかわかって言ってんのか?こんな辺境の街ごとき、すぐに消し去る龍刀を俺は持ってるんだ、逆らったらどうなるかわかってるだろうな!」
「だとしても!ぼ、ぼ、僕は、自警団として、あ、あなたの行動を見過ごすわけにはいきません!」
「ほう、お前自警団なのか、どうせこの街を守るんだーとか言ってる偽善者の集まりだろ」と、男は笑いながら言ったそして笑いながら
「俺様は今気分がいい、自警団のガキ、土下座して、『僕は無力の集まりの自警団です。ペレス様には一生逆らいません』って言ったら許してや」ペレスと言う男が許してやると言いかけた瞬間、ケイがペレスの頬を叩いた、辺りは騒然とした、
「ふぅ…自警団のガキ…お前はタダでは殺さん」と言った瞬間ペレスは刀を抜くと同時に、ケイ目がけて切りつけた、ケイは自分の剣を抜こうとしたが、間に合わないとわかったのか、目をつぶって死を覚悟した
「キンッ!」っと鉄が弾かれる音がした
ケイは恐る恐る目を開けた、目の前にはアルドがいた、ペレスは呆然としていた、それもそのはずだった、アルドは何も武器を持っていないのだ、なのに刀が弾かれた、ペレスは困惑していた、その時アルドは口を開いた
「ペレスって言ったな、さっさと荷物まとめて、この街から出ていけ、でねぇと……力ずくでたたき出す!」と、アルドは言った、するとペレスは
「グアハハハ!なにも武器を持っていないテメェが俺様をたたき出す?やれるもんならやってみろ!」と笑いながら言った、するとアルドはニヤッと笑い言った
「言ったな?後悔するなよ」と言った、ケイは焦り
「アルドさん!やめましょう!武器がないアルドさんと武器のあるペレスとの差は歴然としてます!逃げましょう!」と、アルドに言ったが、アルドはケイに
「安心しろ、お前の故郷を消させはしない」といいアルドは右腕を横に伸ばした、その瞬間、アルドの影が右手を目指すように動いた、そして、なんと影から一本の黒い刀が出てきた、周りは騒然としていた、ケイは震え声で尋ねた
「アルドさん……その刀は……なんですか……?」アルドは再びニヤッと笑いながら言った
「これはな…龍刀だ!」と高らかに言った、酒場にいた人間、ペレス、ケイは黙るほどに驚いた
「そしてこの刀が…ペレスお前を切る…その前にサービスだ、10秒間だけ動かないでやろう」ペレスは
「言ったな!その10秒間でなるべく苦しみながら死ぬといい!」といいアルドに刀を振り下ろした、その瞬間アルドの影がアルドを守った
「な、なんだこれは!」アルドがカウントを始めた
「10!」アルドのカウントを聞いたペレスは刀をアルド目掛けて振り回した、だが全て影に弾かれる
「9!」ペレスの刀は影に弾かれ続ける
(クソ!なんで当たらねぇ!)
「8!」まだペレスは刀を振り続ける
(クソ!なんでだ!なんでなんだよ!)
「7!」
「クソがぁぁぁぁぁ!」
「6!」
「5!」5秒を数え終わった瞬間、刀が折れる音が聞こえた、ペレスの刀が折れたのだ
「な、俺の刀が…!」
「4!」アルドのカウントは続く
「くっ!」ペレスは逃げようとする
「3!」だがアルドはカウントを続ける
「うおおおおおお」っと叫びながら店から出ようとしたその時、ペレスの右足にケイがしがみついた
「逃がしません!絶対に!」
「2!」
「離せ!このクソガキが!」ペレスは左足でケイを蹴った、だがケイは全く離さない
「1!」ペレスはケイを何回も蹴りつけている
「時間切れだ…最低な豚野郎…」アルドは刀を抜き、一瞬でペレスと間合いをつめ、ペレスの喉元に刀を突きつけた、そして言った
「お前の龍刀、偽物だろ、龍刀はあんな簡単に折れたりしねぇし、なによりお前は【龍技】(りゅうぎ)を知らなかった、そしてなにより、お前みたいなクズ野郎に【龍の試練】で生還できるはずねぇ」ペレスは震え声で言った
「ヘヘへ、そうだ、俺の龍刀は偽物だ、だがそれがどうした!」アルドは呆れたように言った
「お前…いまどうゆう状況かわかってるか?俺は今すぐお前を殺すことができるんだぞ?」ペレスはニヤニヤとしながら言った
「俺は爆発魔法を使えるんだよ!こんな小せぇ酒場ごとき消し飛ばせる魔法をな!」酒場の客は騒ぎ出した、ペレスはさらに言った
「謝ってももう遅ぇ!テメェらごと吹き飛ばしてやる!」ペレスはそういい魔力を込め始めた
「アルドさん!逃げましょう!まだ間に合います!」だがアルドは冷静だった
「ペレス、お前に冥土の土産に教えてやろう、俺の龍技は【俺の影・俺の影が触れた影を自在に操ることができる】そして他人の影を操ると影を操った人間はその影の動き通りになる…ケイ…逃げる必要はねぇぜ、もうこいつは動けねぇよ、今俺が影を縛った」ケイはその言葉聞き、ペレスの方へ振り向くと、ペレスは魔力を込めていなかった
「これが龍刀の…力…」ケイは思わず息を呑んだ
「ケイ!今のうちに縄かなんかで縛っちまえ、ずっとは影は縛れねぇ」
「え、あ、はい!」ケイは急いで縄を取りにいき、ペレスを縛った、その後ペレスを自警団に連行し、ケイとアルドは宿に戻った、ケイは頭を下げ
「アルドさん、本当にありがとうございます」
「いや、いいよ、俺もアイツにはムカついてたし」
「でも、アルドさんが龍刀使いだとは思いませんでした…」
「まぁ、俺は龍刀使いだとか言いふらすもんでもないしな」
「それもそうですね…」
「あとケイ」
「はい、何でしょうか」
「俺はお前に旅の話をするって言ったよな?」
「はい」
「あれ無しにしてくれ」
「え…」アルドは背中を丸くして言った
「当然ですよね…僕のせいであんな事になってしまったんですもんね…」アルドは笑いながら言った
「なに勘違いしてんだ!俺はお前の勇気に感動した!俺がお前なら、あんな真似はできねぇよ!だから、俺と一緒に旅しねぇか?」ケイは顔を上げ、目を丸くして言った
「いいん……ですか?」
「あぁ、俺は今ある男を探している、その男を探す旅についてきてくれ!」ケイは何度も首を縦に振り言った
「ついていきます!いえ、行かせてください!」
「決まりだな!なら、一緒に世界を見に行こう!」
「はい!」
こうして、アルドとケイの旅は始まった、1人はある男を探す旅、1人は自分の成長の旅、目的はバラバラだが、この2人の出会いは必然だったのかもしれない…
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