第6話 後悔

この日、奥さんは夜中に目覚めていた。産休に入ったからなのか落ち着いていた感じで携帯をかまっていた。僕は奥さんが起きた同じくらいのタイミングで起きてしまったが、僕は目覚めた理由はストレスで胃が痛くなったからだ。

どうしよう。

それしか思わなかった。


夜中4時頃奥さんがトイレに行った。

僕は悪魔の誘いに自らのり、両親の返済分を抜き取った。

今日こそは…

2時間程眠気に負けた僕はいつも通りの時間に起きて今日が始まった。


パチンコの結果は、やっぱり負けた。

それでもどうしようと思ったが、なぜかバレてないと思い込んでいた。


時間がきたので諦めて娘を保育園に迎えにいった。あたかも仕事がキリよく終わったかのように…

そして娘と他愛もない話をしながら帰宅途中にあるトンネルを抜けた。


、、、

、、、


車を走らせたまま家出をしている僕はまだ路頭に迷っている。

奥さんと両親はお金を抜き取ってパチンコに行ってしまったんだろうくらいしか察してないようだが、2度目の多額な借金を今でも言えずにいる。自殺もやっぱり浮かんだ。ただ残された側の気持ちを知っている。

僕は離婚はしたくないけど、しなきゃいけないんだろう。

もし離婚してしまったなら、その理由を会社に知られ、会社にはいられないだろう。

また両親は何度裏切れば気がすむんだろうと愛想尽かされてるはずだ。

母さんからの優しいラインが正直辛い。奥さんのラインにも優しさが残っていて、やっぱり辛い。



ただ進む勇気がなく、進んだ結果の恐怖と最善策が思い浮かばず逃避している。ただ、もしいい方へ進んだらもっと自分を追い詰めたい。


「必死」

心ににタスキをかけ死にものぐるいで という意味だ。

僕はいままで何とかなるでやってきて何とかなっていた為に自分に甘く、ストイックに物事を進められなかったのだ。努力が実らないのは努力が足りていないからとよく言うが、努力も必死も自分の緩んだ定規で自分なりに測って、自分なりに解釈して、本気になっていなかった。


僕は今になってようやくギャンブル依存症だと気付いた。遅すぎた。2度も多額な借金を作ってようやく気付いたのだ。

これは恐らく精神的な病だと思う。

日本にも僕と同じようにパチンコ依存症、ギャンブル依存症の人はたくさんいるはずだ。そしてその家族の想い。

この後に及んでカジノができるかもしれないが、今は大大反対だ。


家族の笑顔が辛くなる。その笑顔を全部僕が壊した。

このお金があれば19万キロ走った車も替えれただろう…

結婚式すら出来ただろう…

もっとプレゼントあげれただろう…

もっと大切な人との時間を作れただろう…

マイホームの頭金くらいにはなっただろう…



万事塞翁が馬

ということわざが僕の座右の銘だ。

こんなマイナスな事があった先には相当なプラスの幸福が待っているはずだ。ただ奥さんと離れることがプラスなら受け入れるしかないだろう。

ナンクルナイサ〜では済まされないけど、今わかっていることは、

僕は世界一の奥さんに恵まれていて、最高な家庭を築いていたはずなのに、それを自分で台無しにして気づけなかったこと。幸せを感じててても小さな幸せに満足できなかったこと。

何回奥さんを泣かせればいいんだろう。。

ただパチンコに行かない。

ただ"これだけ"なのに、"これだけ"を守れなかった。



今日の天気は快晴で、日本海もとってもきれいだ。雲の動きも穏やかで平穏とした一日。まるで奥さんが泣き疲れて何も考えられなくなった景色のように感じた。

公園の駐車場で車中泊をしているが、他にも同じような車が何台かある。

理由は違えど、同じ立場なのかもしれない。


僕は本当に馬鹿だった。。全部僕のせいだ。

僕が起こしたこの自体が丸く収まったら、奥さんと娘と息子にどう顔負けができるだろうか。

僕が父親であることを忘れた日の積み重ねが、こんなにも簡単に崩すことができる。

そう、僕は彼女の幸せを自分の手で奪い去ったのだ。笑顔もこれからの明るい未来も全て。 辛い。

多分奥さんはもっと辛い。


もしこれを元に戻す事ができるとするなら何百年かかるんだろうか。


しかし、何百年かかっても償いたい。もうこんな事はやめよう。

一生この家族の笑顔の為に生きよう。


ただ、そう思えてる今はもう遅い。


もうしないと決めてパチンコ店に入った時、悪魔の契約を結ぶ直前、天使の囁きが聞こえないフリをした事を後悔している。


後悔と言う言葉では言い表せれないけど、明日全部を話そう。

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普通の暮らしができているはずだった 〜ギャンブル依存症が起こした悪夢〜 @rihaku--toho

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