第5話 悪夢再び

いつしからかまたパチンコ店に出入りするようになった。理由は2つある。一つは、毎月両親に返してるお金のせいで奥さんのお小遣いまでずっと少ないままだった。それでも奥さんは僕についてきてくれていた。

もう一つは、会社や友人との飲み会があった時お小遣いから出すのが決まりだ。もし同月に3回あったら何もできなくなる。毎日飲む発泡酒分と飲み会1回分で少し残るくらいだった。もう少し欲しい。これが本音だった。

自分のした事を棚にあげた激甘な考え方だ。

以前に、僕のお小遣いを減らして奥さんのお小遣いはもうちょっと貰ってくれと頼んだが断られた。 それも辛かった。


僕はお小遣いの範囲でやろうと思ってしまった。馬鹿だった。それが悪夢の始まりだった。


しかし、調子が戻ったのだ。1.5ヶ月分の給料くらいになったのだ。

パチンコで とは言えなかったから、もうつきたくない嘘をついてでもこの分を奥さんに渡そう。

そう思った。

しかしまた悪魔の小言が過ぎる。次行って負けたらどうする?

僕は馬鹿だった。軍資金の為にとっておいたのだ。そしてまた解約したはずのカードローンの会社と悪魔の契約を結んだ。


奥さんはたまに僕に問いかけていた。

あれからパチンコしてない?

借金も作ってない?

僕は嘘をついていたのだ。

嘘の毎日は少し曇りかかっていたように感じた。


そこから2年で今日負ければもう本当に返せないという状態になった。



それが昨日だ。しかしバレなかった。


以前の自殺未遂は流石に友人も心配してくれた。

お金なら俺たちでなんとかするけんもう死ぬとかせんで!

心に響いた。

それを思い出した僕は頼みにくいお願いだが、崖っぷちだ。

友達にお金を借りて封筒に返そう。そう思ったが、友達には新車買って結婚資金があるからと断られ、もう1人の友達にも今は持ってないと断られた。会社から借りようとも思ったが、社長はあいにく、今月半ばまでトロント・アメリカ出張で日本にいない。


終わった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る