わがままな人間は、大人が飛び越えない何かをふと飛び越えて、あやういところに行ってしまうかもしれない。この世の中にまだ染まりきっていない、不安定な何かを、ふと思い出した。不思議と、こういうのが心に残ってしまうのだ。
淡々と進む語り口調。それが物語を切なくさせます。出だしからして文学的なものを感じさせます。問いかけに見えて答えは知っている。そのように思わせます。そして結末の問い。物語を引き締める。脱帽します。是非読んでください。