毎日歩いていた通学路、くたびれた校舎の空気、埃っぽい校庭や、遊んでいるうちに段々と空が赤く染まっていく寂しさなど、読んでいるとあの頃の情景を思い浮かべて、とても懐かしく、すこしだけせつない気持ちになりました。
職業として小学生をするという発想がとても面白いです。
主人公の37歳の男性が真面目に「その仕事」に取り組んでいく姿は、傍から見ると少しこっけいな感じもして、にんまりとしてしまいます。
思い返せば、小学校の高学年から中学生というのは、勉強の成績や、異性のことを意識しはじめたりして、少しずつ一人で行ける場所が増えていく、大人になっていく、その一歩手前みたいな感じだったなと思います。
そんな多感な、誰もが経験したあの日々を、大人になってしまった主人公はどのように過ごして何を感じるのだろうと、この先どういうことが起きるのだろうと、楽しみにせずにはいられません。