現代を舞台にしたお仕事ものコメディ。
主人公が絶体絶命の危機に陥ったり、
地球の存続をかけた究極の選択を迫られたり……
といったことはなく、全編、安心して楽しめます。
この作品の魅力はずばりキャラの掛け合いや、
周りの個性豊かな登場人物に対する主人公宮田のつっこみなどだと思います。
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「なあお前これ出来る?」
友人も女には興味がなくなったのか、タバコをプカプカふかしながら言った。
「なんだよ」
「まあ見てろよ」
タバコをくわえながらしゃべると、友人はすぱすぱと何度か吸い、口の中に煙を溜める。うがいをするようにぷくぷくと頬を膨らませたりすぼませたりしてから、唇の隙間からぼわーっと煙を吐き出し、吐き出した煙を全部鼻から吸い込んだ。俺はブフッっと吹きだした。
(第一章 第1話 トイレは爆破していない より)
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「あ、寝袋持ってるんで、大丈夫です。途中で家に寄って自分の持ってきます」
「あれ、宮田君、意外とアウトドア派なんだ」
「いや前職でたまに使ってて」
「でも前職って、システムエンジニアだよね。……あっ」
やめて。そのわざとらしい「……あっ」やめて。言っちゃいけないこと言っちゃった顔やめて。
そうですよ、徹夜で仕事してる時に仮眠する時に使ってましたよ。椅子並べて寝たりするよりも寝袋ですよ。
(第二章 第1話 新兵器か、ただの嗜好品 より)
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などなど
どのページを開いても、このような感じの会話がポンポンと繰り広げられていて、
詳細な描写などなくても、どのキャラがどんな表情でこのセリフを言ってるのかなど
ありありとイメージができます。
それくらいみんな個性的なのです。
ちなみにわたしのお気に入りは、高口青年です。
最終話にもでてきてうれしいです。
他のみんなもそれぞれ味があって、大好きです。