「ナニコの能力はなんだと思う?」

ある日の帰り道、升野はまたいやらしい顔つきで言った。

「うーん……。わかんないけどお前の能力なら『ギフト』か『スクラップ』かだけはわかるんだろ」

俺は考える振りだけして、升野に丸投げする。

「まあ、そうだけど」

升野の能力は、〈対象の能力が、有用な『ギフト』であるか、無駄な『スクラップ』であるかを見分ける〉というものだ。

一見、便利な能力に見えるかもしれないが、使いどころはほぼない。

なぜなら、才気溢れる『ギフト』の持ち主はそれぞれの分野で輝かしい結果を残すので誰の目にもその能力がわかるし、特定の誰かの能力が『スクラップ』であることを看破したところで何の意味もないからだ。

つまり升野の能力もまた『スクラップ』であった。悲しいことだが、俺には同情する資格もない。俺自身『スクラップ』持ちなわけだし。

「まあ、どうせ『スクラップ』持ちだろ」

俺が吐き捨てるように言うと、升野は苦笑いした。

「お前、それが恋する人に向けて言うことか」

「事実だからしょうがない」

升野の『恋する人』という言い回しに若干背筋がひんやりとしたが、あえてスルー。

すると、升野はなぜか少し困惑したように頭を掻いて、言った。

「……ナニコは『ギフト』持ちだよ」

——え?

うっそだぁ。

「本当だよ」

升野の顔はマジだった。

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