第13話

(13)


二人はキスの合間に会話をします。変わり果てた日本語では皆さんに通じないので僕が翻訳しますと、

「昔、歌が大きな音で町中で流れてたって信じられません」

「それはものすごく恥ずかしい事です」

「もうちょっと歌いましょう」

「私は嫌です」

「またあ」

「やめて下さい」

「またまたあ」

「本当にやめて下さい」

「そうやけん、抱いてくれんね真介しゃん」

「やめないで」

「どうせ汚れて」

「しまうけん」

「織江も」

「大人に」

「なり」

「まし」


ここで耐えられなくなった二人は熱い熱い口づけを交わします。男の子は女の子のおっぱいまで揉んでいます。あららら。こうして人類は少子化の危機を乗り越えたのでした。


これは欧米でもアジア諸国でも似たような傾向があり、今では世界的に「Pops」と呼ばれています。その国で昔消費された音楽は、今では人の記憶を媒体としています。


だからこの時代の若い男女は古い歌にものすごく詳しいという事になります。詳しいだけではなく、歌も上手い。じゃないと恋が覚めるのです。霊長類ホモサピエンスは少子化による絶滅の危機をこうして乗り越えたのです。決して学校でPopsは教えません。音楽の授業もこの頃は廃止になっています。歌は自ずからとっても恥ずかしい文化になる事によって、人類を絶滅の危機から救ったのです。

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2081年のドナ・リー @ITOPAN

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