読む人の年齢や知識、状態でその都度変わるのが小説の醍醐味。
いい本とは「繰り返し読める本」だと、自分は思っています。
アルミという少女と、カビと埃にまみれた薄汚い絵本。
キャラクターの内面だけでなく、多くの情報を内包してます。
例えば、精密機械だらけの宇宙ステーションで、カビと埃?
そのことが、自然とアルミたちの過酷な環境を伝えてきます。
絵本の逸話、最低な環境のステーション、取り残された焦燥感…
なんて優雅で豊かな小説表現でしょう…相変わらず素晴らしいです。
この作品はきっと、多くの年代に愛され、繰り返し読まれる物…
そんな勝手な予感すら感じてしまいます、二章も導入から最高です!
作者からの返信
コメントありがとうございます!
過分なお言葉をいただいた気がしますが、ほんと長く読み継がれるような本にならないものかなあと。概ね時代が変わっても価値を失わない、普遍的な物語を書いているつもりではあるのですがw
この絵本はステーションに逃げ延びたとき、別の子供が持っていたのが廻り巡ってアルミの所有に帰したもの。そこにも描かれないいろんなドラマがあるのです。
表紙の焦げ茶色のシミは、血痕かもしれません。
なろうにある短編版と違ってアルミが熊を思わせる義体に入ることは多分ないのですが、人ならぬ異形に身をやつして苦難の旅をする、という意味では、熊皮男の絵本の寓意は依然生きています。この後どうなりますか、引き続きごらんください……!
おおっ、ついにアルミちゃんが!
作者からの返信
はい、いよいよ登場です。無重量のステーション内でくるくるスピンする絵本のイメージ、この章でとても好きな部分なのです……w
章の切り替わりと共に、展開に溢れた異なる視点の物語。
圧倒的な存在感と共に、先が気になって仕方ない導入ですね。
作者からの返信
こんな状況で10年も過ごしたら正気を保てる自信がないですが、彼らは頑張っています……これは冒頭描かれたクルベたちの漂流の、変奏でもあるなあと自分で思いますね。今後も何度となく同じモチーフが現れることでしょう