最新鋭人型兵器グレートフォース

浮遊僧

第1話「グレートフォース発進!」

最前線の軍事基地ベースワンに突如けたたましいサイレンが鳴り響き、

人々の声が飛び交った。


「敵襲だ!」

「迎撃部隊の発進を急がせろ!」


その地下深くでパイロットスーツに身を包んだ男が

不気味に光る黒い機体へと乗り込んだ。


「ククク、ついにこの時が来た!

 グレートフォースの力、思い知るがいい!」


その足元で白衣をきた男が機械を操作しながら無線で話しかける。


「機動力、パワー、耐久性どれをとっても敵機の倍以上の性能じゃ。

 返り討ちにして華々しいデビューを決めて来い!」


基地の管制制御システムが流す無感情な女性の声が響く。


「グレートフォース発進シーケンスを開始します。」


「各種チェック異常なし、リフトへの固定を完了。」


「ハッチ開放に失敗。ハッチがロックされています。」


「発進シーケンスを中断します。」


「敵機の接近を確認。」


「地上部隊が交戦状態に入りました。」


パイロットはたまらず声を荒げる。


「何やってんだ!ハッチが開かないなら壊して出ていくだけだ!

 いいから発進シーケンスを続けろ!」


再び管制制御システムの無感情な女性の声が響く。


「ハッチ開放フェーズをスキップ。発進シーケンスを再開します。」


「リフトアップ、スタンバイ。いつでも発進できます。」


パイロットの男が操縦用のレバーを握りしめる。


「グレートフォース!発進する!行くぜオラァー!」


凄まじい音と振動を残し、リフトがグレートフォース乗せて急上昇して行く。


やがて静けさを取り戻した地下空間に

再び管制制御システムの無感情な女性の声が響く。


「地上部隊が壊滅。基地施設の大半が損傷した模様。」


「敵機が去っていきます。」


白衣の男が叫ぶ。


「何をしている!グレートフォースはどうなったんじゃ!」


再び管制制御システムの無感情な女性の声が響く。


「グレートフォースはハッチ付近にてロスト。

 ハッチを破壊できずに衝突して大破した模様。」


白衣の男が叫ぶ。


「あ!そうじゃった!

 ここのハッチは特別にスーパーハードコーティングを施したんじゃった!

 ワシとしたことが、ついうっかりしとったわい。」


再び管制制御システムの無感情な女性の声が響く。


「敵機がレーダーの索敵範囲外に出ました」


白衣の男が一人ごちる。


「さてと。地上はもうだめそうじゃし、ここから救難信号を出しておくかの。」


白衣の男が非常時用の赤いボタンを押す。


再び管制制御システムの無感情な女性の声が響く。


「ハッチのロックが解除されました。」

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