第20話 午後の部
昼飯を食べ終わって最初の競技は三年のみの出場なので、特に話すことはない。そういえば、昼になって気付いたのだが、どうも西園寺の姿が見当たらない。体育祭すら来ないなんて自由気ままにもほどがあるだろうに。確かにあいつが体育祭の練習しているところは見たことがないな、うん。逆にあいつが汗水垂らして練習してたらおかしいな。
そんなことはどうでもいい。そしていよいよ俺たちの出番、騎馬戦である。しかし、ここにきて三浦がとんでもないことを言い出した。
「ジャージ重くて邪魔だし脱ごうよ」
おいおいおいまて。仮にも外だぞ。脱ごうなんて発想になるのが驚きだ。
「でも濡れたジャージって重いだろ?それに他の学校は裸でやるらしいし」
それは男だからだ。俺だって自分が脱ぐ分には全然構わない。問題は下着姿の三浦が俺に乗ることだ。俺の必死の制止を無視して三浦はさっさとジャージを脱ぎ、オレンジ色の下着を露わにした。そして、さらに悪いことに、それを見た他の女子共が便乗して脱ぎ始めたのだ。本当に集団心理って怖いな。
「おい裕樹!!女の子たちが下着姿でびしょ濡れだぞ!!おい裕kっ……」
加藤にはしばらく黙っていてもらおう。安心しろ、軽く気絶させただけだ。
さて、というわけで、俺もパン1になり、下着姿の鈴川と手を繋ぎ、その上に三浦を乗せた。予想通り、三浦のお腹とパンツが後頭部にぶつかる。女子のパンツってこんな肌触りなのな。敵の騎馬も揃いも揃って下着しか纏っていない。俺にとってはある意味恐怖だ。
「つっこめ~!!」
三浦の指示で相手の騎馬の間へ突っ込んでいく。予想以上に三浦は活躍し、次々に敵のはちまきを奪い取っていく。俺も敵の土台の乳に挟まれながらも、なんとか三浦の指示通りに動く。後ろは三浦のパンツ、前は敵の胸で、まさに俺の頭部は四面楚歌だ。結果から言って、三浦は相手の半分以上を壊滅させ、他の味方が残りを抑え込み、圧勝となった。それまで濡れるのを必死で避けてきた俺だったが、まったくもうどうしようもないほどびしょ濡れになって、吹っ切れた。
さあ、残りは選抜リレー。我らが学級委員、坂下が出場する。最後の種目とあってギャラリーも大盛り上がり、雨足も最高潮だ。坂下は二走目。割と大事なポジションだ。スタートの合図と共に第一走者が走り出す。もちろん、先程の三浦の影響で、リレーに出場する者も全員下着しか着ていない。2チームしかいないため、迫力に欠けるが、それでも熱気が伝わってくる。第一走者は両チーム拮抗していて、並んだまま第二走者へ継がれる。坂下はバトンパスをうまくこなし好スタートを切って、相手より体一つ分飛び出た。そのまま足場の悪いトラックを泥を跳ね、乳を揺らしながらかなりのペースで走り抜ける。そして、リードしたまま第三走者へ受け渡した。坂下で勢いづいた我がチームは、そのまま二年三年も健闘し、見事先にゴールを決めた。その時の耳が痛いほどの歓声と言ったらもう。こうしてB組を含む我がチームは完全なる勝利を掴み取ったのだった。めでたし。
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