第16話 絶対領域☆
その日は春だというのに各地で夏日を記録する気象であった。エアコンが中途半端についてるだけじゃ涼しくもなんともない。それは確かなんだが……だからといってスカートを大っぴらにパタパタとめくるのはどうかと思うのだが。もうパンチラどころの騒ぎではない、パンモロだ。
「おい、三浦、パンツがモロに見えてるぞ」
相手が三浦だから単刀直入に指を差して言ってやる。三浦は馬鹿にしたように俺の方を見てニヤニヤしてくる。
「別にいまさらでしょ?お前いつも着替え見てんだから」
そう言って三浦はスカートで扇ぐのをやめたかと思うと、あろうことかスカートを上までたくしあげて俺にパンツを見せてきやがったのだ。いや、わざと見せるとかもうおかしいだろ、女子としていろいろと。
「着替えてるときは不可抗力だが、そうでないときは少しくらい自重しろ」
「え?何?恥ずかしくなってきちゃった?」
俺の冷たい目線をどう間違えたのか、三浦はスカートを100%たくしあげながらオレの方へ近付いてきた。机で頬杖ついている俺から見ると、目の前にパンツが迫ってくる。……前のところにリボンがついてる「ザ・パンツ」みたいなパンツ、本当に穿いてるやついるんだな。
「なあ」
「どうした?」
話しかけるだけで三浦はにやにやしている。残念だが俺は恥ずかしいだとかは微塵も思っていない。
「汗臭い」
「はあ!?」
流石に効いたのか、三浦は真っ赤になってスカートを元に戻す。いくら女子とはいえ汗はかくものだからな。三浦みたいに動き回ってれば余計。
「おまっ、仮にも女子に汗臭いとは何事だ!」
三浦はそのまま風が吹いているわけでもないのにスカートを上から押さえて、俺の方を真っ赤になって睨みながら教室を駆け出していった。はっはっは、墓穴を掘ったな。俺はしばらく勝ち誇った気持ちで満ち溢れていたが、後から冷静に考えると、あれだ。すごくどうでもいい。
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