第15話 ツナ轢き
さて、ネット生放送を見るために素早い動きで階段を駆け降り、昇降口を通過してくると、校庭に太い綱が一本出されていた。昨日まではなかったから、今日出したんだろう。左右それぞれ15人程度、綱を持って、開始の合図を待っている。その中でも近藤の胸の大きさは群を抜いていた。
「はじめ!」
実行委員会だか何かのやつが合図をし、双方共に綱を引っ張り始めた。中学のときのようにキャーキャー言いながら適当に引くのかと思いきや、ちゃんと腰を落として体重をかけて引っ張っているのには少しばかり驚いた。女子の場合、力には期待できない。生物学上脂肪が多いのだから体重で勝負するのが一番だ。と言っても、あの重そうな胸の部分の重さが綱にかかっているかどうかはよく分からないのだが。
……にしても、なんで近藤のやつはニコニコしながら綱を引っ張ってるんだ?笑ってたら力が入らないだろうに。でも、ちゃんと掛け声に合わせて体重をかけているようだ。体重をかける度にその豊満な胸が上下に揺れる。なんだか、こうして見ると巨乳な女子もなかなか大変そうであるな。
というか、三浦に騎馬戦以外ならなんでも、とは言ったが、綱引きも綱引きで男が一人混ざるのはかなり厳しそうだ。強いて言えばリレーならばそんなに揉みくちゃにされなくても済むか……。なんて考えているうちに、決着はつき、近藤のいるチームの方が勝ちとなった。
近藤は仲間たちとハイタッチを済ませると、こっちの方に手を振ってきた。俺の後ろに誰かいるのかと思ったが、周りには誰もいない。ということは俺に対してか!つまりそれは最初っから俺が見ていることに気付いていやがったのか!そう思ったら急にこっぱずかしくなって、軽く右手を挙げ、身体を翻してダッシュで校門に向かった。
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