第13話 女の子の日
体育の後の教科は大抵眠くなるもんだ。国語か英語ならば尚更。今日のように数学なら、ギリギリのところで意識を保つことはできる。
「はあぁぁぁあああ」
……さっきから隣の席の奴が机に突っ伏して溜め息ばかりついていて、気分がよろしくない。別に授業に集中しているわけじゃないが、隣で唸られたり溜め息ばかりつかれても困る。
「……おい、楠木、さっきから頭抱えて何してんだよ。具合悪いなら保健室行け」
話しかけてみると、楠木は机からゆっくり顔を上げた。いつも半開きの目が更に細くなっている。
「あー……具合悪いには悪いけどさー……保健室っつーのもなー」
なんだよ、そんなうなだれてるくらい具合悪いならさっさと保健室行って寝るなり帰るなりすればいい。
「具体的にどこが悪いんだ?気持ち悪いのか?」
「あー、まあ気持ち悪さはあるけど、一番はお腹だわ」
「腹痛いならトイレ行ってくればいいじゃんか」
「そーゆーもんじゃなくてね……」
楠木は「はあ」と俺の顔を見て溜め息をつく。なんだ、今の溜め息は具合悪いからか、それとも俺に対してか。どうでもいいからさっさと保健室行って休めばいいだろうに。
「はっきり言わないと分からないかね~?今日うち生理なんだわ」
生理……さいですか。いや、俺だって中学の保健の授業の内容は大体覚えてるが、生理ってそんなつらいものなのか……?まあ俺は男だからそのつらさはよく分からないけども、1ヶ月に一回、それがあるわけだろ?だったら、あまりにつらいと1ヶ月に一度、こう楠木みたいに悶絶するわけか?
「あー、じゃあ後でオリモノ見せたろか。男は見たことないだろ」
やめて頂きたい。こう見えて俺はグロいものには滅法弱いのだ。そんな大量の血を見せられようもんなら卒倒するだろう。いや、そうじゃなくともそんなものは人に見せるもんじゃない。
「そーゆーことだから、ほっといて」
そう言うと、楠木は再び突っ伏して溜め息をついた。俺も真面目に授業を受けようと前を向くと、前の席の鈴川が俺の方を見て笑いを堪えていた。
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