第10話 種目決め
「体育祭の種目決まったぞ~!大岩、お前騎馬戦な」
三浦が走って俺の机に来たかと思うと、唐突にそんなことを言いやがる。いやちょっとまて、俺は騎馬戦だけは嫌だと言ったはずだが。
「しょうがないだろ~?他のやつらの意見聞いたらこうなったんだから。文句言われても私が困る」
他のやつらの意見は俺の意見より優先されるのか!?いやしかし、これで下手に騒ぎ立てればクラスメイト全員を敵に回すような気がするからぐっとこらえた。
「大丈夫だよ、図体でかいお前を上に乗せるわけないだろ?私が上に乗るから、お前は千鶴と騎馬を作ればいいの」
「大岩くん、よろしくね」
いやいや、極力女子との接触を避けてきたのにそれでは急に密着してしまうではないか。本来なら頂けない。でも決まってしまったものはしかたがない。はあ。
確かに三浦なら身軽そうだし、帽子の取り合いも得意そうである。だが、やはり女子に上に乗られるというのはMでもない限り好かないな。それに、だ。鈴川と騎馬を作ると言っても俺の方が力があるだろうから、前を担当することになるだろう。そうなると必然的に、上に乗る者のあれやこれやが後頭部に当たることになる。男なら、当たろうが潰れようが構わないのだが。考えれば考えるほど嫌になるだけだ。
「やってくれるよな」
三浦と鈴川に見つめられ、もちろん、俺に拒否権があるわけもなく、ため息をついて了承するしかなかった。
その後もいろいろと大変だった。体育祭まで一週間というところで三浦が自主練しようなどと言い出し、練習を始めたものの鈴川の腕の力が足りなくて騎馬を組んでも三浦が乗るとすぐに崩れてしまう。どうしたものかと思案した後に俺の方に体重をかけようなんてことになり、そうして騎馬は安定して組めるようになったものの、三浦のあれやこれやがより頭に密着するのは言わずもがなだ。俺も俺で、三浦も気にしていないことだし、純粋に競技に打ち込もうなどと気合いを入れようとしたのだが、練習の最後の最後で三浦に「頭を変なとこにくっつけすぎ!」と指摘され、何故か次の瞬間、反射的に謝っていた。だったら前に寄りかかってくるな!というかそもそも騎馬戦をやらせるな!
さて、体育祭本番が一週間後に迫っちゃいるが、どうなることやら……。
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