第6話 おっとり系
さて、朝は割と早めに登校する俺なのであるが、その日は既に一人来ていて、一時間目が体育ということもあり、そいつはもぞもぞと着替えていた。週に三回体育があるのは運動不足解消には嬉しいのだが、着替える時間が多くなるため、必然的に下着姿を拝む時間が増えてしまう。
俺はささっと1分とかからずに着替え、やることもないから化学の予習を始めた。もちろん断じてやってるフリではない。
……と、勉強で忙しい俺の元へ、さっきのやつが近付いてきた。その姿は上半身はジャージの長袖、そして下半身は下着という、なんとも珍奇な格好だった。袖は長すぎるのか手が袖の中に隠れている。
「ね~ね~、私のジャージ知らな~い?」
開口一番そんなことを聞いてくる。そんなことを俺が知っていてたまるか。坂下と同じくらい発育のいい胸には、緑で「近藤」と刺繍してあった。姓さえ分かれば思い出せる。確か近藤みなみだったか。
というか、そもそもジャージがないのなら着替え始めなければいい。何故わざわざそんながさつな女子が自分の部屋でするような格好をするのか。そのとろんとした目は何を考えてるのかよくわからない。
「そっか~、変なこと聞いてごめんね~。どこいっちゃったんだろうな~」
変なこと聞いてる自覚はあったのか、と妙に感心していたが、近藤はあろうことかその格好のまんま廊下へフラフラと歩いて出て行ってしまった。恐らく別のクラスのやつから借りようとしているのだろうが、とにかくスカートの一枚くらい来たらどうなんだ。
まあ、邪魔者はいなくなったことだし化学の予習をしよう、と教科書を開いたのだが、結局近藤のジャージの行方を考えている内にHRの時間になってしまった。天然娘って恐ろしい。
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