第5話 真面目委員長系
さて、今日も1日だらだらと授業を受け、何事もなく帰ろうとしたわけだが、教室をいざ出ようというその時に、誰かに肩を軽く叩かれた。振り返ると、そこにはまあはちきれんばかりの胸……いやいや、清楚で真面目そうな雰囲気を全面に押し出したような女が立っていた。流石にこいつには見覚えがある。確か学級委員長の坂下桃華だ。
「ちょっといいかしら」
「ん?なんだ?」
正直さっさと帰って寝たいのだが、そんなことをできるわけもなく、仕方なく聞き返す。
「職員室から丸付けを終わらせたドリルを運んでこなきゃいけないんだけど、手伝ってくれない?」
「なんだって俺を?」
俺以外にも戦力になりそうなやつはいくらでもいると思うのだが。
「一応力仕事は男の子に頼った方がいいと思って……迷惑だった?ごめんね」
坂下は俯いて、顔をちょっと赤らめる。委員長よ、そんな顔しようと何しようと、あんたらが人目気にせず下着姿で教室を歩き回ってるのを1ヶ月見続けてるからな。このくらいで顔を赤らめるなら下着姿でうろつかないだろ!
「いや、迷惑じゃないけどな。まあそういうことなら手伝わんでもない」
「本当?ありがとう!」
俺の上から目線の返しにも礼をしてくるあたり、いいやつだとは思うのだが、いかんせん下着のイメージが離れない。委員長だからといって白、というわけではないらしく、坂下はいつも寒色系のものを身に付けてくる。
……何度も言うが、俺は見たくて見てるわけじゃないし、興味があるわけでもないぞ。不可抗力だからな。
それでもって、ドリルを教室まで運んだわけなのだが、運んでる最中はアニメのようなラブコメハプニングのようなものが起こるわけがないのはもちろん、一言も会話を交わすこともなく、最後にもう一度深く礼を頂き、そのまま帰ることになったのだ。
……しかし、やはりクラスメイトの顔を見て下着の色を思い出すなんてのはいささか変態じみてる気もするが……もう一度言おう。これは紛れもなく完膚無きまでに不可抗力だ。異論は認めぬ。
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