第3話 アグレッシヴ系

 鈴川が俺の宿題の解読に勤しんでいる最中、今度は別の女子が俺の机の元へやってきた。例の如く、下着しか身にまとっていない。やれやれ、本当にこの学校はどうかしてるぜ。女子校ってみんなこんななのか?

「大岩~」

 親しげに話してきてくれるのは別にいいのだが、恥ずかしい話、入学してから1ヶ月だというのに鈴川以外のクラスメイトとろくに話した試しがない。それでもって、失礼なことは承知の上だが、今話しかけてきたこの貧乳犬歯チビアグレッシヴ系娘の名前も覚えていない。それどころか、クラスメイトの名前は鈴川以外分からない始末だ。

「……誰?」

「私の名前覚えてないの!?自己紹介んときにめっちゃ大きな声で言ったと思うんだけどなあ」

 声の大小はこの際関係ないのだが、まあそれは言わないことにしておく。

「三浦胡桃だよ!名前からしてお転婆そうだってよく言われるって、自己紹介で言ったろ?」

 確かに言われてみればそうだったような気もする。三浦だな。もう覚えた。

「で、その三浦が俺になんの用だって?」

「ほら、私体育委員でしょ?体育祭の種目を決めなきゃなんないんだよ。どれに出たい?」

 三浦に渡された紙にざっと目を通す。リレーに綱引きに長縄に……特にこれと言ってやりたいことはない。しかしながら、女子だらけにも関わらず騎馬戦があるなんて信じられん。殺気を纏った女共に揉みくちゃにされるのは死んでも嫌だ。

「騎馬戦以外ならなんでもいいや」

「騎馬戦以外ね。わかった」

 三浦は話が終わるや否や、ぴょんぴょんと飛び跳ねて移動して、他のクラスメイトたちにも聞いて回っている。全く動物みたいな奴だ。

 それはそうと、俺は無意識に三浦の胸を見ていた。いや、別にロリに目覚めたとかそういうことではないのだが。俺には姉がいるものだから、正直女の下着だなんだは見慣れている。しかし、三浦のそれは姉や鈴川とは違う……中学生、いや、小学生にも見えるようなそのフォルムがなんともなしに珍しかったのだ。

 もちろん、本人が気付く前に再び外に目線を移したが、まあ下着で歩き回っているくらいだから別に見られてもいいんだろ、と開き直ったのだった。

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