第7話 夢のノイズ

 再生した細胞が、別の春を待ち構える。

 ここには違う時間が流れている。


 深海のような青がいい。

 そこには沢山の魚が棲むから。

 深海魚と同じ部屋に棲むんだ。

 1000mの海の底で。


 冥王星さえ沈むその場所で。

 一度眠ったら眼が覚めない。


 青いラジカセから聴こえる 真冬の白い風のような音。

 目蓋の裏は別の場所になる。


 鳥のように翼がなくても 低空飛行で宙を舞う。


 月の欠片が降る夜に 水の底に沈んだ化石が真っ青な夜の夢を見る。

 

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物語を紡ぐ 遠堂瑠璃 @ruritoodo

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