第44話おロスこロス

本日の一品:冷汁


アジの干物一尾を焼いてほぐす。面倒であれば鮭のほぐし身などを利用するのも良い。勿論塩サバなどで作ってもこれはこれで美味。

解した身と味噌、胡麻をすり合わせて、胡瓜、茗荷、大葉等の薬味と合わせて水を注ぎいれる。

後は氷を浮かべて冷やして、麺のつけ汁やらごはんにぶっかけて食べる。


個人的には胡瓜は古漬けを入れてみるのも好きだ。あえて奈良漬とかを細かく刻んでみるのも味に変化があってよい。

夏の昼餉によいものである。冷汁片手に常温の日本酒なども悪くない。

と言うと私が呑み助と思われてしまう。 



本文

 商売という物は必ず売れるという物ではありませんで、売れ残りとか廃棄が出る物でございます。今日はロスについて騙ると致しましょう。因みにタイトルが物騒なのは特に意味はございません。決して子供をおろすとかころすとか・・・・・・・・・・・・・


 鮮魚という物は消費期限が短い物でして丸物、切り身で数日、刺身などに加工すると当日中に食べるのが当然とされております。下手すると当日中に食べる物しか売らない店という物もありますしそれに疑問を持たないお客様ばかりでございます。

 まぁ、時折消費期限過ぎても食べれるでしょとかあさって食べるから刺身用意してとかと言うお客様も見かけるのでございますが、これはご丁重にお断り申し上げております。

 そんな消費期限が短い商品を扱っております関係で発注管理とか生産管理と言うものが一介の職人だったりパートにも必須の技能として理解せざる得ないわけで・・・・・・・・・・


 多すぎても廃棄ロスで泣きを見ますし、廃棄を恐れて作らなくても売れていたのにチャンスロスだなんて色々言われるのでございます。この辺のさじ加減を売り場責任者一人に負わせるのは酷なので実際作っている作業員や販売員が状況を見て情報を挙げたり提案しなくてはならないのであります。

 その辺のむずかしさが鮮魚の不人気の一つであったりするのですが、逆に並べているだけで金を貰っている日配やなんかの連中より給料あげてほしいかなと思っているのですが生鮮手当という物は安いんですよね、コンビニのバイトの方がまだいいと言った塩梅で。不人気なんだから人数無くても賄えるようにするか給料あげて人呼ぶか・・・・・・・・・今いる人員では大変すぎて抜けられて・・・・・・とデススパイラルとなっても知りませんよ。人がいないからって他部門でもてあましているのを入れるとかこの店は鮮魚潰す気なのかと問いたい激しく問いたい小一時間ほど・・・・・・・・・・・

何処の店かと実名上げたら私、店と当の従業員から訴えられても勝てないですね。この営業戦略ミスからのロスについてはフォローしきれませんし・・・・・・・・

そもそも私に残業させないで私のいない時間の事を任せたなんてと言うのは無理でございます。私の身上はタテでございますゆえお間違えなきよう。


 さて、廃棄ロスになった商品をどうなるかと言われればゴミですな。

作っても売れなければゴミ、とてもシビアな現場でございます。その原因としては仕入れが多すぎだとか無理やり詰め込まれた送り込みだとか、売り場面積と来客数の乖離とか色々ございますが現状といたしましては鮮魚という物に食物としての魅力を感じなくなっているお客様と言うのが一番の原因でございましょう。

 まず第一に単価、そこらの輸入肉なんてものはグラム百円もしないで手に入る物がある一方で魚なんてもので百円で手に入ると言ったら・・・・・・・鯵・鰯が一尾だなんていう貧相な結果に、それを可食部分をグラム単価で見てみると・・・・・・・・とても悲しいことになります。計算結果は言いたくないです、言わせないでください。塩鮭なんかも一切れ百円程度で手に入りますが一切れ70から80グラム位(製品や店舗により差がある。)なので更に並べてみたときに悲しいほどみすぼらしく・・・・・・焼いてしまえば縮んで60グラム位どこの糖尿病患者の治療食だと文句をつけたくなるものであります。では、可食部分だけと言う状態になったらどうなるのでありましょうか?例を挙げるならばマグロとかカジキ、グラム単価が数百円となります。ちょっとして和牛並ですね。勿論安いのもありますよ、サメとか・・・・・・・・これは食べ方知らないとか美味しくないというイメージが先行してまして売れていないのであります。出来たては美味しいのに。

 第二に調理、魚料理と思い浮かべるとレパートリーが出ませんと言うお客様がちらほら。アジならば焼くか刺身か・・・・・・・・・フライなんていう事もありましょうが油を使うのが面倒くさいのでと敬遠されていたり、アジの料理だけで5種類ぐらい思い浮かべばその人は立派な料理上手なんて言われる状況であります。私ですか?アジ料理だけで十やそこらのネタはございますしその派生形を含めればひと月くらい別な料理を提供するくらい(一日一食程度で)何とかなりそうですがこれは別の話。他にも調理の際に下処理が面倒だとかゴミが出るとか・・・・・・・・・どこぞのスーパーでは魚屋に丸投げして下処理してもらえ等とタレントに言わせている映像がエンドレスで流されているのはその世相をよく表しているのが良く判ります。

 第三に品質。これについては天然物が多い魚に求めるのは酷な物でございましょう。産地時期、漁法等々一つ取りましても違うとなれば味わいに格段の差が出てきますし、それを目利き出来る目を持ったお客様なんてものは特に少ない者でございます。下手すれば従業員ですら大して見る目を持っていないのが多いので魚の味はあてにならないなんて言われることしきり・・・・・・・これは我々の方でも重要課題なのでありますけど若手の離職率が高いし教えても味覚音痴が多いし・・・・・・・お前等ジャンクフードの食い過ぎだ!脂っこければうまい?ならばサラダ油でもなめて居れ!とか言いたくなるのを押さえて押さえて包丁の柄がぴしりと言うのは私自身驚いてみたり(実話です。包丁の柄が砕けました)


 そんなロスでごみになった魚を従業員が手に入れてとかいうのは昔はよくあったらしいのですけど今では・・・・・・・・・・色々ありまして禁止となっておるのであります。その色々とは何か(お察しください)

 端的に言えば持ち帰ったものをお裾分けして問題があったとか、その手の事である。

 賞味期限だとか品質だとか・・・・・・・・・・説明もなしにとか説明を聞かない馬鹿にお裾分けしたとか・・・・・・店舗側としては自衛のために廃棄にせざる得なくなったようで・・・・・・・・・後は万引き対策ですね。万引きと軽く言っても横領だの窃盗罪の範疇なので少しくらいで目くじら立てるなとか言いそうな婆連中は置いといて、洒落にならない額をおみやにしているのがいまして楽しいことになっていたそうでございます。

 わたし?そりゃマグロのアラの一番良い部分を取り置きしたり、ブリの一つを原価ギリギリで買い取ったりしたことはありますけどちゃんと店側の許可は得ていますよ。その分包丁で利益稼いでいますし。其処は包丁の特権と言う事で・・・・・・・・・・・

 ずるいとかいう声は聞こえませんなぁ・・・・・ 聞こえているけどなんとも心地よい声である。これぞ技術特権階級の・・・・・・・・・・あれ店長・・・・・・・・・・・・



 この文章はここで途切れている。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る