第38話ゆくえしれず
本日の一品:ギンダラの煮付け
ギンダラは一度塩をしておいて水を浮かす。
煮汁を作る。面倒くさければ麺つゆを利用、私の家庭用の味であれば水3酒1醤油1の割合で味醂とか砂糖は甘くなるのが好みでないので入れていない。これを一度煮立たせる。
煮汁の中に魚を入れて落し蓋をして火が通るまで煮る。
煮えたら一度火からおろし軽く冷ます。冷ますことによって中まで味が染みるのである。
後は針生姜だのを木の芽を添えて置くとお洒落である。
これで丼飯は軽い軽い。後はよく漬かった古漬けでもあれば完璧である。
本文
ゆがつく魚が思いつかなかったから輸入品に逃げている私は知識面でダメダメな魚屋なのでありましょう。輸入した魚の行く先なんてものはどうなっているのか行方知れずなんて恐ろしい事をタイトルにした気がしますがどうせ誰かの口の中。胃袋というものは偉大な証拠隠滅場所であります。
そういうことで輸入物の魚について騙る事と致しましょう。
物騒な書き出しで始まりましたが輸入の魚介類というものは結構入り込んでいるものでございます。思いつくままに書き出してみますと、文字数稼ぎの謗りを受けてしまいそうですが、オランダアジにギンザケ、トラウトサーモン、アトランサーモン、キングサーモン、ベニザケ、ノルウェーサバ、アサバガレイ、カラスガレイ・・・・・・・・まだまだ出てきますが本当に文字数稼ぎにしかなりそうにもないのでここらで止めておきましょう。
実際に輸入された魚がどんな魚なのかということはあまり気にかけるお客様は・・・・・・・・・結構居りますな。例として挙げるとすればトラウトサーモン等は質問にあがります。
「トラウトサーモンとは鮭なのか鱒なのか?」
そもそも鮭も鱒もどんな違いがあるのかよくわかりませんが鮭科の魚であることには違いありませんな。いい加減な説明をするとトラウトサーモンは商品名というか流通名でニジマスと何かの雑種という説明をしております。そうなると信州サーモンはどうなるのだとか色々言われますがそこまで突っ込みを入れられるお客さん実は知っていて質問しておられるのでしょう。意地の悪いことで(苦笑)
この他にもメロとメルルーサの違いだのカタカナで綴られている見慣れない魚というものはどんな魚なのか聞いてくることが多いのですが買われるお客様は少ないですな。その辺は輸入物に抵抗感を感じられているお客様感情に由来するものなのでございましょう。
実際の話、産地偽装だの魚種偽装だの多い業界ではありますし、具体例を挙げますと・・・・・・・・うなぎなんかがよく報道であげられており季節の風物詩じゃないのかと思われたりも致します。しかも土用の丑の近辺で行うものですからお客様からの質問がうざいうざい。少なくとも商社さんや養鰻場では兎も角、私のいる店内においては行いませんし行わせませんので御安心あれ。やったところで私の懐が潤うわけでもないし、後々が面倒臭いものですから。
少々黒い話題になった気がしますが大半の輸入物の利点といえば値段であります。もともと魚食文化が発達していない地域とか食べない魚種を買い付けていたり、開発の手の入っていない地域で安い人件費を利用しての養殖とか日本で同じことをしたら数倍の価格するだろうなんていうのも・・・・・・
例を一つ挙げますればギンザケ等がわかりやすいかと・・・・・・・・この魚は良く塩鮭やら切り身で販売しております主力商品でございます。特売なんかで鮭の切り身となれば大抵がチリ産の輸入物、元々国内には極々一部の地域でしか生息していないせいもありますが(迷入という説もあり)現時点では国産も輸入物もほぼ全て養殖となっております。値段にしてもグラムに直せば国産の方が倍近くするし初夏の季節物としてしか取り扱われていない現状であります。逆にチリ産だと一年中冷凍物ではありますが販売されており知名度的にも国産がとって食われている形となりますな。
笑い話として一時期、震災の影響で国産のギンザケが逃げ出して色々な地域で取れて天然?ギンザケなどとして売られていたのは記憶されておられる方もいらっしゃるかな?あれは養殖並みに脂が乗っていて結構私好みではありましたが。
実際にこの魚に関しましてはチリでも気にせず良く売れております。
輸入養殖物に関しましては日本で技術が開発されて商社さんが海外で展開して日本に輸入、そのうちに欧米だの中国だのがこれは美味だと買い付ける流れとなっているのは笑い話。そうして段々我らの口に入りづらく・・・・・・・・・・・
こちらの例を挙げればマグロとか・・・・・・・寿司ブームだのヘルシーだのバクバク食らいやがって、遠慮しやがれといいたくなりますけど、それだけ日本の食文化が認知されている証拠なのでございましょう。だからって、そこのムスリムのマレーシア人(技術研修中)お前はとんかつ食らうな!ビールもだめだろう!そっちのユダヤ系アメリカ人も子持ちアマエビ食べない!美味しいからって・・・・・・・・・教えを捨てるな!イタリア人(旧教系)あんたの海産物に関する欲望には諦めるよ。まじめなのはインド人・・・・・・・・ごめん食えるのないからって落ち込むなよ。そしてそこの中国系と韓国系、これ見よがしに美味しそうに食っているんじゃない!最近では労働者も輸入しているみたいな気がしないでもありませんが鮮魚関係は本当に多国籍で構成されていたりもする。
話がそれてしまいました。本当に多種多様な魚が輸入されておりますが一番多い利用法が外食産業や中食産業なのであります。惣菜売り場の魚のフライなんか挙げてみても何を使っているのかパートさんでもわかっておりません。社員さんもとりあえず白身魚?なんていう人も普通に存在いたしますし、判らないからと私に振られることも多々あります。バサ?だのメルルーサ?だのシルバ?なんて表記しなくても良いなんてとてもうらやま・・・・・・・・げふんげふん。
意外と知らず知らずのうちに色々な物を食べているのが日本人。逆に聞かれたら其処のフライで使われている魚だよなんていう説明で納得されたりするのはよくある話。逆にこのフライの魚は何なのさと聞かれても私にはお答えできませんので悪しからず。丸なら兎も角製品として入っているのを把握するなんてそんな変態的な知識も感覚もございません。
鮮魚売り場でそんな魚を求めるならば漬け魚とか冷凍のフライなんかを当たってみると国外の和名もないような魚が入っていることがございます。もちろん、聞いたことがない魚でありましてもそれぞれの美味が御座いますのでご賞味あれ。一番に試食したりするのが私だったりするのですが・・・・・・・
ところで、作業場の皆さん?私が試食するために用意したツボダイの西京漬けどこにいったの?
しらない?何で口をもぐもぐさせながら言っているかな・・・・・・ でもしらない?
私が用意したツボダイの西京漬けはとうとう行方知れずなのであった。 ちくせう
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