第20話下手な鉄砲数ウチャ当たる

本日の一品:ふぐのから揚げ。


 ふぐの干物を適度な大きさに切り分け(小さな物ならば丸のままで)、小麦粉を溶いて醤油を一垂らししたものを衣としてくぐらせる。

 油の温度は180度くらい(私は適当なのである)で衣がきつね色になるまで揚げる。揚がったらよく油を切って、盛り付ける。

 好みでレモン、タルタルなどを添える。


 揚げ立てを齧り付くべし、冷めるとまずい。これならばよく冷えたビールに合うだろう。




本文


  ての付く魚が思い浮かばなかったので鉄砲等とこじつけた訳ではない。あと当たったら拙いだろうという突込みは受け付けません。


 さて、鉄砲等と呼ばれるふぐについて騙る。普通のスーパー、百貨店ではフグ調理師などという大層な者は存在しないので殆ど置かれていないか、置かれているとしても加工場から仕入れたものばかりである。まれに棒身(有毒部分を取り除いた一次加工品)を仕入れて自前で刺身とか作るものもあるだろうが、そこまで行くとどこの料亭だよと突っ込みを入れたくなる。ちなみにふぐを加工する作業場はフグのアラは鍵の付いた容器で保管するとかという話を聞くのだが本当だろうか?廃棄部分は有毒部位が多いからそこから悪用されないようにと言う臭い物にはふた理論である。実際に魚のアラって臭いからあっているのだが。ここで魚のアラの臭さと私の体に染みついた魚の臭いについて語ると猫がすり寄ってくるとかホームレスの乞食が避けるとかという笑い話があるのだがそこは割愛する。


 私がかつて派遣されていた所でもフグの取扱はあったのだが、丸の状態で仕入れた所は見たことがなく製品となっているのを届けられるのみである。知識も技量もない私に捌かせるのはさすがに問題あるのだろうし責任も取りようがない。弟が釣ってきたクサフグを冗談半分でおろしてから揚げにするくらいが関の山であろう。ふむ、あの小ぶりなフグは美味であった、かりっと揚がった衣の中に隠されたぷりっぷりの白味。一口齧るごとに滲み出てくる旨みに冷酒が進んだ記憶がある。


 注)素人がフグをさばくのは危険です。


 幸いにも今ここでこんなバカなことを言えるのは、フグの毒にあたっていないからであろう。出来れば肝もうまそうだったから食べたかったなと思うのだが流石に毒のある部位を食べるのは自殺行為・・・・・・

 酒飲みの私は緩慢な自殺しているのだから良いじゃないかと言われれば返す言葉はない。


 注)フグの肝は有毒部位です。


 スーパーでのふぐ、これ以外にも入ることがあるのである。それはなにか?混入である!

 これはかつて私が務めた店の一つで小鯵の箱からパック詰めをしているときの話である。パック詰めをしていると小鯵の類などは色々面白いものが出てくるのでそれを話のタネにするのが良くある作業風景なのであるが、その日は味を詰めていたパートのおばさんが見てみてとしきりに騒ぐ。

 何事かと皆して見るとそこには小さなフグがいたのである。これは本当におばさんのお手柄である。間違ってこれが紛れ込んだ日には・・・・・・・・・・


 チーン♪ ぽくぽくぽく♪


 の世界が繰り広げられるのであろう。南無の次に何が来るのかはどうでもよい話であるが、大惨事である。慌てて、小鯵をすべて廃棄処分としてその日は小鯵の入荷がありませんでしたとごめんなさいするのであった。


 注)フグの中には皮膚の粘液に毒を持つ種類がいる。この場合はフグの粘液が付着している恐れがあるため廃棄するのであった。


 小魚類の混入は中々面白いもので、甘海老の無選別冷凍を利用すると八角みたいな魚が(テングトクヒレとか言われるらしいがよくわからん。)紛れ込んでいたり、マイワシの中にウルメイワシだのセグロイワシが・・・・・・・・・・・

 ところでそこの子供、うちの店のシラスを毎日買っていくのは良いが鰯しか入っていないと苦情を言うのは筋違いだぞ。

 なに?夏休みの自由研究でシラスの中にいる別の魚についてを題材にしたのか・・・・・・・・・


 ちょっとした罪悪感。

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