第18話チカえぬ話

本日の一品:チカのあぶり


卓上コンロに焼き網を乗せてあらかじめ暖めておく。

チカは水気を取って十分に熱した焼き網の上において炙る。


焼けた傍から食らう。好みで醤油を垂らせばよい。


日本酒が良く合う。これは焼きたてを食べるのが美味だから熱いうちに食べること。




本文


 契約の話ではありません。次の現場は何処にするという営業さんとの話ではなくワカサギっぽい魚チカの話である。


 チカとワカサギの違いは何処か?私にもわからないので興味のある者は各自調べるがよい。と言ったら魚屋として失格なのでワカサギが汽水や淡水にも適応するのに対してチカは海水魚であるといっておこう。ワカサギよりも安いらしく冬場よく入荷する、味わい的にはやや身が固いとか思えるが気にするほどではないのでワカサギと言われれば区別がつかないだろう。


 まず、この魚で思い浮かべられるのがフライとか天ぷらであろうか、どうもワカサギ釣りでその場で上げて食べるイメージが強いので大半の客はそちらに流れていくのである。ほかに食べ方を挙げるとすれば塩焼、素焼き・・・・・・・・卓上コンロや七輪をおいて焼きながら食べるのも美味である。やっているうちに他の物を焼き始めたりするのはご愛嬌ということで・・・・・・・・この話を執筆する机に七輪おいて一升瓶おいてなどとしようと思ったのですが場所が足りませんでした。パソコンって場所取るのですよね。諦めてホイル焼きにしたのをおいて食べながらネットゲームしたりなろうの小説を読んだり(勿論アルコールは標準装備)したのもよい思い出です。時折吹き出す話題でモニターだのキーボードが汚れたりするのは見なかったことにしてください。


 ほかに食べ方を挙げるならば煮つけても柔らかな白身で良いし、圧力鍋で骨ごと炊いても美味であった。フードプロセッサーがあるならば丸ごとミンチにして団子にしても面白い、その時につなぎには片栗粉もいいけどツクネイモなんかもいいし、豆腐と合わせて白白の団子なんて言うのも上品に仕上がりますでしょう。冗談半分で、バジルソースの元を加えて焼いてみたらこれも美味。結局先入観に囚われて美味を逃していたことになるのだろう。逃した美味の数々はとても美味しそうに見えるのは逃した魚は云々と言ったところか・・・・・・・


そんなチカで笑い話を一つ。チカもそうであるけどワカサギもキュウリのような香りがするのである。これはキュウリウオ科に属する魚に多く見られる特徴で他にもアユとかキュウリウオにも見られる。

 そのチカを買ったお客さん。

「ニーちゃん、このチカ腐っている。臭いがするぞ!」

と苦情を出してくるのである。臭いを嗅いでみるとキュウリ臭い、これは新鮮な証拠である。そのことを説明すると本当だな!と言いながら保健所・・・・・・・・保健所から連絡があった時には笑うしかありませんでした。保健所に説明をしたら納得をしてもらってわざわざ来た保健所の人と顔を見合わせて笑ってしまったのでした。お客さんには説明して腐ってないことを言っても納得してもらえないので返金と相成りました。

 因みに熟練のパートさんもチカを詰めるときにその匂いで腐っていると騒いだところを見たことがあります。その時は問答無用で教え込みましたが・・・・・・・魚屋だろう・・・・・・そのくらい知っておけ。と毒気ついたのは良くない事とは知りつつも仕方のないことだと思ってください。


 チーズの臭いが腐っていると苦情が出る世の中ですからあり得ることとは思いましたが・・・・・・鮎でも同様の案件が・・・・・・・・・笑えない。

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