第15話せいごのはながさき

本日の一品:スズキのホイル焼き


スズキの切り身は塩こしょうしておく。

バタを塗ったアルミホイルの中にスズキの切り身、好みの野菜、バタ、醤油ひとたらしを加えて包む。

もちろん、洒落気のきいている者は市販のトマトソースだのバジルソースなどを入れても面白い。知人には味噌とバターを加えていた者がいる。

あとはフライパンやオーブン等で蒸し焼きにして出来上がり。


BBQやらキャンプなどで火の中に放り込んでおくのもこれまた楽しいものである。


濡れた和紙(奉書紙)に包んで焼けば奉書焼き。


これには冷えた白ワインなどもよいし、ビールで流し込むのも悪くない。




本文


 災いは起きません。よく考えたら清盛公の船にスズキが飛び込んできたのは・・・・・・・・・・・・・


 今回はスズキの話である。スズキの生態なるものを調べようとして妙な動画とか見かけたりもしたがそれはさておき・・・・・・・・・・・

 私が勤務する関東圏では千葉県だの神奈川県で取れるスズキがよく入荷されるのである。仕入れ担当も刺身にすれば白身でタイよりも安く上がるから結構押し付けてくる、実際状態が良ければタイよりも美味だから私としては問題ないのだが。

 まぁ、はずれでも切り身にしてからたれを絡めておくと「あら、おされ。」などと言って買ってくれる客様もちらほら。使用しているたれはバジルソースとかムニエルの素である。実際に癖のない白身でよく入荷するゼイゴサイズだと、脂っ気は少ないのだがバターや何かで補うようにすれば美味である。


 そんな中で少々ふざけて、スズキの洗いをするのも一興である。問題は品名表記でスズキの刺身としかできないのと酢味噌をわざわざ用意しているのに「ワザビをくれ」という無粋な客が多いことである。ぷんぷん!


 はい、大の男がプンプンと言っても可愛くないのは理解しているので置いておいて、スズキの洗いは玉水(日本酒入りの水)に氷をぶち込んでから作った切り身をぶち込むのですがスーパーとかだと表記が面倒くさいので(自分だけ手の込んだことをしすぎると他の店ではやってくれないとクレームの元となるから嫌がられる。)氷水に少量の塩を加えてゆっくりかき混ぜるだけにしている。

 切り身の端が縮れてきたらよく水を切って盛り付けるのである。面倒だったら妻など載せず大葉のみで置いておいてグラム売りなんて言うことも・・・・・・・・・・・これは手抜きじゃないのです。手で抜くのは(ぴー!)


 失礼いたしました。


 実際の話、縮れた切り身をきれいに盛ろうとしてもはしはしからツマが見えたりして貧相になるのでしまうのと少しでよいとか沢山食べたいという個々の要望に応えるための判断なのである。


 はい、そこで理屈と糞は等と言わないでほしい。私も分かっているのですから。でも、これは結構良い判断でツマを使わないから原価が抑えられるしそのまま食べる客にも盛り付けてから食べる客にも対応できる。信じられるかい?刺身を買って家で皿に盛りかえるんだってよ。


 洗いを用意するのであれば、白身の刺身用を厚めに作って、玉水に氷を浮かべて泳がせておけば簡単にできる。別に家庭で食べるのだから不格好でも構わないし泳がせている間に端は拠れてしまうので誤魔化しがきく。

 拠れてきたら水を切って盛り付ける。野菜サラダの上にのっけて上からドレッシングでもよいし、そのままで酢味噌なんて言うのも古風でよい。ガラスの器にかき氷を乗せてその上からどかっと盛り付けるのも夏場には良い演出だし、蒸し野菜の上に乗せてから沸騰した胡麻油をかけるのも・・・・・・・・・・ここまで行くと洗いの意味がなくなるか。


 盛り付けるときに、皿の中央に寄せて小高く積むとあら不思議、崩れたゼイゴの洗いが花開くよう。


 はい、タイトルのゼイゴの花が咲き。俎上ではなく皿上にて咲くのでございます。

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