第14話いかんともしがたい

今日の一品:スルメイカの塩麹漬


スルメイカ一杯(大きさによっては数を増やすのが良い)は刺身用にする。そこで残されたミミ、げそ、肝は別にとりわけトマトと大蒜とともに炒め煮にすると美味。隠し味は少量の醤油(味噌も美味)


取り合え酢塩麹漬に話を戻すと

綺麗にした烏賊の刺身用を素麺状に切り、塩麹烏賊の身150グラムに対して大匙一を加える。

後は味をなじませてから食べるとよい。


これを丼飯の上にたっぷりと載せて卵黄とともにかきこむのも美味だし一口つまんでは冷酒とともに流し込むのも美味。




本文


 スルメイカ、日本で流通する烏賊の中で一番流通するものである。麦秋の頃に出る小さなムギイカだの冬に出てくる烏賊も、すべて同じスルメイカ。季節と地域によって色々な顔を見せるがスルメイカとひとくくりすることが多い。ちなみに北海道のイカ飯もスルメイカを利用している。

 干してもスルメというくらいこのイカは利用価値は多い。剣先イカなどもスルメと称することがあるが特定の価値があるのか剣先スルメと呼ばれる。スルメイカはスルメにしてからも美味なる調理法が多い。

 水で戻してから煮物にしたり天ぷらにしたり・・・・・・・・・・・・・チバーラギ地方では煮てから着色するものがあると聞くが私は残念ながら見たことも食したこともない。チバーラギ地方で見たという諸賢は報告されると私が喜ぶ。

 まぁ、スルメを戻して煮物とかは中華料理でよく見られる手法であるし、どこぞのラーメン屋でスルメを出汁に利用するのは聞いた覚えがある。どこの店かは忘れているのだが。


 さて、なじみの深いスルメイカだが結構、調理依頼に色々こだわりがあるようだ。

 刺身にしてもミミげそを塩辛にするから肝を残してくれというものがいたり、肝だけを塩にしてからホイル焼きにして麺麭に擦り付けるという者もいる。これは私も試したことがあるが肝単体よりも肝を崩して大蒜と共に熱して最後に醤油をヒト垂らしした方が美味だった。別な者は肝と味噌をたたいてから熱して麺麭につけて食べたり酒のつまみにするといった者もいる。どちらも正しくてどちらも間違っている。

 私は烏賊の肝をトマトと大蒜とで炒め煮にして食べるのが好きなのである。隠し味には少量の味噌、これも麦味噌が捨てがたい。その炒め煮をガーリックトウストに載せてかぶりつき白ワインを流し込む。いや、冷やしている日本酒でもよろしかろう。しかも上等な酒ではなく辛うじて純米と言える酒とか清酒などと言われる下品な酒が良く似合う。

 これは私の偏見であるのだから自分の好みを探すのがよろしい。


 さて、イカというと私が求めるのは石川県は能登地方にある魚醤【いしる(いしり、よしるの別称有)】である。

 イワシの塩漬けの汁が一般的であるのだが烏賊のつけ汁にあの独特の臭みと濃くは馴染めば他の魚醤の味が薄っぺらく感じるほどである。ニョグマムもナンプラーも塩と魚の味しかしないのししょっつるも以下略。イカの生臭さが味の決め手なのだろう。

 この味を知ったら最後、定期的に取り寄せなければならないくらいに中毒性がある。これを薄めた汁で大根やら豆腐を煮たら飯も酒もすすむすすむ。

 そういうことを言っていたら食べたくなったのでこれにて筆をおこう。

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