第5話どんこはころころ

今日の一品:どんこの味噌汁


どんこは表面の鱗をたわしでこすり落として内臓ごとぶつ切りにする。

野菜適当に短冊ないしざく切りにする。私の好みとしては大根と葱、白菜等も悪くない。鍋用の煮込む野菜ならば何でもいけるだろう。


刻んだ具材を煮込み一通り火が通ったら味噌で味をつける。

味噌は辛味の強い味噌が良く合う。


飯と共にかき込むのも悪くないが、ここは汁を肴にぬる燗をいただきたいものである。



本文


泥鰌は出てきません。


 ドンコという通称で知られるが正式名称はエゾイソアイナメと言うらしい。


 ここ十数年余りの間に多少流通するようになったが、元々は外道で現地でしか見られなかったものらしい。まぁ、私自身も魚屋歴は長くないのでらしいとか伝聞調で綴る事にするが(逃げ道)見た感じ流通量はそれほど多くなさそうである。

 その理由としてはドンコ自体の知名度の低さと足の速さが挙げられるだろうか?

 ドンコ自体名前は聞いたことがあっても食べたことがないと言うお客さんも多々見られ、下処理の際に肝を除いてくれと依頼する者もいたりする。肝が美味しいのにと言うと嫌そうな顔をするが、鮟鱇の肝を例に挙げるとなるほどと納得してくれる。調理法も聞いてくるお客さんがいるが私はまず味噌汁と言うか鍋を進めるのである。


 鍋と言うか味噌汁ならば作り方が簡単であるし、イメージも湧き易い。それ一品で汁にも菜にもなるのでずぼらな旦那でも食事の支度が楽だろう。その時に鮟鱇鍋を例に作り方を説明をすると肝は別に取り分けてくれと言う客も出てくるのはよくある話である。実際にドンコの汁で、最後に味噌と叩いた肝を溶き流すと汁自体に肝の脂分が出てコクが出る。肝はごろりとしたのが好きと言う者もいて肝の扱いで喧嘩しているご夫婦連れなんて言うのも・・・・・・・・・・・店で喧嘩しないでください。因みにその後夫婦はドンコを二匹買って、一匹は味噌と叩くようにして、もう一尾はごろりとした感触を楽しむためにしたのであるが。そのとき売られていたのが一尾20センチくらいあったけど一人一尾ずつ食べたのであろうか?私ならば食べきるけど・・・・・・・・・・・・売れたからいいか。


 私もドンコの鍋を試しに作ったが、基本肝が命であると判断する。後、身の大きさはあまり細かいと溶けてしまうのでゴロゴロとしている方が食べ応えがある。質を見るに肝がキモイのは論外で肝の鮮度がドンコの命。腹を割いて臭かったり溶けていたりしたらやめたほうが良い。あまり公の場で記すとしらばくれて売ることが出来なくなるから黙っておくべきなんだろうが。


 笑い話を一つ、ドンコの汁が食べたいと旦那さんに頼まれた奥さんがドンコを買って汁にしたら、旦那は冬菇(どんこ)の汁が食べたかったらしく悲しそうに後日私に愚痴ってくれた。更におちをつけると娘さんに頼んだら饂飩粉の汁?と水団すいとんが出てきたそうな。

 旦那さん、どんまい。


 後からちょっと注釈すると冬菇は冬場のシイタケと思っていたがが肉厚なものらしい肉薄なのを香信というらしい(笑)冬菇はよい出汁が出る。きのこ類はカロリーはともかくうまみ成分が出るので鍋や煮つけの良い友である。

 どっちにしてもドジョウは関係ない。

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