第65話 タイムカプセルはどこに?
「はぁ、はぁ、はぁ」
至極胸が苦しい。
無我夢中とはいえ、高校から国道沿いの小さな公園まで走ってきた。
息を整える暇もなく俺はすぐに桜の木に向かう。
昨日はうす暗くてよくわからなかったが、桜の木の周りは掘り起こした形跡でいっぱいだった。
タイムカプセルを埋めた場所は桜の木の下のはずだが、掘れる所が他にない。
公園内の掘り起こせるとか全て探してみるか……そんなの現実的じゃないが……
しかし、如月さんへつながる手がかりは……俺が苦悶している中、スマホにメッセージがきた。
『探し物はみつかったかね』
送信者はミスターXだ。
俺は現状の素直に伝える。
『そうか。見つからないのか。かわいそうな恭介君に特別サービスをしてあげよう』
サービス?
俺の悲惨すぎる状態に同情したのだろうか。
『この座標を探してみるといい。きっと探し物がみつかるはずだ』
ミスターXからの情報にどれほど信憑性があるかわからないが、如月さんと仲良くなれたのはミスターXがきっかけになったのは事実。
俺はミスターXから支持された場所をスマホのマップで探してみると、現在地からさほどはなれていない場所であることがわかった。
すぐにそこに向かってみる俺。
到着するとそこは空き地だった。
さきほどの公園よりかは小さいものの桜の木のよう目印がないため、どこから手をつければよいのか見当もつかない。
適当に掘っていくには時間がかかりすぎる。
何か、何か手がかりはないのか。
空き地をくまなくさがしてみる。
すると土色が変わっている個所があることがわかった。
これは何かを掘り起こした跡のように見える。
下手なところから着手するより、何となくそこからが掘り進めるのがよいと思った。
といっても、結構なスペースがあるけどね。
覚悟を決めて掘ろうとした瞬間あることに気がついた。
重要なものを持ってくるのは忘れている。
土を掘る為の道具、そうスコップだ。
だが、しかしもうすぐお昼休みが終わり、学校の校門は閉まり、またここに戻ってくるのに何時間もかかってしまう。
俺は覚悟を覚悟を決めた。
土は掘りおこされているせいか、なんとか手でも進めていけそうだ。
それから俺は無我夢中で掘っていく。
掘りやすいとはいえ、指先へのダメージはだんだんと溜まり今ではしびれて痛みがでてきた。
しかし如月さんのことを思うと手がと止まることはなかった。
どれくらい時間が経っただろうか。
あたりはうす暗くなっていた。
掘れそうなところは全て掘りつくしたのだが、
結局タイムカプセルは見つからなかった。
「くそっ結局みつからないのかよ」
くやしさのあまり思わず、思わず言葉が漏れる。
俺にはタイムカプセルを見つけることはできないのか……
如月さんに会いたい……
だけど、これ以上は……
俺の気持ちをあらわすかのように、雨が降ってきた。
指先はボロボロ、制服は泥まみれ、挙句に雨……
この後一体どうすればよいのかわからず、掘り起こした部分を眺めていると、掘ったところに水流ができ、土をどけたのか何か煌めくものが目に飛び込んできた。
俺はその煌めくものからさらに土をどけてみると、小さな缶の箱がでてきたのである。
その缶の箱には、如月さんと俺の名前が書かれていた。
彼女の秘密がとんでもなくて守れそうにない 黒狗 @kuroinu_
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