第4話 事件解決までのお話 前編

昨日の事件の後は学園内で会議になり、関係のない生徒は午前で帰宅という形になったのだが俺は帰りの途中に朝比奈が入院している病院へと足を運んでみることにした。


「あ、お兄ちゃん!」


その道の途中、いつも通る市役所前の道で部活帰りの夏海に出会った、というか向こう側から話しかけてきたという感じの方がいいだろうか。


「お、夏海じゃないかこんな時間にどうしたんだ?」


いやまて、その前にこの時間帯は普通は中学生が歩いているのはおかしすぎる。しかも夏海の服が砂だらけだったのだがまたあれをやらかしたのかのだろうか?いやそれより今度は誰が犠牲に・・・。


「あ~またさ対戦校の選手をKOさせちゃってさぁ」


・・・ああ、選手のお母さん、そして選手の子ごめんなさい。


「んで、今からその子の居る病院に行くと」


俺はため息交じりに言うと「そうだよ」と笑顔で頷いた、まったくもうなんか不幸だ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「で、拓人くんそちらの方は?」


「ああ、妹だよ朝比奈、ほら夏海挨拶しろ」


俺は隣に居る砂だらけの夏海の背中を軽く叩くと唐突な俺の行動に首をかしげながらも夏海はそのまま朝比奈の近くに立った。


「えっと・・・伊勢島夏海です・・・お兄ちゃんをよろ」


言いかけた夏海の言葉を遮るように俺は片手に持っていたノートで夏海の頭を叩く。


「いったぁぁ!何んすんのさお兄ちゃん!」


「お前は早とちりし過ぎだ」


夏海は頭を抱えた状態でしゃがみ、少々震え気味の声で言ってくるが俺はその夏海に謝りも気にする姿勢も見せず朝比奈に視線を戻す。


「すまんな朝比奈、夏海は嫉妬してんだよ」


「嫉妬なんかしてないもん!」


しゃがんだ状態で夏海が反論するが俺は何も返答せずに朝比奈の姿を見るとやはりこの前の事件以来、あの栗色の髪の所々に白髪があり、相当なストレスを抱えていたんだろうと感じていた。


「あ、朝比奈・・・あの、言い難いんだが」


「私は学校には当分行けないよ」


朝比奈は本を閉じ、真剣な表情で俺の双眸を見つめる。「学校に来るのは無理か」と、言いたかった俺の言葉は朝比奈の言葉で遮られてしまった。


「確かにちょっと性格があれだが普通に行けるんじゃないか?」


「まあでもあんなにも酷い事をしてさ、学園に残ることが出来るのかって考えてみたら・・・ね?」


確かにそうだ、たとえいい学校から来たとしても校則に違反したら罰せられるのは当たり前、そして尚且つ高校生となると義務教育が終わるため学校側や自分から自主退学という形でできる。


「ま、まあ退学届けは出してないんだろ?」


「ううん、もう出して受理されたよ」


首を左右に振り、ベットでただ暇な時間を過ごすだけの朝比奈の姿は自身の行動に対する対価について悔いる事もなく、ただ笑顔で俺の顔を見ていた。


「お前はそれでいいのか・・・」


「拓人くん?」


その朝比奈の姿に俺は苛立ちを隠せなくなった。あの夜、俺がナリヴィアを止めていれば、朝比奈を待っていれば・・・、そう考えるだけで「怒り」という感情は俺の心の器から溢れ出しそうだった。


「お前はそれで人生が決まっていいのかよ!事件が起きた、それは朝比奈を待たなかった俺の罪だ!じゃあ何故朝比奈が罰せられる? 何故俺も罰せられないんだよ!」


俺は病院だろうが構わずに叫んだ。たとえ喉が壊れようが声が出なくなろうがそれは俺の犯した罪の償いになるのであれば――。


「お前がどれだけ大切な存在なのか!お前には理解できないのかよ!!」


朝比奈沙也加の再スタートとなるのであればこの声なんか捧げても構わない。


                         後半に続く―。

                        



あとがき


お久しぶりです網走 暦と申します、 久々にカクヨムを開いたら8人のユーザー様がこの小説にフォローくれていました、感謝です。


ではでは本題に入ります、「俺のヤンデレ彼女が怖すぎる」の更新が遅れて申し訳ございませんでした、理由と言ったらなんですが執筆休暇をもらっておりました、続きが気になっていた人ごめんなさい!!


5話はこの4話の更新後、書き始める予定です、今日も執筆がんばるぞい!

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俺のヤンデレ彼女が怖すぎる 第1部 網走 暦  @abasiri_koyomi

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