1章 ヤンデレモノガタリ
第2話 ヤンデレモノガタリ
4時間の授業を終えての昼休み、校舎内は昼の盛り上がりで廊下や教室が騒がしく、その騒がしい環境に早くも呆れた俺は廊下の壁に寄りかかりながら一人でサンドイッチを頬張っていると朝比奈が本を持って何処かへと行く姿を見た。
「朝比奈?さてと俺も外行くか」
残り1つのサンドイッチを口の中に放り込んだ俺は理由もなくただラウンジへと向かい、そこから外に出てみると、校庭にはサッカーをする生徒、朝礼台で仲良く話す生徒などと個人個人で昼休みを楽しんでいた。
「んまぁ、中学も高校もこんなもんだよな」
と、昇降口の前で頭を掻きながらも辺りを見回していると一人、木の下で昼食をとりながら読書をする生徒がいた。
「あれは誰だろう」
その姿というもの俺の視力では少々わかりずらい、だから俺は見えるところまで近づいて再び木の下に居る生徒を見ると、そこには栗色の長い髪を肩まで伸ばした朝比奈が木陰で座っていた。
「朝比奈か、あいつあそこで食べてるのか」
そんな事を考えつつ、木の下で本を読む朝比奈の所に行くと俺に気づいた朝比奈は俺を待っていたかのように本を閉じて立ち上がった。
「何か用でしょうか」
真顔で聞いてくる朝比奈に対し・・・
「あ、いや・・・朝比奈が何処にいるかなぁって」
俺は顔を赤くしながら答えた。
「!? うぅ・・・」
少し引き気味の声をしながらも朝比奈の顔は徐々に赤くなり、何故か急に朝比奈は後ろを向く。
「朝比奈?」
俺は突然の朝比奈の行動に首を傾げ、名前を呼ぶと
「はいっ!? な、なんでしょうっ!」
顔が完全に真っ赤になった朝比奈は><の表情で振り向いた。
「とりあえずな、今朝の話なんだけどさ」
唐突な今朝の話になるのだが自己紹介をしていた朝比奈が根拠もなく言った「伊勢島拓人と付き合っている」が学園中に広まり、ある女生徒は泣き叫び、ある女生徒は先生のカツラを電子レンジに入れたりなどと、いろいろ俺のせいで学園がパニックになってしまった、でもそれは俺には関係のない話で
「自己紹介の話ですか? あれはもう私が謝ったと思うんですが」
「ああ、いや違うんだ朝比奈、それはいいとして・・・いいとしてだな・・・じゃあ本題なんだけれど、俺でも良かったら付き合ってくれないか?」
そして本当のことを言えば俺も朝比奈が好きだったということ。それを俺、伊勢島拓人の決して忘れることのない人生の1ページにこの日のことを書き記しておこう。
「えっと、よく分からないんですがお聞きしますね。 今朝の話は付き合うことにしようで、今は付き合おう・・・」
顎に手をつけながら首を傾げる朝比奈、それに対して俺は
「いや、あれはみんなの近くに居たからであってだな」
告白というのは恥ずかしがっていたら負けというか、いい場面ができないのが本当で、でも告白するのは体育館裏がお馴染みだが俺はそういうことはしない。
「なるほど、さては一目惚れですか?」
本で口元を隠しながらも笑顔で言う朝比奈、そして今度は俺の顔がどんどん赤くなってきてそっぽを向いた俺は
「そんくらい気づけよ・・・馬鹿だな」
と完全に顔を赤くしながらも言った。
「じゃあこれからよろしくお願いします、拓人さん」
本を左手で持ち、右手を差し出してきた朝比奈に俺は「ま、まあよろしく頼むよ」と朝比奈と目を合わせないまま握手した。
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「セバス、あの者は誰」
その光景の一部始終を学園近くのビルの屋上で双眼鏡を持って見ていた一人の女、そして隣に執事服を着た男性が立っている。
「あれは伊勢島グループの息子、伊勢島拓人です、お嬢様」
「そう、あれは私の奴隷として相応しいわね」
満面の笑みでその女は呟いた。
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学校も終わり、俺は朝比奈と帰ることにしたのだが彼女曰くこれからやることがあるらしく俺は先に帰ると言い残して一人で帰っていた。
「はぁ・・・今日も疲れたな」
帰俺はバックを片手にため息をつきながら歩く。そしてそれについてくるように隠れながら歩く怪しい人物。
「いいから出て来いよ、さっきから行動がバレバレなんだよ」
足を止め、俺は振り向くと執事服の男性が俺に向かって走ってきた、でも顔に見覚えがあるようで俺は目を大きく開いて
「は・・・田中さん!?」
と、驚いた。田中さんとは家が隣でいつも花壇に水を撒いているまだ社会人歴数年の男性だ。
「すまないね拓人くん、お嬢様に逆らうことはできないんだ」
「あっ、大人と高校生の力って・・・」
不幸にも俺は言葉を最後まで言うことなく、そして田中さんは「ごめん」と言いながら俺の腹を蹴る。
「拓人くん・・・?」
そして何故かその現場に居合わせた朝比奈はその絶望的な光景(?)を目撃したようで無言でその場に立ち尽くしている。 そして「女性には優しく」と、俺に教えてくれている田中さんは躊躇ってはいたが証拠隠滅のために朝比奈を黙らせようとするが何故持っているのか問いかけたいくらいの実銃でもあるAK74Uを見た田中さんはそのまま俺を担いで何処かへ行った。
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