第1話 学園生活3日目
「月曜日」
平日の最初の日、学生にとって「地獄の1週間の幕開け」と思われる月曜日。
「ふわぁぁぁ、眠いな」
聖蘭華学園に来て3日目、午前8時になったばかりだが登校している生徒は隣のクラスが4人、自分が所属するクラスが4人の計8人で「ほとんどがサボっているのか」それとも「学園の近いところに住んでいるから遅い」など俺は自分の席で考えながら学園の生徒手帳を見てみると出欠確認が55分ということに気づいてしまった。
「まだ全然時間はあるし、ジュースでも買おうかな」
と言いながらも生徒手帳を閉じて胸ポケットへしまい、教室から廊下に出ようとドアを開けるとバタバタと音を立てながら走ってくる女子生徒とぶつかってしまった。
「いててて・・・大丈夫か」
「え、ええ・・・大丈夫です」
俺はぶつかった衝撃で強く尻を打ったが向こうは大丈夫だったらしくその女子生徒の言葉に俺は安心して立ち上がろうとすると女子生徒が手を差し伸べてきた。
「あの・・・私が廊下を走ってたのが行けなかったので・・・いやそれよりも大丈夫ですか?お怪我は・・・」
心配そうに俺の顔を見る女子生徒、だがここは顔を赤くせずに紳士っぽい対応をする時である。
「ああ、大丈夫だよ、俺の不注意でもあるからお相子だろう、そんなに気にしなくてもいいよ」
俺は笑顔でそう言うと、女子生徒は「ごめんなさい」とぺこりとお辞儀をして俺の横を通り過ぎていった
「今あの子・・・俺のクラスに入ったよな」
横を通り過ぎた後も俺はもちろん変な意味じゃない方でその女子生徒を見ていたら俺の在籍するクラスに入っていた、しかも俺の右斜めという最悪な状況。
「あれ、そう言えば入学式は居なかったよな」
3日前の入学式の記憶を脳内の引き出しから取り出すと、俺は「確かにいなかったよなぁ」と首を傾げながらラウンジへと向かう。
「いつ見ても学園のジュースはタダだから驚きだな」
ラウンジに3台ほど並ぶ自動販売機、普通ならば150円とかするジュースでも学園のラウンジでは無料で買えるということに驚嘆の声を出しながらサイダー(グレープ味)を買い、取り出し口に落ちてきたサイダーを取り出そうとした瞬間、ちょうど登校してきた女子生徒数人が俺を目撃したと思えば・・・。
「伊勢島君よ~!今日もかっこいい」
と言いながら俺の元へ駆けつけてきて「サインください」と、サイン用紙を渡してきた。
・・・まてまてまて俺ってアイドルじゃねぇぞ
「すまん、俺はこれで」
もちろん書いてやりたいところだが今はあのぶつかった女子生徒の謎を究明することからだ、俺は謝りながらも女子生徒の間を通ってラウンジから出ていった。
「さて、あの子はなんだろうか」
廊下を歩きながら探偵が推理をしているように顎に手を当てる、それで謎が解けるのであれば嬉しい限りではあるがそれは名探偵コ○ンではないから無理があるだろう。
「転校生?いや入学式の日に休んだってのもあるな」
考えているだけで謎がどんどん深まってくるのだが一応はこれからの学園生活に響くだろうと感じたので俺は教室まで考えることにした。
「はぁ、全然わからねぇ・・・」
と、肩を落としながら1年生の階の廊下を歩く俺は教室からなんやら楽しそうな声が聞こえたのでドアの端から中を見てみる・・・。
「おいおいマジかよ」
つい、その教室の中の光景に驚いてしまった。あの女子生徒の周りでは他の女子生徒がぶつかった女子生徒の髪を触ったり話しかけたりしているではないか。
「ああ、普通に考えれば簡単だった・・・」
ドアの端から覗いた光景から結論を言うと、あの女子生徒は「転校生」で間違えはないだろう。その教室内の羨ましい光景を見て「考えていた俺の時間を返せ」と思いながらも俺は無言で窓側にある自分の席に座る。
だが、座っている間もちょくちょく誰かから見られていることに薄々気づきながらも俺は持ってきた本を読んでいた、その時だ。
「ほら時間だぞ~、座れ~」
1年E組の担任が教室に入ってきて生徒表を教卓に叩きつけ、女子生徒の周りに居た生徒は自分の席に座ると突然先生は指を鳴らして男子生徒を指さして言う。
「さて、男子生徒諸君・・・転校生だぞ。ほら、前に来て自己紹介をしろ」
女子生徒に手招きをする担任。それに反応した女子生徒は立ち上がって黒板の前に立つと小さく深呼吸して女子生徒は真顔で自己紹介を始めた。
「朝比奈沙也加です、前の学校は青林学園で訳アリでこちらに来ました」
・・・青林学園!?
俺は持っていた本を落として唖然とした、青林学園と言えばお嬢様学校で日本のあの早稲田を超えるくらい凄い学園である、そこから何故ここに来たのだろうか・・・。
「そしてそちらの方・・・伊勢島拓人さんと言いましたね、その方と付き合っています」
と、真顔でそして生徒と担任が居る中で普通に言ってしまう朝比奈沙也加、しかも初対面の人に「付き合っている」というのは何かいろんな意味でやばいのだが。
「お、おう・・・だからみんなは朝比奈と仲良くしてやってくれ」
担任も完全に引いていることに俺は気づくのが誰よりも早く、そして窓側の1列は男子なのだが後ろから俺に向けての視線がくそ痛い。
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HRが終わった休み時間、俺は朝比奈を廊下に呼んだ。何故か「告白!?」とか女子生徒がこそこそ話していたのが少し気になるのだがそれはいいとして。
「朝比奈さん?でいいのかな、困るよ俺たち初対面なのに根拠のないことを言われても・・・」
俺は頭を掻きながら朝比奈を傷つけないように言葉を選びながら言うと朝比奈は「すみません」と顔を俯かせて謝った。
「ま、でも付き合っていることにしようか朝比奈さんが気が済むまで付き合うよ」
個人的な予想だが女性は気が済むまでやらせておけばいつしか離れていくだろうと考えた、そして俺は電話番号を交換して朝比奈と別れた。
だが、その
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