第8話 ています、た͜͜͏̘̣͔͙͎͎̘̜̫̗͍͚͓͜͜͏̘̣͔͙͔͙͎͎̘͜͏̘̣͔͙͎͎̘̜̫̗͍͚͏̘̣͔͙͎͎͜͜͏̘̣͔͙͎͎̘け̜ͪ̅̍̅͂͊す͜͜͏̘̣͔͙͎͎̟̤̖̗͖͇̍͋この 

 星の言葉――占い女の予言が、重い意味を持つ世界だった。

 その平凡なみなしごは騎士団長の元で育てられ、非凡な才能を発揮した。その小さな王国で、彼は並ぶもののない戦士だった。そうなるべき定めなのだ。

 その小さな王国の王女アリシアが彼と出逢ったのも、そうなるべき定めのもと。

「初めましてアルト・マグナス様。アリシアです。あなたの助けとなるために生まれてきた者です。」

 その世界でアリシアは、与えられた役割を演じる。

(あなたもそうですか。あなたも薄っぺらで空虚な操り人形なのですか)

 アルト・マグナスは姫の足元へ跪いて頭を垂れた。

「アリシア姫、お目にかかり光栄です。俺がアルト・マグナス――」

 王女ははっと息を呑んだ。

禁忌の術裏ワザにて、つよくてニューゲームした者」

「何のことでしょう」

 アリシアは『分かってはいけないもの』を避けて諭すように言った。

「約束を覚えていますか」

「いいえ、あなたとは初めて会いました」

「アリシアが忘れていても、前のアリシアが約束した。いつも終わり際にあんたは言うんだ。一国の王女が勇者と旅に出なきゃならない理由をよく考えてみるといい」

 困惑する騎士団の面々には一向に構わずに、アルトはアリシアの目を見て言う。

 アリシアには分かる。狂ってしまったのだ。世界を覆っていた幻想の膜が剥がされ、基盤が剥き出しになろうとしている。

「この世界は、叶わない約束の呪いにかかったみたいな世界なんだ、もしくは」

(この男は何を考えているの。いつからあなたはそんな残酷なことを望むようになったの。幻想はもう必要がないの)

「いわゆるみたいな」

 世界が歪む。アルトだけが『世界』ではなかった。青くひびかけた世界が悲鳴のような音を鳴らす。

(約束……呪い……役目、存在)

「最後まで、<br>##name##の行く道を見届けたい」

「いいぞ、バグ姫。そのセリフなんだ。その言葉を叶えるためにエンディングからぶっ飛んできてやった。飽きてるんだろ?」

 飽きてる、と聞いてアリシアは、その反転した世界の色に点滅しながら最高速度で窓という窓を開け放ち、

「行くのです、魔王を倒しにいきましょう、ともにいきましょう、ともにいきましょう、ともにいきましょう、ともにいきましょう」

 アルトは不敵に笑った。

「アリシアなら分かってくれるって信じてた。アリシア、賭けてみよう。世界を壊して本当の『魔王』を倒して、本当の見えない未来を取り戻す」

「信じています、た͜͜͏̘̣͔͙͎͎̘̜̫̗͍͚͓͜͜͏̘̣͔͙͔͙͎͎̘͜͏̘̣͔͙͎͎̘̜̫̗͍͚͏̘̣͔͙͎͎͜͜͏̘̣͔͙͎͎̘̜̫̗͍͚͓͜͜͏̘̣͔͙͎͎け̜ͪ̅̍̅͂͊す͜͜͏̘̣͔͙͎͎̟̤̖̗͖͇̍͋̀͆̓́͞͡てこの世界を」

倒しにいきましょう」

 青い、世界が青い、すごい、これが本当の青空なのね。あなたは魔王に奪われた青空を取り戻したんだわ。雲一つない真っ青な――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

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