別に婚約したくないです

「早く理由を言え」



しつこい。ヴィスト様まじでしつこい。そこまで気になるのだろうか。

さすがにそろそろうっとおしいんですが。


…もういっそのこと、オブラートに包んで正直に話そうか。



「……わかりましたわ。服装に関してはメイドが少し張り切ってしまったのですわ。

それから、会話ですが少し緊張してしまってあのような話題しかでなかったんです。」



これなら大丈夫だろう。正直に話したし、特別おかしなこともいってない。

少し照れてるような顔をして、ヴィスト様を見つめる。



「…っは!そうか。緊張してたのか。」



良かった。これでどこにでもいる普通の令嬢っぽくなったんじゃないか!?ヴィスト様にさりげなーく思いを寄せてる感じの。

まぁ、実際は違うし、別の意味ですごく緊張してるけど。



「……父は、俺とお前を婚約させたいらしい。」


「え、いゃ…そ、そーなんですか。」



思わず嫌って言いかけた。危ない、危ない。ヴィスト様は私の方を向き、意地の悪そうな顔をして、こう言った。



「お前は婚約したいかもしれんが、俺はお前と婚約などしたくもない。」


「そうなのですか。」



何とも失礼な言われようだが、それはそれで願ったり叶ったりだ。婚約者が攻略対象候補など絶対嫌だ。断固拒否だ。

すると、ヴィスト様は目を見開いてこちらを見る。



「なぜ、平気な顔をしている!?」


「そんなにおかしいことでしょうか。」



…どうしよう。ヴィスト様ナルシストすぎて怖いんですが。イケメンじゃなきゃ、いや、イケメンでもうざい。

しかも、まじで驚いた顔をしてる。



「俺に婚約したくないと言われたんだぞ!?普通嘆き悲しむだろ!?」



やばい。こいつやばい。攻略対象とか関係なく、関わりたくないっ!!



「たしかに、少し傷つきましたが、私もいきなり婚約と言われましても困りますし。」



笑ってごまかそう。にこにこ笑って早くこの話題が終わってくれることを祈る。



「お前、変わってるな。」



お前にだけは言われたくない

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無駄遣いはいけませんっ!! 山田 すず菜 @suzunarisan

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