第2話 サバイバー

「よく言った少年。」

そして一時限目の終わりを告げるチャイムが鳴る。

「それじゃ今日はありがとうございました。この少年は部隊に連れて行きますんで。」

早速行くのかぁ...

俺は席を離れ三人の近くへ行った。

そして三人の目の前に黒い穴が開いた。

「んじゃさようなら~」

そう少佐が言うと穴は人が入れるくらいの大きさになった。

「少佐。つながりました。維持限界まで残り30。」

霜月さんがそう言うと少佐は頷き、三人一緒に入って行った。

「少年。お前も来いよ」

そう少佐の声が聞こえる。

俺はクラスのみんなにあいさつをし、穴に入った。

 穴の先は...コンクリートでかこまれた部屋だった。

「それじゃ少年。名前は?」

「村雨 騎衛です。」

「騎衛か…。俺はさっき言ったと思うが天槻。天槻 楼弥だ。少佐とでも呼んでくれ」

「私は霜月 百夜です。霜月中尉と呼んで下さい。」

「僕は滝倉 京谷。滝倉中尉でいいです。」

「こいつら以外にも、もう少しいるんだけど遠征やら行ってるからいないんじゃ。そんじゃ早速能力開花&記憶解放の時間だ」

「えっと...なんですか。それ。」

「お前は知らないか。んま一般人が知ってるはずないか。この注射刺すと能力を開放して、ついでに前世の記憶を強引に開放するの。記憶は曖昧な状態で解放されるけど。」

前世の記憶…俺の前世はなんだったんだろう…

「そんじゃ注射するぞ~」

右腕に少佐が針を刺し、腕に液体が注入される。

激痛が終わり、針が腕から抜ける…すると目の前が暗くなる、そして意識が遠くに行く…

「そう言えばこれ注入した後って気絶するんだっけ?体になじまないから」

「少佐。それ言うの遅いです。そだ、滝倉。医療班の帰還は?」

「あと二時間かかる。騎衛君は寝かせておきましょう」


「んん…」

目を少し開くと眩しい光が差し込んでくる。

「お?起きたか?」

少佐の顔が視界に入りこむ。

「すまんすまん。副作用を忘れとったわ。んで早速質問。何の武器が欲しい?」

急に何を言い出すかと思ったら。

「それじゃあ…」

と言っても俺は銃とかは一切詳しくない。

少佐の腰を見ると、刀が下げてあった。

「その刀が...」

何となく見覚えがある、そんな感じだった。

「これかぁ~…この刀、先代の亡骸なのよ。」

「でしたら大丈夫です。適当にライフルと剣を貰えれば…」

言いかけた時

「起きましたかー?」

霜月中尉と滝倉中尉が入ってきた。

と言うかこの部屋…何?

「おう。ちょっと前にな。あいつらは遠征からまだ帰らんか?」

「もう少ししたら帰還すると思います…恐らく。」

「んじゃそれまで恒例のやるか。てか局長もいねぇのか…」

そう言うと少佐は部屋を出て行った。

「帰ってくるまでサバイバーの説明でもしてますかね。」

霜月中尉はそう言いながら椅子に座った。

「サバイバーの軽いことは知っていると思います。記憶を持ち、能力を使える者です。一般的には能力を使うには前世の記憶が必要と言う考えが強いですが、少し違います。人間には元から能力がありまして、それを開放するのは簡単なことです。しかし、前世の記憶が存在しないと能力が暴走し、やがて本人の意思関係なく能力が発動する恐れがあるのです。うちの部隊は独自に開発したさっきの薬を注入することで両方解放できます」

霜月中尉が説明し終わると次は滝倉中尉が説明をし始めた

「実は前世の記憶は誰にでもある。ただ思い出せないだけ。思い出せた者がセンスのある能力者になれる可能性があるから、国は国営病院で記憶があるか検査できるのを設けてる。でもサバイバーは記憶が解放されてない人でも才能があるとわかる。だから今日みたいにちょくちょく各地を周ってる。」

では俺はサバイバーなのか…?

「う~っし。あったぞ~」

陽気な声で少佐は戻ってきた。

少佐の手には二枚の白いカードがあった。

「このカードを持ってくれ。そしたらお前の能力がわかる。」

そう言って俺にカードを渡して来た。

それを普通に持つ。

「なんか絵が浮いて来たか?」

そう言われると何となく絵が浮いてきているような気がする。

「はい。何となく浮いてきて…」

「よし。んじゃくれ。」

俺は少佐にカードを渡した。

「…ん~なんだこれ?一枚目でもうわかんねぇぞ?」

そう言うと霜月中尉が寄って、カードを見た。

「…なんですか?これ?滝倉わかる?」

「…?実際使ってみれば…?」

そもそも能力の使い方が分からない。

「あの~…能力ってどうやって使うんですか?」

「何となくイメージする。」

少佐がそう言い、二人が頷く。

「イメージ…?んん~…」

何の能力か分からないが何となくイメージをした。

すると手首に白い輪のようなものができた。

「んな!?」

少佐は異様な声で叫んだ。

ほかの二人も目、口を大きく開いていた。

「えっと...これって何ですか?」

「え…あ、あぁ…魔術師だな…多分。ちょっと俺の刀をイメージして腕を地面に突き立ててみろ。」

「あ、はい。」

そう返事すると腕を地面に突き立てた。

すると地面に灰色の魔法陣が広がっていった。

そして魔法陣の中心から少佐の刀とそっくりな刀が出てきた。

「鞘が無いから使い物になりませんね…」

そう言って三人の方を見るが、三人とも青ざめていた。

「お前…いつそんな技術覚えたよ…?」

少佐はそう言うと腰が抜けたようにその場に座り込んだ。

「結構な人材を発掘しましたね…これは他の方面にも自慢できる」

霜月中尉も口を大きく開き呆然とこちらを見つめる。

部屋中がやがて無音になる。

 そんな中、隣の部屋から革靴のような音がする。

「やっと帰って来たか...」

そう言った直後部屋のドアが吹き飛ぶ。そしてそのドアを少佐が見事にキャッチする。

「ただいま~」

そう言って水色のポニーテルの少女が入って来た。

「あれ?この子は...新入り?」

「あぁ。とんでもない能力付き。」

開幕とんでもない紹介をされる。

「ふぅん。どんな能力?」

彼女は机に置いてあるコーラを手に取り飲んだ。

「魔術。物体生成もできる。」

そう少佐が言うと少女はむせた。

「物体生成!?そんなのできるのあの人位じゃない!?」

そう言うと少女はこちらを見た。

「こんなのが...なるほど。私はここのサバイバーの一人、蒼辰芽衣。芽衣少尉でいいわ。」

芽衣少尉はそう言うと再びコーラを飲み始めた。

「成果は?」

少佐はコーラを飲んでいるにも関わらずそう質問した。

「適正者は釣れず。特に何もなくただのお話の時間だったわ。」

「...そうか。それでどうだ。大好きなコーラのお味は。」

少佐はニヤケながらそう聞いた。

「...?...ん?まさか...!?」

芽衣少尉はコーラを吐き捨てかけた。

しかし時すでに遅し。

「辛ッッッッッッ!?!?!?!?」

「フハハハハハハハ!!!」

少佐はいたずら好きらしくちょくちょくコーラに香辛料などを入れて遊んでいるらしい。

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バースト・ソウル・サバイバー 角炉エミナ @Emina511

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