バースト・ソウル・サバイバー
角炉エミナ
第1話 感染体
「貴様らに殺される位なら自ら絶つわ!また次の体で貴様らを潰しに来るから待っておれよ!」
俺は感染体の群れにそう叫ぶと心臓に近い傷口に刀を自ら刺し、命を絶った。
今日も今日とて変わらず通学。何か変ったことが無いと暇になる。
そんな下らないことを考えて一人で学校へ向かう
学校に着くと、上履きに履き替えやや駆け足で教室へ向かった。
「おい!今日来るの遅かったな。欠席かと思ったぜ」
そんなふうに教室にきて最初にやかましい声を聞いた。
毎日こんなものだ。
そして、学校の始まりを告げるチャイムが鳴る。
今日の一時限目は最近再び活発化してる〔感染体〕について、軍から説明を受けるそうだ。担任が軽い説明をしてすぐ、教室のドアが開かれ、軍人が三人入ってきた。
「はじめまして。私、軍部の対感染体部隊の天槻です。」
三十代後半と思わしき見た目をした男性がそう口を開いた。
「今日は皆さんに感染体について説明しにきました」
そう言うと、後ろにいた二十代頃と見れる男性がホログラフを展開し、一つの醜い生物の画像をだした。見た目は熊だ。しかし、体の一部の毛皮は剥げ、奇妙な色をした甲殻のようなものが一部を覆っていた。眼は薄い紫に染められ、体中にとても短い触手のようなものが生えている。
「説明担当致します、霜月です。そいて、これが感染体です。と言っても感染体の見た目は、それぞれ変わります。数十年前にある研究所の事故の爆発でその研究所周辺に蔓延した特殊な菌が動物に感染して時間がたったのが感染体なので、感染する動物によって見た目も多少変化します」
クラス全体、必死にメモをとっている。というか絵を描いている。感染体の絵だ。それもそうだろう。国が放送で感染体を流すことは深く禁じられている。
一生で感染体を見ることは稀だ。
絵を描いていると察したのか、三十代の男性が
「君たち感染体見てみたいのか?」
と陽気な声でいった。クラスの皆は見れるならと言わんばかりの視線で男性をみた。
なぜか担任もそんな視線で軍の男性を見ていた。もちろん俺も。
「よーし。それじゃ特別におじさん教えてあげよう。君たち国営病院の記憶の広告わかるかい?あれで診断受けて、適任と判断されたらこの部隊に来れるんだ。それで見れるぞ!やったな!」
そう男性は答えた。よく記憶の広告は見るが、そんな意味があったのか。
しかし前世の記憶を持って生まれてくるなんてあるのか…
そんなこんなで質疑応答をしているとさっきから一切口を開けなかった三人目の二十代前半とみられる男性が口を開いた
「少佐。モグラ型と予測される感染体群1、こちらに接近しています。おそらく当区域に来ると思います。距離残り4k」
そう口にだすとクラスがざわつき始めた。それと同時に30代のおっさんの表情が険しくなった。
「そうか。敵数は?」
「おそらく遠距離型が2、近距離型4の編成と思われます。」
「うむ…出現位置は?」
「おそらく当学校のグラウンド、もしくは中庭周辺と予測」
「了解。霜月。」
そう言うと霜月さんは何かを察したようにうなずいた。
「出現推定時間残り40秒。勧告を出されては?もしくは他方面に説明に行ってる分隊を招集するかは?」
「出そうにも周辺区域に勧告出す方法がねぇんだよ。近くにあるスピーカーハックでもしたら俺ら後でクビ間違いなしだしな。」
「少佐。準備完了しました。」
「おう。お疲れ。」
天槻少佐様はざわついているクラスに呼びかけた。
「よし。お前らが見たかった感染体のお出ましだぞ。よーく見とけよぉ」
やや強張った表情でそう言った。
「あ。でも逃げろって言ったら素直に逃げてね」
「少佐。来ます。」
クラスの反応を見る前に少佐と呼ばれる男性は頷き、教室の窓際に立った。
「お前ら。仕事の時間だ。周囲に被害を出さないよう、最小限の被害で殲滅しろ。」
「「yes,sir」」
そう言った次の瞬間だった。地面が。大地が割れる音がした。
地面の裂け目からは、さっきの感染体の画像のような身を纏った、巨大なモグラのような生物が出てきた。
「行くぞ。攻撃開始。」
そう少佐の男性が言うと彼らは鳥の如く窓から落ち、感染体に銃撃した。
クラスは混乱の渦になった。喚き、叫び、恐怖していた。画像とは何か違う恐怖に襲われていた。
ほかのクラスで説明していたと思わしき兵隊たちが、遅れて校庭で交戦し始めた。
しかし、先ほどの3人は銃を捨てて戦闘していた。
滝倉と言った男性はなぜか地面に拳を下ろしていた。すると感染体のいる部分の地面が槍のように尖り、感染体を貫いた。
霜月さんは戦闘場所からやや離れた所で感染体に向かって水を投げた。
そして何かを唱えた瞬間、水は氷の棘へ変化し、感染体に刺さった。
そして天槻少佐は動きを封じられた感染体を刀で切り裂く。
もはや人間と思えない戦闘を僕たちは目の当たりにしていた。
やがて五分もたたないうちに、感染体は全滅していた。
軍の三人は異様な跳躍力で教室に戻ってきた。
「あれが感染体だ。んで紹介遅れたが、俺たちは[サバイバー]。知ってると思うが、能力者だ。」
今の時代、サバイバーを知らないのは赤ん坊位だろう。
サバイバーは国家所属の能力者だ。前世の記憶を持ち、有能な能力を持った人だと、よくテレビで紹介される。
しかし、国家機密だからだろう、その能力を見たことのある人はほぼいない。
一生に一回シリーズを僕たち一日に二度も見た。
「そして今日ここに来たのは感染体についてと言う事で来た。しかし、もうひとつ任務があって来た。才能のある者を我が部隊にスカウトしにきた。」
先ほどの感染体にまだ興味があった時ならみんな喜んで立候補していただろうが、あんなものと戦うを考えると、誰もが拒否するだろう。
「別に嫌なら拒否しても構わん。んじゃそこの君。入ってみないか?」
天槻少佐はそう言うと俺に指を指した。
…え?俺?俺が部隊に?
「少年。やりたいか?」
クラス中が驚いた。俺みたいなのが才能あるらしい。
俺は力強く頷いた。
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