六部殺しに、疫病、勾玉と、オカルト好きならわくわくするようなワードが散りばめられた本作。
晴れて前作から正式なアルバイトに昇格した僕は、職場の先輩と共に怪火の調査へと向かう。
前作『雨夜ノ品定メ』から成長した主人公である『僕』はもとより、美形なのに飄々としておりどことなく一枚目になりきれない先輩の掛け合いが楽しく、見ていて飽きることがない。
さらに二人だけでなく、謎めいた美形僧侶にイケイケな女神様など個性的な登場人物も多く、しっかりとキャラが立っているのも魅力の一つ。
伏線が一気に回収されていく後半は、勢いはもちろんだが豊富なオカルトネタにテンションが上がること間違いないだろう。
オカルトというと怖いもの、暗いものと思いがちだが、本作は怖いだけでなく切なさや軽妙さもあり非常に読みごたえがある。
最後に明らかになる伝説の真実と、時を超える想いの果てが迎える結末は是非直接読んで確認してほしい。
霊能力者の『先輩』とその下で働くアルバイトの『僕』。
二人の軽妙なやり取りがテンポよく、とても読みやすいです。
六部殺し伝説や御霊信仰、真言の呪文……等々、知識に裏打ちされたマニアックなオカルトネタを存分に盛り込み、おどろおどろしい伝奇的な展開を主軸としつつも、あくまでテイストは暗くなり過ぎず、飽きさせません。
途中、謎めいた僧侶と守護霊的な立ち位置の女神様も加わって、キャラクターの魅力もじゅうぶんです。
オカルトものならではの終盤にかけての盛り上がり、そして壮大で切ないラブロマンス……救いのあるラストにもほっとさせられます
おススメです!