第40話  まだ見ぬ脅威Ⅱ

 サディスの後についているが、何故かサディスはウィッチスタイルを解除しようとしない。それどころか、案内されている場所に近づくほどに、肌に何かがまとわりついて乾くような感覚がある。


「……近いな。」


「それはもちろん。だって、向かっているのは私たちの部屋だもの。」


「……部屋?」


 サディスとヘラの部屋?何故そこに案内される?いや、それよりも……。


「何故隣り合った部屋に行くために、こんなに歩く必要がある?」


 ついてこい。そう言われてからかれこれ十分は歩いている。宿の外に出るのかと思いきや、ただ事ではない気配が一気に立ち込めてきた。サディスが先程からウィッチスタイルでいるのはこのせいか。


 危機と対峙する意気込みを神経に張り巡らせたとき、突然サディスが足を止めた。そして、艶やかな曲線を描く腰を後ろに捻ると、黒に近い紫に包まれた指先を開き、俺に手を差し出すように促してきた。


「この先は私とあの子しか入れなくなってるの。ドアを開いて中に入るまで、私の手を握っていてくれるかしら?面白いものが見れると思うわよ。」


「……どういうことだ?」


 明らかに未知の危険が目に見えているというのに、なぜかサディスは珍しい物を見つけて高揚する研究者のような恍惚を浮かべていた。そして、それが恐らく俺も気に入るだろうという確信をも持っている。


 それは、その後に続くサディスの言葉が全てだった。


「あなた、前に「魔力を溜め込みすぎた人間がどうなるか?」に興味を示していたわね。確かに溜め込みすぎた人間は破裂するけど、それとは別にもう一つあるのよ。今あの子は、まさしくその状態になっているわ。」


「別の状態?どういう事だ?」


 サディスは、緩やかに微笑んだ。


「魔力、というぐらいだから、つまりそういう事よ。支配が逆転すればおのずとそれは現れる……。」


「随分ともったいぶるな。」


「口にして期待を膨らませるより、ふと目に入った瞬間の方が喜びは大きいものよ。それが滅多に見れない物であるなら尚更、ね。」


 たまに思うが、散々周りは俺をどうこう言うが、これも相当の壊れ物だと思う。目の前にある恐怖を脅威とは感じず、むしろ恐怖している自分に悦びすら感じているこれが、残念ながら四人の中で一番まともだという現状はいたたまれない。


 力に酔い、溺れ、依存する。守られようと、虐げられようと、それを感じることに悦ぶのだから、はっきり言って変態だろう。


 それこそ、ただヘラがこの先どうなるかを見たいがだけで、俺達と行動を共にする口実を作るぐらいに。


「さぁ、無駄口はこれぐらいでいいかしら?……いい?絶対に手を離してはダメよ。魔力の塊がこじ開けた次元の狭間に落ちて、出られなくなってしまうから。」


 サディスが手をかけた扉には、目視でもわかるほど強力な封印魔法が施されていた。これでドアの向こうの魔力を閉じ込め、外の空間を飲みこまないようにしているのだろう。即席で作ったからか、力は強くとも耐久度が低く、蛇の一匹でもぶつけてしまえば壊れそうだ。


 サディスの手を握りつぶすぐらいの力を込めて握り、扉を開くように急かした。


「さぁ、行くわよ。」


 ドアノブが、ガチャリと鈍い音を立てた。


 扉を押し込んで二人同時に、その向こうへと跳び込んだ。だが足が地面に着くような感触は無く、むしろどんどん下に沈みこんでしまいそうだ。


「空を浮いているイメージを作って!!この世界に重力は無いわ!あなたのイメージが全てそのまま形になるわ!!」


 言われて足を宙に浮かせてバランスを取るイメージを作り上げると、身体がふわりと浮きながらも重心が安定して、身体の向きを固定できるようになった。この空間の中でもサディスは平気で立っているが、俺は少し中腰になって身構えないとバランスが取れない。慣れてきてはいるが、やはり魔力の扱いに関してはサディスが一番長けているか。


「どうにかなったようね。もう手も放していいわ。」


 言われるがままに手を離すと、突然全身を押しつぶされるような感覚に襲われた。


 なるほど、魔力の密度が濃すぎて物体の在り方を捻じ曲げようとしてしまうのか。多少魔力の扱い方を心得ていなければ存在するのも難しいだろう。


 俺は全身に魔力の膜を纏うようなイメージを施して、圧力から身を護る。重心もさっきよりは安定して、地に足を付けて歩けるぐらいには回復できた。


「それで、ヘラは…………ッ!?」


 それが目に飛び込んできた時には、流石に息を呑みこんでしまった。


「ふふっ……素敵よね。その禍々しさにはもはや芸術すら感じるわ。」


 そんな俺の様子を、まるでいたずらが成功した子供のような笑いを見せたサディスが、得意げに自分の胸を抱え込むようにしていた。


 もはや人ですらない、全身が真っ黒の殻に覆われたそれは、背中から黒々と輝く鱗をあしらった翼を生やし、四肢の指が太く鋭く命を刈り取るような形をしている。辛うじて目と口の区別はつくが、それ以外がもはや何なのかがわからないほどになっており、まさしく「化物」といった具合に仕上がっている。


 紛れもなく、その姿は異形だった。あれが生きているのか、死んでいるのかもよくわからない。ただ、よくない物だと言うのは直感で感じ取れる。


「そう……これは魔力が暴走した姿、俗にいう「悪魔」ね。あの子の修行をつけてて気づいたんだけど、あの子あれだけの魔法を使いながら、殆ど魔力を消費していなかったのよ。魔力を使ったのは魔方陣を生成する時だけで、後は自然にある魔力を引き出していたみたい。それで、ウィッチスタイルを出せる程度まで訓練したんだけど、何かのタガが外れちゃったみたいで、あの子の中に眠ってる魔力が暴走しちゃったのよ。」


「……これが、全てあのアホの魔力だというのか?」


 サディスは、そう言った自分でさえも信じられないと、引きつった様にも見える薄ら笑いを浮かべ頷いた。


「ウィッチスタイルは魔法使いの魔力を最大限に有効活用するための、いわばその魔法使いにとっての象徴であり真価よ。今まであの子が陣魔法しか使わなかったのは、単純に杖の問題もあっただろうけど、その内にある膨大な魔力を制御できなかったからね。使おうとしてもうまくいかない、だから陣さえ描いてしまえば簡単に発動できる陣魔法ばかり使っていた。詠唱魔法も、わざわざ魔方陣を経由して使うぐらい使いこなせないのだから、はっきり言って才能が無いのだと思っていたけど、むしろ真逆だったようね。」


「……あれが、お前の卑猥な格好と同じものだと言うのか。」


「悪かったわね、所構わず誘惑しちゃって。私だって好きでこんなものぶら下げてるんじゃないわ。」


 サディスはカルマの皮肉に不貞腐れ、胸元からぶら下がるそれを見せつける様に持ち上げた。しかしカルマの視界にその様子は映りもせず、代わりに黒鱗で覆われた間抜けな少女の変わり果てた姿に思案していた。


 そのまま戦えばそれだけでも強そうだが、何せ周りの空間が崩壊しかけている。元々滅びゆく世界だから脆くなっているのかもしれないが、それは音に聞く「無の領域」だと言われても信じて疑わない程の光景だった。


 止めなければならない。少なくとも今は、これをこのまま放置すれば世界が滅んでしまう。


「それで、俺は何をすればいい?」


 いつになく余裕のない表情を見せるカルマに、サディスは胸の内で踊っていた。


 まさに、思惑通り。と―。


「あの子の魔力を吸い取って欲しいの。できれば体から直接。タマに同じような事をしたでしょ?それをすればいいわ。」


「なるほど。確かにまだ余裕はあるが……流石にどうなるかわからんぞ?」


「心配しなくてもいいわ。魔力の変換は私が補助してあげる。あなたはただ、その底なしの体であの子の全てを奪ってあげればいいの。」


 魔力の変換は思いのほか難しい。タマの時は内にある魔力を爆発しない程度に吸い取るだけだったが、今回とは比にならない量だ。素人のカルマが手に負える量ではない。それをサディスが補助してくれるなら、これも容易に終わるだろう。


「……ん?お前が吸えばいいじゃないか?余裕がある訳じゃないだろう。」


「外に漏れだしてるだけで充分よ。並みの魔法使いが五十人は爆発四散しちゃうぐらいの魔力なんて持て余すだけよ。」


「なるほど、確かに俺が適任のようだ。」


 なんだか利用されている気がしないでもないが、それでも今ヘラを失うのは愚策だ。化物の姿をした彼女に歩み寄っていくと、おおよそ目とは言えない向こうが白いだけの穴二つが、こちらをぎろりと見つめてくる。


 ギチギチと気味の悪い摩擦音をたてながら、口らしき純白の刃を持った山脈が上下に割れ、どす黒くも僅かに赤みを持った汁のような物がこぽこぽと音を弾けさせながら溢れ出してくる。


 それの頭部を鷲掴み下へ叩きつけると体が跳ね、多少肉付きのような柔らかい隆起が一瞬浮かんだ。


「……こういう事はもう少し、雰囲気を大事にしたいのだがな。」


 それが唇である間に、俺は自分の唇を隆起に押し当て、瞳を閉じて大きく息を吸い込んだ。


 その途端、化物の二つの白い穴が大きく開き、瞬間ひび割れてしまったパイプオルガンの音のような慟哭が空間に反響する。耳を劈くそれは、とても塞がずには居られない。


「黙れ。」


 但し、それが自分の耳だとは言ってない。俺は口の中に舌をちらつかせ、山脈の先を舌先で優しくなぞっていく。するとパイプオルガンの音は断続的に、まるで嗚咽するように切れ切れになる。


 サディスに目線で合図を送ると、すかさずサディスが複数の陣魔法と詠唱を始めた。何せ大規模な魔力変換だ。先程の慟哭で漏れ出した魔力も気にすれば、それだけの材料は必要になる。


 まぁそれは、任せておけばいいだろう。


 舌を奥へ入れ、口内に蟠った魔力を根こそぎ舐めとっていく。これが実に甘い、糖度の高い桃のような味がする。サディスやタマの魔力にも触れているが、味のする魔力はこいつが初めてだ。よほどの量を溜め込んでいたようで、どれだけ舌先で掬っても甘みが溢れてくる。


 すると、次第に柔らかくも熱を帯びた肉のような感触が徐々に舌先に広がり、舌にまとわりつくように、ねっとりと液を塗り広げてくる。それは更に甘えるように俺の舌裏に入りこみ、筋をなぞるように舐め回してくる。


「……ア”……ア”ァ”……ッ。」


 上ずったうめき声が口内でこだまする。口が塞がれて息が苦しいのだろうか、僅かに唇を離そうとするが、吸い寄せられるようにヘラの唇が付いたまま離れようせず、むしろ求めるように俺の唇を咥えこもうとする。さらにこれ以上離れないようにと体に腕を回して抱き寄せようとしてくる始末、その指が背中の肉に当たると、最初は刺々しい痛みを伴っていたが徐々に丸みを帯びた柔い感触になっていく。


 自分でも体が戻っていく感覚がわかるのだろうか。まだまだ溢れてくる魔力を吸い上げるようにすると、ヘラの体がビクンと強く跳ねた。


「ん”ん”っ”……んっ……んむぅ……。」


 背に食い込む指が更に深くなっていく。しかしそれは拒むようではなく、むしろこのままを望むように沈み込んでいる。やがて黒い鱗で覆われた身体からじんわりとぬくい熱が伝わってきた。暴れるようなそぶりも無く、夢中になって俺の唇を咥え続けるヘラ、それから吸い取った魔力も順調に体の底へ溜まっていた、その時だった。


 バシィィィィッ!!!、と空間が弾けたような感触。体の外から内までがひび割れるような感触が、それまで順調に進んでいた魔力の吸引作業を不穏にさせる。ふとサディスに視線をくべれば、これまで見たことの無いような、眉間に幾重にもシワが寄り額にも玉のような汗が浮かべ、閉じた口の裏で必死に噛み締められている焦燥した表情は、それまで用意していた魔方陣に、ふわふわと浮かぶ光の玉、恐らく精霊と呼ばれるそれを四体呼び寄せ巡回させていた。


「ぐっ……ダメ……魔力の質がぐちゃぐちゃでうまく変換できない。カルマ!一旦中止して!このままじゃあなたの体にヘラの魔力がそのまま流れてしまう!!」


 そう叫んだサディスの手元では早くも魔方陣が割れ始めていた。限界を迎え始めた魔方陣を無理やり精霊で維持させようとしたのだろう。それでももう長くはもたない、そしてその魔力がそのまま体に流れ込めば……。


 そう言えば、魔力を変換しなければどうなるんだろうな。


 サディスはやめろと言うが、その声がヘラに届いている様子はない。


「サディス、周囲に気を配れ。……このまま続ける。」


「カルマ!!魔力を変換できなければ、魔力に意識を持ってかれるわ!!それ以上は危険よ!!」


 なんだ、そんなことか。


 ならば、俺が俺であればなんら問題はない。


「ヘラ。もう少し、身体を寄せろ。」


「んぐっ!!……んんぅ……。」


 もう口元は人間のそれに戻ったヘラを背中から抱き寄せ、強引に体を引き寄せると驚嘆が甘えるような甲高い声で上がる。それすらも飲みこもうと容赦なく舌を絡ませると、ヘラはそれを待っていたかのように舌の動きを合わせてくる。


 依然として魔力は流れ込んできている。体中を覆っていた鱗が剥がれ、所々なめらかな素肌が露わになってきてはいるが、それでもまだ舌を這わせた後の甘美な味は衰えを知らない。ヘラも呼吸が切れ切れになっている。もう口づけだけでは限界が近いのかもしれない。


「少し、こそばゆいぞ。」


 俺はヘラの耳元に口を寄せて囁くと、汗で艶めかしくなった首筋がぴんと強張った。それに顔を寄せ、舌先でうなじをゆっくりと一撫でする。するとまた大きく跳ねた体が小刻みに震えだし、愛しさに溺れた両腕が俺の体をまさぐっていく。


 ゆっくりと体を落としながら、舌先は首筋から胸元へ。僅かなふくらみの中央にあるくぼみに近づくと、ヘラの体の震えが一段と強くなる。そして両手が俺の頭を押さえつけると、背を丸めて抱え込むようにし、俺を逃がすまいと抱きしめる。


 ぴしっ、ぴしっ、と亀裂音がする。それがこの魔力に飲まれた空間がひび割れる大人のか、ヘラの身体を覆った鱗が弾ける音なのか、どちらにせよこの状況は終わりに近い。この溢れるばかりの甘美も終わってしまうのかと思えば、それは少し愛しく切なく感じる。


 それならば、今ここにあるこの甘美な世界を、全て俺の物にしたい。余さず、この体の中に―。


「……これは……!?」


 既にサディスによる魔力変換の補助は消えている。しかしカルマは魔力の吸収をやめず、むしろ補助を受けていた時よりも強い力で魔力を吸い上げている。空間を支配する魔力が軒並み、脈を打っているように点滅し、それが不規則な色の変化を繰り返すコントラストを生み、一段と幻想的な世界を想像している。


「魔力が同調している……。まさかそんなことが……。」


 サディスは額に玉のような脂汗を滲ませ驚愕していた。


 魔力の同調、それは本来人それぞれの質である魔力にとって稀有すぎる現象だった。万人が万人違う質を持つ魔力が一致する事など、サディスの経験上ではほんの一度も存在しない。99%が一致しても小数点以下の数値が合わないだけで暴走を起こす、それが完全一致することなどほぼ存在しないのだ。それが今、この二人の間には起きている。


(本当に……偶然とは思えないわね。この二人がここに居ること自体が……。)


 もうこれは運命と言っていいだろう。この二人ならば本当に、世界を救ってくれるかもしれない。魔王ですら諦めた世界の救済を。そして、自分の悲願も―。


(私は……私がやるべきことは……。)


 そして、この二人が偶然でなく運命だとすれば、自分も例外ではないだろう。ならば自分のするべきもの、運命に求められている選択は……。


 サディスは拳を強く握り締め、点滅を繰り返すコントラストの中にいる二人を見守る。余さず漏れ出す魔力を舐めとっていくカルマと、その身を預けて蕩けきった様子のヘラ。世界の中心で起きている現象を、まるで特等席で眺めているような気分になる。


 そして当事者の二人は、世界を置いていくかのようにまぐわり合う。一方は相手の体に顔をうずめて求めるように、一方はそれを腕で包み込むように抱きしめながら応えるように、互いが互いを引き付け合って離さない。


「カ……ルマ……カルマぁ……。」


 ようやく顔の半分が戻ってきたヘラが、熱にうなされ蕩けた眼差しで甘えるような子猫の鳴き声をか細い喉から捻りだす。そしてその突き出された舌を、カルマは優しく咥えこんで周りを舌先でほぐしていく。ヘラは舌を撫でまわされる度に体を強く震わせ、うっすらと瞼に涙を浮かべながらもその瞳は快楽に溺れ切っている。


 やがて舌先から全身を包み込んでいた甘美さが薄れていく。もう終わりが近い事を悟ったカルマは、ヘラの腰と肩に腕を回して強く抱き寄せる。


「……そろそろ終わりだ。力を抜け。」


 そして、開いたまま閉じないヘラの唇を上から覆いかぶさるように包み込んで、そこから漏れだす湿っぽくも艶やかな吐息を惜しみなく吸い上げる。


「ん”ん”ん”ん”っ!!……ん”むぅ”っ”!!…ううっ……。」


 急激に体内のものを吸い上げられ、経験したことの無い電流に襲われ悶える事しかできないヘラ。しかしその暴れる腕は押さえつけられ、なす術も無く体の内にあるものを吸い上げられていく。強引に、しかしそれがどこか優しく、肌越しに伝わってくる別の鼓動が心地いい。次第に体中を支配する電流も気持ちのいいものになっていく。


 もうどうあがいてもどうにもならない。今私は彼の物なのだ。彼に支配され、彼の物になることに満たされていく。それが私を満たしていく。それが心地よくてどうにもならないのだ。自分に正直になれば、その強引な口づけにも擦り寄り、甘えるように身を寄せられてしまう。


 私が、満たされていく。残り少ない自分が吸われていくのを感じながら、ヘラは静かにその時を待った。


「………………終わりか。」


 カルマが唇を離した時、魔力に支配された空間は粉々に砕け霧散し、元の二人では少し手狭な宿屋の部屋に戻った。体内を巡る強烈な暴虐がまだ腹の中を抉ろうとするが、それも時間の問題だろうとカルマは蟠りを飲み干した。


 すべてを終えた余韻の中でカルマの瞳に映ったのは、半裸のまま火照った体を打ちあげるヘラが、蕩けた紅い表情に満足気に涎を垂らして横たわる姿のみ。それを少し愛しく思うのは錯覚だろうと、疲弊した体をその隣に打ち捨てたのだった。

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