白い部屋

cacao

第1話 序章

今日は4月29日、やや暑い初夏になりかけている普通な日。



いつも通り休みの日なので彼女と2人で過ごすことになっている。

お互い休みの日はできるだけ、どちらかの家に行き過ごすという約束をしてから

しばらく経ち、少しマンネリ化しているとお互い思い初めているんじゃないかと

心配になっている最中に事は始まった。



「次の休みは大事な話があるからちゃんと会ってほしい」



その一言だけが、携帯に残されていたのが4月28日

そう、昨日だ。

明日から2連休とりあえずは空いていたので、予定通り会うことに。



部屋に着いて、いつも通り何も言わずにドアを開けると

意外にも何も変化はなかった。

ただ一つ違ったのが、彼女の表情だ。



いつも通りといえばいつも通りの彼女だが、

明らかに何か言いたそうな表情が伺える。

俺が部屋に入ったことに気づくと、笑顔で迎え入れてくれた。

その笑顔に何度救われたことか。やはり好きだ。



正座で座っていたので、俺も彼女の目の前に正座で座り、

「何かあった? 話したいことって何?」

少し不安だったので、単刀直入にきいてしまった。

ただし答えは早かった。しかも早口気味に。



「5月1日から1ヶ月間指定した部屋にいてください。

 出られないし出しません」



それを聞いた時ポカーンとしてしまった。

まず仕事のことが浮かんで、仕事があるから無理と即答で言うと

色々準備はできてる。だから大丈夫とのこと。



・仕事は休みにしてあるから大丈夫

・その1ヶ月間最低限のことは支給する

・アリバイは作るから何もかも心配しないでほしい



この3つを聞いても何もわからなかった。

ただ一つ、すでに仕事を休みにしているとい事実がある以上

俺としては何も手を出せないし、何もできない。

となると彼女の言うことに従うを得なくなってくる。

なので話を飲み込むことにした。



指定した部屋に関して聞いて見ると

別の部屋を4月から借りる予定になっているらしい。

内装としては窓は無し。トイレやお風呂に関しては自由。

ただし、条件としては手錠をされている上、部屋からは出られない。



ネット環境はもちろん、外部との接触は禁止。

人の顔を見るのも、話すのも触れるのも彼女のみ。

つまり監禁生活が行われるとのこと。

俺からすると本音を言えば、元々束縛や独占に関しては賛成派だ。

ただし、いざこう言う状況になるとどうしたらいいかわからなくなる。



なぜこんなことをするのか聞いて見ると


「君を独り占めしてこのまま溺れさせたい」



ただこの思いがマンネリ化とともに強くなり

徐々にバレないように準備を進めていて、会社の事務の子とも接触してたらしい。

怖いと言う感情もあったが俺としては冷められているんじゃないかと

思い始めていたので、不安が溶け喜びに変わった。



詳しい話を聞いていくうちに

俺の中での不信感やその行為に対しての疑いがなぜか薄れて来て



面白そうだし彼女が望むことならいいんじゃない。



なんて思うようになって来て

彼女としては無理やりするつもりはなかったらしいので

合意してやる気があるのならば行動に移そうとのこと。



1ヶ月耐えられるかわからないが、やって見る価値はある。

俺が1ヶ月後にどうなってるか、その姿が気になって仕方がない。

明日までに俺がすべきことを済ませなきゃいけないので

今日は俺の家に帰って彼女が泊まることになった。



俺の家で起きたことは

話すことでもないし、特にアクションも起きなかった。

けど、時間が近くにつれ少しずつ恐怖感は生まれて来た。




最後に。

忘れていけないのは

俺が彼女を愛してるが故に彼女のためを思ってしてるということ。

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