復讐学校のおちこぼれ卒業式

ちびまるフォイ

全員卒業してほしい!!

「いいか。復讐学校で卒業できるのは、復讐を完成したものだけだ。

 この1年間でお前らをびしびし復讐者に鍛えるからな」


復讐学校の担任は目をぎらつかせた生徒たちに熱弁を振るった。


「では授業をはじめる!!」



復讐学校に入学する理由はさまざまだ。


「俺は家を出て行った親父に復讐する」

「私は裏切った元カレを許さない」

「ぼくのポチのかたきを取ってやる……!」


「お前は誰に復讐するんだ?」


「僕は……誰だろう」


「決まってないのか。よくそれで学校入ったな」


「あはは……」


復讐方法もさまざまで授業では社会的抹殺の方法から

実際に相手を殺すための方法まで幅広く行う。


生徒の幅広い復讐のニーズにこたえるためだ。


僕はというと……。


「貴様! やる気あるのか!! また失敗じゃないか!」


「す、すみません……」


「もっと復讐したい相手の顔と憎悪を煮えたぎらせて授業を受けろ!」


「はぁ……」


「言ってみろ! お前の復讐したい相手は誰だ!!」


「え、えっと……」


「補習だ!! すぐに名前を出せないへたれは補習してやる!!」


僕の復讐意欲はひとより弱かった。

担任は落ちこぼれの僕を授業で行った復讐拷問を体験させた。


「苦しいだろう! それもこれもお前の復讐相手が悪いんだ!

 お前の復讐相手がいたから、お前も学校に入ることになった!

 そして今。こうして拷問を受けているんだ!!」


「…………」


「さぁ、憎め! お前の復讐相手を憎むんだ!!!」


担任からの教育的指導は何度も行われた。

迎えた卒業式間近のホームルームで先生は全員を教室に集めた。


「みんな、明日は卒業式だ。前にもいった通り卒業できるのは復讐できたやつだけだ。

 落ちこぼれもいるみたいだが、先生としてはみな卒業してほしい」


担任は生徒ひとりひとりの顔を見渡した。

誰もが復讐心の冷たい炎を目に宿している。


「さぁ、自分を虐げてきたやつらに復讐してこい!!

 そして思い知らせてやれ!

 人の恨みを買った人間がどうなるかを!!」






翌日、卒業式が行われた。


「えーーどうも校長です。みなさん卒業おめでとうございます。

 今年はなんと全員卒業できて本当に嬉しく思います」


復讐学校の生徒はみなすっきりした顔で卒業証書を受け取った。

僕も復讐を完遂できて本当に晴れやかな気分だった。



「天国の担任の先生もきっと喜んでいるでしょう」

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