妄執のネオミア:注釈(あとがき、もしくは設定説明など)


 はい、注釈です。

 今回のエピソード、妄執のネオミアは相当わけわからん所がありますので。


 といっても読んだ人が思ったり感じた事が全てだと思うので『こういう話だった』というビジョンがある方は、読まない方が良いと思います。


 注釈といっておきながら、肝心な所は想像にお任せする可能性もありますので、ご了承ください。



 今回は、他所の地名が出てきたり、時系列がこんがらがっていたりと色々一人称の限界な部分があります。そんなわけで、まず、あらましの歴史から。


 の前に一つ。まず説明をする為の、説明を。


 異世界の年号、国号、地名の名付けは、時の支配者が行うもので、

 左大陸、中央大陸、右大陸、の名称は、大陸を支配するほどの支配者が存在していない証である。

 後、単純に世界が丸いと思われていない。海洋進出技術の未発達。壊血病の存在なども原因である。

 ザワークラウトとか、ライムジュースがあればワンチャンあるかも。


 ただ、中央大陸は事実上エリュシオンが支配しているも同然であり、そこを拠点に左、右大陸に支配、侵攻しているのも事実である。

 なのに、何故中央大陸をエリュシオン大陸と名付けないのか?

 現在、獣狩りの王子から連なる集団が、拠点としている白亜の都市エリュシオンは、元々エルフが造り上げたものであり、ヒームが奪ったからである。

 改名する事もできたのだが、簒奪者は、そのままの名前の方が奪われたエルフの屈辱になると考えました。リリディアス(静寂のドゥイン)が建国したというのも、割とデタラメというか、後世に作られた歴史が定着した結果である。


 合わせて、ヒームの王:ラ・ヴァルズ・ドゥイン・ガルガンチュア亡き後、

 王子達の内輪揉めと、政治的な空白、民の俗説など、様々な理由が混ざって合わさって剥がれなくなったので、一から作るよりか、今ある流れを利用する考えに至ります。


 そんなわけで、エリュシオンという名前は、中身がごっそり入れ替わったのにも関わらず、

 今も使用されています。

 奪われたエルフも、長い時の中で白亜の都市の存在を忘れてしまいました。もちろん、奪ったヒームの中にそれを知る者は少ないです。


 本編中、王の間である描写に。


 天井には、輝く山々と獣の姿をした巨人の姿。

 右の壁には、エルフとドワーフが巨人と戦う姿。

 左の壁には、エルフがヒームに麦穂を授ける姿。

 奥の壁には、王冠を被ったヒームが巨人を倒す姿。


 とあります。

 つまり、旧獣人と最初戦っていたのは、エルフとドワーフであり。

 ヒームが参戦したのは後。


 エルフが、ヒームに麦穂を授けているのは、


 閑話休題。


 簡単な右大陸の年表。(注:年号を書くと混乱させてしまうので、単純に現在から何年前と記します。今回話に関わった国のみの情報です。


【1100年前】

 ネオミア建国。


【600年前】

 青鱗公が、ロージアンを建国。


【500年前】

 デイモス・ザモングレア(バーフル)ロージアン王族を暗殺。

 青鱗公の狂乱。竜なき後、エリュシオンの軍勢がロージアンを滅ぼす。


【495年前】

 豊潤の都ネオミアが冬で滅びる。吸血鬼が蔓延する。

 エリュシオンの侵攻、エンドガード最後の戦い。

 エリュシオンの軍勢が、ラウカンにより滅びる。


 バーフルの誕生。



 続いて。

 色々な理由と目的について。

 

【エリュシオンが、ロージアンを滅ぼした理由】


 ネオミア侵攻の足掛かりです。

 エリュシオンが最も邪魔と感じていたのは、ネオミアが持っていた歴史です。

 ネオミアは、エリュシオンが追放した者達が建国した国で、

 エリュシオンが隠したい情報をしっかり保存していました。

 交渉の材料として金をせびっていたりもしました。

 ネオミアが、大陸の僻地でありながら、文化的に、経済的に発展していた理由は、

 そのエリュシオンの金銭があったからです。


【エンドガードなに?】


 グラッドヴェインがいっていた”古き勇士”の末裔です。

 左大陸から吸血鬼を追ってネオミアに辿り着き、ダンジョンに逃げられ、根源の討伐はできず。

 時のネオミアの王の懇意により、街外れに居を構える事になりました。

 実は、ネオミアの王は吸血鬼の行方を掴んでおり、討伐させようと思えばできたのですが、

 エンドガードの戦力を防衛に回したい、という奸計により吸血鬼の存在を隠しました。


【青鱗公は何故ネオミアに?】


 まず、青鱗公が幼王フォンの前に現れた時、ボロボロになっていた原因から。


 ロラが朽鱗公の死骸を喰らった事に怒りを覚え、青鱗公はヴェルスヴェインの武門を襲撃しました。

 ところが、グラッドヴェインの竜狩りの加護を持った弟子達に、返り討ちにあい右大陸に逃亡。

 ヴェルスヴェインも甚大な被害を受け、この後に起こる戦乱に巻き込まれ滅亡しました。


 人間にすり寄ったのは、グラッドヴェイン達に敗北した事で興味を持ったからです。


 最後に、家族を殺され狂った青鱗公が願ったのは、奇しくも朽鱗公と同じ自分の死でした。

 ネオミアに向かったのは、グラッドヴェインと同じ匂いのするエンドガードがいた為。

 彼らに殺される為です。


 ただ、最後の血族である「ご婦人」を前にした時、少しだけ正気を取り戻し、青鱗公は長き眠りに就きます。

 竜の眠りの後、ネオミアには冬が訪れ、本編通り吸血鬼を蔓延させて死都と化します。


 ある意味、もうネオミアは滅んだも同然なのですが保存した歴史を破壊する為(建て前は吸血鬼退治、もしくは竜退治)エリュシオンは軍を送りエンドガードと共に壊滅しました。


【ラウカンの呪法について】


 古き勇士が、左大陸の黒い狼”古き者”と契約した呪い。

 吸血鬼の呪いに対抗する為の処置でしたが、最後は彼らの願いを汲み取り呪いが変性して、敵を食い尽くす白い狼となりました。


 エンドガードがネオミアの為に命を捨てたのは、

 彼らがそういう戦士だったとしか説明できません。


【バーフルが話したエンドガード&トトの存在】


 一部でバーフルが話したエンドガードの話ですが、大体デタラメです。

 何故こんな話を流布したのかというと、

 エンドガードとネオミアに所縁がある者を探していたからです。

 白鱗公の結界を抜ける手立てがなかったので、土地の者しか知らない裏道や、呪法、魔法の手段、何でも良いので、情報を集める為、もしくは興味を持った冒険者を巻き込む為、気の長い手を使っていました。


 その手段に引っ掛かったのが、テュテュの母親であるトトメランジェ。

 トトの祖先は、ネオミア冒険者で、バーフルは、何かしらに利用できないか探っていました。


 後にトトは病死。祖先から聞かされていた、故郷に帰りたいという彼女の願いをバーフルは叶え。

 遺体はネオミアの雪原に埋められ、ご婦人が回収、夢の住人として取り込まれました。


【夢のネオミア】


 ソーヤが入り込んだネオミアは、現実のネオミアではありません。

 

 問題は、誰の夢だったのか? という事です。

 白鱗公は、青鱗公の夢だと本編ではいっていましたが、

 それだと骸骨椅子に座った死体とかの説明がつきません。

 つまりは、竜の夢ではあるが、竜だけの夢ではない、という事です。


 白鱗公が結界を張っているのは、何も中を守る為ではなく。結界がないと、現実を侵食する夢の領域が拡大するからです。夢はいずれ全てを取り込み、世の中を無に還す危険があります。


 ネオミアから端を発した冬も、少しずつ右大陸を侵食している状況です。


 ロージアンの大鐘楼という裏口も存在しますが、あれには青鱗公の魂が宿っている為、破壊すると狂った竜が目を覚ます危険もあるので、現在放置せざる得ない状況です。


 白鱗公が大陸を廻り人間と接しているのは、

 好奇心と、

 この状況を打開する手段を人間が生み出すと信じているからです。


【バーフル&デイモス・ザモングレア】

 英雄の尖兵は、名声を英雄に譲る為の影の騎士です。

 基本、元々武勇に富んだ騎士が免罪の為に行います。


 ザモングレアの罪ですが、簡単にいうと女です。

 法王の愛人に手を出して孕ませて、逃亡の後に捕縛され影の騎士に。


 基本的に、影の騎士が免罪できたという前例はありません。

 事実上、使い潰される死刑です。


 国崩しという無茶ぶりに応え、

 ロージアンを滅ぼし、結果的にネオミアも滅ぼし、だが最後はネオミアの王と相討ちに。


 そして、竜の悪夢として神格を得て獣頭の男に。

 あの姿は、忌血とラウカンと悪夢が混ざって馴染んで変性した姿です。


 バーフルの姿でエリュシオンに帰還するが、

 子孫であるザモングラスがいう【恐ろしい英雄】に敗れ、妻子に会う事は叶わず。

 青鱗公の首を持って来たら、妻子に合わせると英雄が言い。

 従い。

 右大陸に戻るが、白鱗公の結界に妨げられネオミアには戻れなかった。


 子孫であるザモングラスの最後が、白い狼のような獣なのは、

 ザモングレアとエンドガードの因縁の現れと、ただの皮肉です。



 以上で、注釈終了となります。

 他に疑問などございましたら、お気軽に感想ください。



 以下、追加文注釈。

 


【バーフル&デイモス・ザモングレアの最後】


 王の間にあった二つの遺体。

 片方はネオミアの王と、もう片方はデイモス・ザモングレア。

 これが何なのか? という事から。


 簡単な時系列で説明します。


 ネオミアに青鱗公が降り立つ、夢を見る。

 ↓

 冬が訪れる。(竜が眠ると冬が訪れる理由は、異世界上空に寒気が停滞している。渡り鳥が存在していない理由。代わりに羽兎がいる理由等々、後に語る機会があればいれます)

 ↓

 青鱗公の夢が徐々にネオミアを侵食。

 ↓

 ネオミアの住民吸血鬼化。

 ↓ 

 エンドガードがラウカンを発動させて、エリュシオンの軍勢壊滅。

 ↓

 ザモングレア、重症を負うがラウカンを突破してネオミアの王と一騎打ち。

 王を倒すが、ラウカンに受けた傷により死亡。

 ↓

 双方死んだ状態で、青鱗公の夢に取り込まれる。

 ↓

 青鱗公が、取り込んだ相手が自分の家族を殺した人間だと気付き悪夢として、夢から吐き出す。

 ↓

 バーフル誕生。


 

 ソーヤがやったのは、バーフル(ネオミアの悪夢)の目の前で、ザモングレアの遺体を壊し、

 自らの死を自覚させてバーフルを消滅させた。

 という事です。


 そもそも、バーフルは白い狼と孤軍奮闘して戦った時点で、満足して成仏しています。

 残ったのは、忌血の影と、待つ者がいない場所に帰るという妄執。

 その元になった体を壊した事でバーフルを消滅させました。


 まあ、簡単にいうと本体がそれだった的な事です。

 もしくは、クロノトリガーのラスボスの本体が隣のビットだった的な。

 

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