<第四章:再会の時、来たる>【02】


【02】


 マリアと共に、灰になった城下に降り立つ。

「嘘だろ」

 アシュタリアの王城。天守に近い位置、恐らくは僕が召喚されたであろう聖堂が、吹っ飛んでいた。今まさに、黒煙が舞い上がっている。

 ここからも中の構造が見えた。

「マリア、跳べるか?」

「行けるが、中の状況が見えない。すぐ飛び込むのは危険だぞ」

「僕は、短い時間なら姿を消せる。先に送ってくれ。安全が確保できたら連絡する」

「うむ。貴様の通信機は?」

 メガネを指で叩く。

「これだ。全周波数で呼びかければ、お前の通信機が拾うはず」

「分かった」

 マリアが指を鳴らすと、ポータルが現れる。

 企業が大規模設備で作り出した物が、こんな簡単に。 

「行け、ソーヤ」

「おう」

 外套で透明化してポータルに飛び込む。

 重力の解放から、目を瞑っても眩い光に包まれ、次は闇に、重力と光が戻り、体が落下する。

 目を開けると、目の前に床が迫る。

 流石に慣れてきたので上手い事に着地。

 外套の透明化は、後三秒。その短い時間に状況を分析する。

 倒れたアメリア王女が、襲撃者に頭を踏み付けられていた。

 陛下が大剣を構え、後ろにはレグレと近衛兵。更に後ろにはデュガンとその配下。

 襲撃者の周りには、無数の杖が浮かんでいる。全て古びた魔法使いの杖だ。

「これが、ヒームの姫のする事か!」

 叫ぶ襲撃者は、白いローブ姿に冒険者の装飾を付けたエルフだった。

 大きな杖を掲げ、弓を背負っている。弦が胸に食い込み大きさを強調していた。

 小柄だがグラマラスという高性能。昭和の表現だが、これをトランジスターグラマーという。

 サラッとした金髪を振り乱し、可愛らしい顔が鬼気と周りを威圧している。普段下がり気味の長耳が吊り上がっている。しかし、怒っても可愛いな。

 聖堂を破壊して、野外会場にしたのは彼女の魔法だろう。

 周囲の人間からしたら、萌キャラが超絶な破壊行動をしているようなものだ。

 陛下が攻め辛そうにしているのはそのせいなのか。

「お父様! 早くこの長耳を斬り殺して!」

「ぐ、しかし」

「亡き妹の姿に化けた下衆ですよ!」

「くっ」

 そんな親子の会話を聞いた。

 ロラの偽装が解ける。八秒ほど透明化していた。僕の予想よりも長かった。

「あの、双方落ち着いて」

 急に現れた僕に、全員が面を喰らう。

 僕は陛下と、襲撃者の間に立つ。というか、妻であり、生涯を誓った伴侶である。

「や、ラナ。君の夫だよ」

「あな、あなたぁぁぁぁ!」

 ラナが僕に飛び付いて来た。

「ごふっ」

 6メートルをひとっ跳び。リアル八艘飛びである。

「無事ですか?! 怪我はありませんか?! あなたに苦痛を味あわせた者を教えてください! 親類縁者を根絶やしにします! 取りあえず、この国の王家と民は軽く焼き尽くします!」

「落ち着け」

「はぶふうぅ」

 両手でラナのほっぺを挟む。面白い声が出た。

 彼女は、むぎゅっと身を寄せ背中に手を回してくる。

 唐突に、思ったよりも早く再会できた。………嬉しい。感無量。ああ、可愛いなぁ。もう。それと、この胸の塊。超落ち着く。世界がどうでもよくなってくる。

「陛下、アメリア王女。お騒がせしました。彼女は、僕の妻で。ラウアリュナ・ラウア・ヒューレス。右大陸、ヒューレスの森の姫であり。レムリア王国の冒険者。ホーエンス学派、終炎の導き手であります」

「なっ、ソーヤ。真か?!」

 陛下が驚愕の表情を浮かべる。この人がこんなに驚いているのは、初めて見た。

「真です。僕には、もったいない妻ですが」

「いえ! いえいえ! 私にこそあなたがもったいないです!」

 ラナに謙遜される。

「いやいや、僕の方が」

「いえいえ! あなたの方が」

 コントみたいなやり取りをする。

「うむ。夫婦が仲良きことは良き事だ」

 陛下がほっこりしていらっしゃる。

「お父様! 笑っていないで懲罰を! あなたの娘が足蹴にされたのですよ?!」

「しかし、アメリアよ。しかしだな」

「それで、あなた」

 ラナが、笑顔の後ろに恐ろしい殺気を隠して、陛下とアメリア王女を見る。

「そこの愚姫が、あなたを召喚した者で間違いないでしょうか?」

「あ、はい」

 しまった。

 迫力のあまり、嘘を吐くのを忘れた。

「ちょっと国を焼き払うのでお待ちを」

「ちょ!」

 さらっと怖い! 

 ラナは僕から離れ、吹っ飛ばした壁からアシュタリアの街並みを覗く。

「あら、まさか。あなた………もう既に?」

「君と一緒にするな」

 できるか。

「お父様! 今です!」

 背中を向けたラナにアメリア王女が叫ぶ。

「はあ?」

「ひぃ」

 ラナの剣幕と同時に、中空を漂っている杖の一本がアメリア王女の頬を掠めて床に刺さる。

 この杖、ファンネルですか?

「古い魔法使いの魔力が宿った杖です。鋼すら楽に貫きますよ?」

「ひっ!」

 杖がもう一本、アメリア王女の股座を掠めて刺さる。大理石を豆腐みたいに貫いていた。

 ちょっと見ない間に、ラナがパワーアップしている。この杖、ロラの犠牲者の物だよな。

 感心して見惚れていると、半壊した聖堂に地響きが鳴った。

 何かと思うと、陛下が片膝を着いた音だ。

「ソーヤの奥方よ。我が娘が多大な迷惑をかけた。最早、国を預かる身ではない故、一人の父親として詫びを入れよう。すまなかった」

「なっ、陛下! お止めください!」

 超絶申し訳ない。

 飛び込みで土下座しそうになる。

「よい! よいのだソーヤ。そなたを勝手に召喚して、才覚が読めないと縁のない土地に一人捨てるなど。王の所業とて許されるものではない」

「キ・サ・マ」

 ラナが、ちょっと表現してはいけない顔でアメリア王女を見ている。

「アメリア! そなたも謝罪せぬか! このエルフの美姫は、我が臣下の妻であるぞ」

「え、美姫なんてそんな。ん、うん」

 褒められ慣れていないラナが、一瞬照れて、すぐ元の剣幕に戻る。

「しかし、お父様」

「ソーヤは、アシュタリアとロブスの同盟を繋いだ男。滅びかけのアシュタリアを、一国同等の価値として認めさせた男だ。自棄になっていた愚生を説得して、身を売ってアシュタリアを救ったのだぞ。これが、救国の勇者ならずして誰をそう呼ぶ! デュガン! お前もそう思うだろ!」

「うむ」

 かなり離れた所にいるデュガンが返事をする。臣下の方々が、危ないから前に出させないようだ。

 どうしよう。ラナが、完全に危険人物として扱われている。

 アメリア王女が、渋い顔で渋々謝罪する。

「………アシュタリア救国の勇者、ソーヤよ。凡人と見間違え捨てた事を、詫びさせてもらいます。どうか、お許しを」

「あ、はい。僕は別に気にしていません」

 ちょっと罪悪感が。

 そもそも召喚したのはアメリア王女ではない。トーチの野郎だ。

 召喚された後の処遇は、多少恨みはあるものの、ラナがした事を考えれば帳消しだ。というか、帳消しにしてください。

 この聖堂の修繕費、文化的な価値とかを考えると恐ろしい額になりそう。

「私は………………あなたが許すというなら従いますが、一つお願いがあります」

 納得したラナが、こそっと僕に耳打ちをする。

(私、子供が欲しいです)

「ごふっ」

 咽た。いえ、まあ、結婚と同じで急だな君は。何でこう助走なしでクライマックスを持って来るんだ? いいけど。

「陛下、オーケイです」

「良し」

 陛下に親指を立てた。陛下も僕の真似をして親指を立てる。

 万事、解決した。

 しかし陛下を含め、王城の近衛兵までもがラナを凝視している。破壊の後の、敵意とはちょっと違う目線だ。

 離れていたデュガンが、臣下を押しのけ近寄って来る。

「そこのエルフ、イリスエッタ嬢に似ているな。まるで成長して戻って来たかのようだ」

「デュガン、お前もそう思うか」

「不愉快ですわ」

 陛下は好意的な意見だが、アメリア王女は不機嫌そうだ。

 似ているのか、ラナは陛下の娘さんに。遠いが血の繋がりはあるのだ。不思議ではないか。

 今となっては儚い願いだが、会って見たかった。

「うむ、大きいな。余の妻達と比べても大きい」

「で、あるな」

「お父様!」

 王二人がラナの胸を凝視した。咄嗟にラナを背に隠す。

 四強の諸王が、はしたない。止めてください。

「ソーヤ。お前エルフの妻がいるって、本当だったんだな」

「そうだ」

 寄って来たレグレに、ラナを自慢する。

「あなた、こちらは?」

「シュナの師匠だ」

「あらまあ」

 ラナは、ようやく穏やかな顔で人に接してくれる。

「あんた、うちの弟子をその体で誘惑しないでくれよ」

 するか。させるか。

「シュナ様は、銀髪の方しか異性として見ていないので大丈夫ですよ」

「そ、そっかぁ」

 レグレが落ち込む。こいつにも、少年の夢を踏み砕いた罪悪感はあるようだ。

 ………………あ、忘れていた。

「いや、ラナ。一体どうやってここに来たんだ?」

「愛と資産の力です」

「なる、ほど?」

「あなたが取得したロラの遺品、数多くの古い触媒がありましたよね。魔法の触媒は古ければ古いほど優秀です。それに神の血を合わせれば、力技で空間を開けるくらい訳無いです」

「君はホント凄いな」

「あなた、もっと褒めてください」

 渾身のドヤ顔のラナ。

 あ、今妹との血の繋がりを濃密に感じた。

 彼女の頭を撫でるか、おっぱいを揉むかで悩んでいると、メガネに通信が入る。

『おーい、おおーい! 聞こえるかぁ?』

「おう。聞こえる」

 マリアからだ。

『南側を見ろ。面白いものが見られるぞ』

「ん?」

 見ようとして、

「報告します!」

 王城の近衛兵が血相を変えてやって来る。

「南方の平原から、エリュシオンの外征軍と、組みした諸王の軍が。少なくとも六万はいるかと!」

 デュガンも、自分の部下から何か耳打ちをされている。

 察して陛下が動く。

「デュガン、今動ける者は何人いる?」

「負傷者を抜けば、三万だな」

「速い騎兵を貸せ、500でいい。愚生には最も速い軍馬だ。ヴァルシーナに勝るとも劣らない名馬を用意せよ」

「待て待て、ダインスレイフ。いきなりでは、こちらも困る。それにヴァルシーナと比類するような名馬などおらぬわ」

 陛下がデュガンから兵を募ったら、カリスマで行列ができる。明日にでも新生アシュタリア王国の軍が完成する。流石に、デュガンも面白くはないだろう。

 王二人の言い争いを尻目に、聖堂から外を覗いて敵を見る。

 多いなぁ。

 白と灰色の混ざった軍勢だ。報告では六万といったが、これ。

「陛下! 八万はいます! 後、攻城兵器も多数!」

 複数ゴーレムが巨大なカタパルトを牽引している。数は二十。ご丁寧に、破城槌も三十ほど。

 完全に城攻めの様相だ。

「あなた」

 ラナに、袖をクイクイ引っ張られる。

「ベザ・ホーエンスの旗があります。戦従魔法使いがいますね」

「陛下! 魔法使いもいます!」

 足音を立てて、陛下が僕の隣に並ぶ。

「何人だ?」

「最前列、中央部に」

 大きな盾を持った騎士に守られた魔法使いの集団がいる。冒険者のそれとは違う。すれて煤けた雰囲気。

 ラナにメガネを渡して、望遠機能で顔を見せる。

「ジュミクラ、ホーエンスと魔法の学徒は、特定の勢力には加担しないのですが、ベザ<異端>は別です。戦場にこそ、魔法の術が必要であると信仰している。ただ私が、知っているような顔は………………ありませんね」

 ラナが知らないホーエンスの使い手なら、フレイクラスはいないだろう。

 実際、あれ一人で軍が壊滅するレベルだ。というか、僕の隣に………

「あなた、こういう時は私に頼るべきだと思いませんか?」

「思う。できるよな?」

「愚問です。伊達で終炎の導き手といわれていません」

「ほう、奥方。策があるのか?」

 陛下がノってきた。

「私には策はありません。あるのは魔法です。取って置きの私の矜持です」

 パッと小さい明かりが弾け、マリアが僕の後ろに現れた。

 周囲から注目を集める。フードを被って容姿を隠していたが、大丈夫なのか。

「ソーヤ、ダインスレイフ、どうするのだ? また突っ込むか?」

「そんな事、私が許すわけがありません。え、あなた………ミスラニカ様?」

「だから、誰が忘らるる者であるか。な………変なエルフ」

 マリアがラナの、主に、胸を見ていう。

「む、何ですか。あなただって変なエルフです。髪も肌も黒いし」

「なに! お前だって、小さいしおっぱいデカいし! 耳だって下がってるし!」

「あなたも小さいでしょ。というか、私よりあなた小さいでしょう」

「妾はこれから大きくなるのだ!」

「私だって大きくなります!」

「胸がか?!」

「ここで戦争するのは止めてくれ」

 女の戦争を止める。

 というか、疑問を一つ訊ねる。

「ラナ、ホーエンスは特定の勢力に加担してはいけないのなら、君がここで魔法撃っても不味いのでは?」

「はい、発覚すればホーエンスの学籍は剥奪され、記憶を奪われます」

「なら駄目だ。アシュタリアや、ロブスの軍勢は精強だ。任せて問題ない」

「あなた、バレなければ大丈夫なのです」

「えぇ」

 そんなアバウトな。

「実際、似た様な事をしたホーエンスの魔法使いは数多といます。ここの軍は精強なのですよね? なら、私はあの軍を一時的に足止めして弱らせます。それで良いでしょうか? アシュタリアの王よ」

「愚生は、王座は捨てた。アメリアよ、それで良いか?」

「お父様の、お好きに」

 アメリア王女は疲れた顔で玉座に着いている。なんか、すみません。

「では」

 ラナが杖で床を叩く。大きく叩き、皆の注目を集めた。

 視線を浴びながら、澄んだ声で叫ぶ。

「これより行う魔道の術。その全てに目を閉ざし、口を閉ざしなさい。もし、この禁を破るのなら、この国は再び炎に包まれるでしょう。しかし、裏切りの侮蔑は長寿の者達が永遠と語り続ける。これより起こるのは、自然の摂理。我が、ヒューレス秘匿の術」

 彼女が主役の演劇を見ているようだ。

 エルフは杖を掲げ、言葉を紡ぐ。

「我が神エズス、我が神エズスよ。偉大なる汝の名のもとに、並び奉る神に我が声を伝えたまえ。深淵のグリズナス。我は、大海の恩命を受けし夫の恩寵を借りる。これを真炎の加護と合わせうねり、稀有なる奇跡の術をここに現す」

 ラナは、中空の杖を一つ手にすると、それに口付けをする。

 囁き、祈り、念じる。

「ヒューレス・ロメア・ルゥミディア」

 杖には、淡い光が白い熱と共に宿る。

 森の王と、隠れ名の英雄を冠した魔法。これはまさか。

「あなた、弓を」

 ラナからラウカンの弓を受け取り、魔法を宿した杖を番える。

 失ったはずの恩寵が、再び僕の腕に宿る。

 張り詰めた弓が、大きく反り、軋み、天を狙う。

「できるだけ、軍勢の中央部に杖を射ってください」

「任せろ」

 放つ。

 遠く、遠い軍勢に向かって杖が飛ぶ。放物線を描いて、軍勢の中央に突き刺さった。

 兵達の軽い注目の後、

 突発的に、大地から霧が発生する。

 ミルクのような濃霧が平原の軍勢を余すことなく包んだ。遠くからだが、人の混乱する悲鳴が聞こえる。

 不思議な事に、誰も霧から出てこない。

「三日三晩消えない霧の結界です。中に囚われた者は絶対出られません。外側からは干渉できますので、矢でも魔法でも、お好きなように」

「何という魔技か」

 陛下を始め、聖堂にいる皆が驚いている。

 僕も誇らしい。

「ラナ、この魔法はもしかして」

「はい、祖先ヒューレスが大蜘蛛を倒した時の魔法です。父から貰った叔母の遺品の中から、この魔法の再現方法を見つけました。でも、あなたが魚人と親交があったからこそ、繋がり使えた魔法です。つまり、半分はあなたの魔法ですよ」

「そうなのか」

 ヒューレスの魔法が魚人の力を借りたものとは。

 人の縁とは不思議なものだ。

 ゲトさんとの出会いから、ラナ達との出会いは繋がっていたのかもしれない。

「良し。ソーヤ、そして奥方よ。王城でゆっくりすると良い。最大限のもてなしを………アメリア!」

「はいはい、しますよ。致しますわ」

 もう好きにしてと、王女。

「良し! デュガン! 兵を整えるぞッ! まずは愚生に馬だ! 馬!」

「うむ。三日もあれば、奴らを好きなように包囲できるな」

「馬鹿をいうでない。真正面から叩き潰してやる。恥知らず共に諸王とはどういう者か、しかと刻んでやらねばならん」

「全く、仕方ない男だ。良いだろう任せる。お前さんの名前で兵を募って見よ。我が名馬も貸してやる」

 王二人は生き生きとして大変ご機嫌である。

 勝ち戦とは、やはり楽しいものなのだろう。

「陛下、及ばずながら僕も」

「そなたは妻を労え。命令だ。また、愚生より先に飛び出されても困る」

「了解です」

 ぴしゃりと参戦は断られた。

「奥方よ、しっかり手綱を握っておくのだぞ」

「はい」

 ラナが腕に抱き着いて来た。これを引き離して戦場に出たいとは、少し、思わない。

 陛下とデュガンが部下達を連れ立って、聖堂から出て行った。

 アメリア王女が、メイドを呼び出し、部屋の準備にはしばし時間がかかるとの事。

 寒風が吹き晒す、聖堂で待機。

「どうだ、凄いだろ?」

 マリアにラナを自慢した。

 ぐぬぬ、とマリアが悔しそうにしている。

「あなた、このミスラニカ様に似ているエルフは?」

「聞け、妾は――――」

 マリアの通信機がうるさく鳴る。

『不用意に正体を明かすのはよくない』

 トーチからだ。

 僕のメガネも通信を拾ってしまう。

「ぐぬぬ」

 子供っぽく悔しがり。ぱっと消えて逃げた。幼性と狂気が同居している変な子だ。

 部屋の準備が出来たので、メイドさんに案内された。部屋は暖炉があり温かく、ベッドも豪華で、タライにお湯も用意されている。

「では、必要な物があれば何なりと」

 メイドさんが一礼して去る。

 二人っきりになったので、その後、滅茶苦茶――――

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