2nd Season 20世紀最後の日

此処だけ読めば大丈夫!~これまでの邪神任侠~

【1st season あらすじ】

 薬剤師とヤクザという二足のわらじを履く男、香食こうじき禮次郎れいじろうは、道端で倒れていた少女クチナシを放っておけずに家まで連れ帰る。


 しかしその夜、禮次郎はクチナシに食い殺される夢を見る。


 恐怖を覚える禮次郎だったが、クチナシの生家での奇妙な体験や、彼が所屬する暴力団・清水会に関わる仕事で彼女が見せた活躍、献身的に働く姿に、次第に心を開いていく。


 そんなある日、彼は幼馴染であり、彼を人間不信に陥れた阿僧祇マリアという女性と再会する。彼女は禮次郎に対して憐れむような態度で逃げる事を勧めるが、禮次郎は恐怖心から、逆にマリアに対して戦う姿勢を固める。禮次郎の狂気に対して心配するクチナシを他所に、禮次郎はマリアの秘密と自らの過去を追いかける。その結果、禮次郎はマリアが旧き神を崇めるカルト教団“聖母教会”を率いて居ることを知る。禮次郎のトラウマになったとある事件も、実はその神の復活のための儀式の一つだったのだ。


 禮次郎は魔術師・佐々総介や幻想小説家・佐藤喜膳といった北海道土着の異能者達と時には対立し、時には利用し合いながら、清水会のコネクションと魔術への知識、そして何より禮次郎と共に何処までも行くことを決意したクチナシの支えもあって、禮次郎は正気の喪失と引き換えに、生身の人間のままで、邪な神々とその眷属を追い詰める狩人としての才覚を発揮するようになる。


 そして、すすきのに存在したマリア率いる聖母教会の拠点を潰したことで争いは本格化。禮次郎は部下を引き連れてマリア率いる函館の聖母教会本部へとカチコミをかけ、部下の全滅、そして愛するクチナシの死と引き換えに、外なる神“シュブ=ニグラス”として覚醒しつつあった阿僧祇マリアの殺害に成功する。

 愛する少女も、憎い女も、すべてを失い絶望する禮次郎だったが、シュブ=ニグラスを撃退する彼の働きに興味を示した“這い寄る混沌”ことニャルラトホテプなる神の気まぐれで、彼は再びクチナシと出会う。


 その代償として、禮次郎は救いなき暗黒の神話世界へと生涯を通じて挑むことを誓う。だが禮次郎には後悔も恐怖も無い。どれだけ人間らしい振る舞いをしたとしても、もはやそれを感じる正気は彼には無いのだから。


【登場人物】


香食こうじき禮次郎れいじろう

 サングラスとスーツと煙草がトレードマークの無愛想な男。クチナシの前では柔和な表情を見せる。

 デリンジャーとトンプソンコンテンダーを手に、北海道の各地で神話生物との戦いを繰り広げる。

 ヤクザとしての抜け目なさと薬剤師としての科学知識で、思いもよらぬ奇策を繰り広げ、神話生物相手の荒事屋として働いている。

 現在の主な顧客は古巣のヤクザ“清水会”と札幌を拠点にする魔術師達。


詞隈しぐまクチナシ

 禮次郎に付き従う少女。見た目は12~15歳程度。父親に魔術実験をされていたところを逃げ出し、禮次郎に保護された。その際に詞隈一族がかつて契約した旧支配者と呼ばれる存在を体内に宿している。

 禮次郎の影に隠れているものの、高い身体能力と知能を誇り、体内に埋め込まれた神話生物の力を使って戦うこともある。

 狂気に走る禮次郎にとって唯一安らげる相手。

 僕っ子。


阿僧祇あそうぎマリア

 金髪緑瞳の美女。シュブ=ニグラスを崇めるカルト教団“聖母教会”を支配していた。

 母がロシア人のハーフ。元より外なる神“シュブ=ニグラス”の化身であり、人間のことなど虫けらほどにも考えていなかったが、人間としての肉体を纏うことで思考を引きずられ、禮次郎に執着とも愛着とも言えない感情を持つ。

 最後はその感情を禮次郎に利用されることで、半ば自爆のような形で死を迎えた。


清水しみず龍之介りゅうのすけ

 北海道で暗躍する非合法組織“清水会”の組長。古風な任侠と見せかけて、老獪な悪漢としての一面も持っている老人。

 既に高齢だが、北海道に潜む異常な世界については少なからず知識があり、魔術師を組に招くなどして対策を図っていた。

 禮次郎の活動に手を貸しているのもその一環である。


佐々さっさ総介そうすけ

 医師。魔術師。様々な顔を持つ怪しい男。魔術師としての実力は圧倒的ながら、自ら動くことは殆ど無い。禮次郎にしばしば仕事を依頼する。三十代前半ながら、非常に若々しい見た目をしている。禮次郎とはかつて同じ病院で働いていた仲。


佐藤さとう喜膳きぜん

 人気小説家。あまりに優れた筆先が時として怪奇現象を起こす。禮次郎に弱みを握られており、事あるごとに渋々彼を支援している。

 精神は老人だが、現在は自らの末娘の肉体を奪い取っている。


有葉あるば緑郎ろくろう

 佐藤の弟子であり、若手の小説家。創作活動の一助として魔術を齧っている。阿僧祇マリアの事件に絡んで師匠である佐藤喜膳から便利に使われており、そこで知り合った禮次郎と奇妙な縁ができる。

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