おまけのぶんきるーと~ジャパ警のみんなでかいけつ!ばーじょん~
私はどうしよう。
ゴリさんからは時間まで会場の下見をするなりジャパ警の皆がいる控え室に顔出すなり好きにしろって言われたけど…。
「とりあえず久々にジャパ警の皆にも会いたいし控え室に行こうかな」
ゴリさんは確かPPPとは違う控え室だからくれぐれも間違えるなよコラ!って言ってたけどここかな…?ガチャ
「あっ!?デカ長や!!皆デカ長が来よったで!!」
「デカ長…久しぶり」
私を見つけるなり真っ先に駆け寄ってきたのはアマゾンツリーボアのアマボアとエメラルドツリーボアのエメボアの漫才デカコンビ。
「久しぶりねデカ長!元気そうで何よりだわ」
「まさかデカ長まで来てくれるなんて…今日は寂しくないね」
今度は私を取り囲むようにカモノハシの一球入魂デカとヌートリアのさびしがりデカのおとり捜査コンビがやって来る。
「デカ長もいてくれれば空の警備は万全ね!」
「そうね。鳥系のフレンズは私達以外いないから助かるわ」
「ジャスティスデカにスカイホークデカ…」
ハクトウワシのジャスティスデカとオオタカのスカイホークデカのふたりは、あぶないタカコンビを組んでいる一方プライベートでもスカイインパルスっていうチームを組んでいて何でもどこかのちほーで開催されたスカイレースでは一位だったとか。
このふたりがいるって事はやっぱり今回相当大きなライブなんだな…。
「う~う~う~!ドワーフサイレンのう~う~デカもいるでちゅ!」
「イルイルもいるいる~。…お久しぶりです、デカ長」
最後にやってきたのはドワーフサイレンのう~う~デカとダジャレデカことインドガビアルのイルイルさん。
「…それにしても凄いですね。ほぼ総動員じゃないですか?」
「PPPのジェーンさんには以前アイドルデカとして一日署長でお世話になりましたからね。今回の出動は彼女たっての要望です」
「なるほど…。そんな繋がりがあったんですね」
私がジャパ警を抜けて随分経つけど皆変わらず元気そうで良かった。
ちなみにインドサイの幻惑デカとオコジョのスケバンデカは本署の方でお留守番らしい。
そんなこんなで皆と思い出話に花を咲かせたりお互いに近況報告をしている時だった。
「皆大変だ!聞いてくれ!」
『えっ!?PPPのメンバーが喧嘩して一人行方不明!?』
「そうなんだよ!…ったく本番直前だってのに…」
控え室に戻ってきたゴリさんから告げられた衝撃の事実に私達は唖然としてしまった。
いや、正確には私“だけ”が唖然としていた。
「きたー!事件やでエメボア!」
「う~う~う~!事件でちゅ!」
「レッツジャスティス!早速捜索ね」
「ジャパ警あるところに事件あり!燃えてきたわ!」
先程の和気あいあいとしたムードから一変、皆が仕事モードに切り替わった。
そう、彼女達は警備が本業ではない。
事件が発生すれば解決し、誰かがいなくなれば捜す…このジャパリパークの平和と秩序を守る事こそが彼女達の使命なのだ。
「…よし!これよりここを対策本部とする!なお本作戦の指揮は全てデカ長が執り行う!」
「え、えぇ~…」
またゴリさん勝手な事を…。
そもそも私もうジャパ警じゃないんだけど…。
「まず行方不明になったのはPPPのメンバーのひとり、ロイヤルペンギンのプリンセスだ。マネージャーによれば大体の位置は把握してるらしいが問題は時間だ」
「確かにこれ以上お客さんを待たせる訳にはいきませんね」
「そこでだ!漫才デカ!まずお前達にはこれからステージで漫才をしてきてもらう」
「よっしゃ!任しとき!」
「…時間稼ぎという訳ね」
「あぶないタカコンビは空からの捜索、残りのやつらは私と来い!…デカ長、漫才デカの事は頼んだぞ」
「は、はい…!」
「よし、じゃあ行くぞ!」
『ジャパリ警察、出動!!』
~数十分後~
「ゴリさん達遅いな…」
ステージでは変わらず漫才デカのふたりが一生懸命お客さんを笑わせていた。
いつもはゴリさんに咎められて途中で終わってしまうネタも最後まで見れるというのは個人的には非常に嬉しい…のだけれど明らかに最初の頃よりネタのキレも落ちてきている。
どうしようこのままだと…。
ガチャッ!!
「すまん遅くなっちまった!!」
「…ゴリさん!?」
息を切らしながら控え室のドアを勢いよく開けゴリさんが入ってきた。
ダジャレデカとう~う~デカも一緒だ。
「良かった間に合ったんですね…!今漫才デカのふたりが…」
「いや~それがですね…」
ダジャレデカからの報告はあまり芳しいものではなかった。
なんでも行方不明になっていたプリンセスさんは無事見つかったそうなのだがどうもここから若干距離があるらしく到着までにはもう暫くかかるらしい。
「今あぶないタカコンビとおとり捜査コンビが誘導しているんだが…」
「で、でも漫才デカのふたりはもう限界ですよ…」
「ではここは一つ、私とう~う~デカのサイレンとダジャレコンビでサイレントギャグを…」
「やめろ。カオス過ぎる…」
その時う~う~デカのサイレンが控え室に響き渡った。
「う~う~う~!漫才デカのふたりからえまーじぇんしーこーるでちゅ!」
「…仕方ねぇ。デカ長!突入するぞ」
「…へ?突入ってどこにですか…?」
「決まってる!あそこだ!」
「あそこって………えぇっ!?」
ゴリさんが指し示したのは紛れもなくステージだった。
え?突入?
それってつまりゴリさんとステージに上がるって事…?
「おいう~う~デカ!漫才デカに撤退の合図を出せ!」
「分かったでちゅ!う~う~う~!」
「ダジャレデカ!例のアレ持ってこい!」
「はいただいま」
あああああぁぁぁぁ…何かどんどん話が進んでゆく…。
「ゴ、ゴリさん…いくら何でも無茶ですよ」
「確かにおふたりがステージに上ったら観客は何かの集会かと勘違いしちゃうかもしれませんね」
「あぁ!?誰もそこまで言ってねぇだろコラ!…それより例のアレは?」
「はい。こちらです」
そう言ってイルイルさんが持ってきたのは……鬼のお面?
「これは以前おとり捜査で使ったお面だ。メンフクロウが作ってくれたものだから顔がバレる事はまずねぇ」
「な、なるほど…これならステージに出ても恥ずかしくな…ってあれ?何で一つしか無いんですか?」
「あー…それがすまねぇ。実はこのお面一つしか無いんだ」
「……えっとつまり、このお面を付けてステージに出られるのはひとりだけ…?」
「心配すんな!お前のその面構えなら問題ねぇ!」
「え、えぇ~!!?!?」
そして後にこのふたりが伝説のアイドルユニット「お面女子」として密かな人気を集める事になるのはまた別のお話…。
ハシビロコウ「私とカワウソがライブ…!?」カワウソ「たーのしそー!」 こんぶ煮たらこ @konbu_ni_tarako
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