第2話 オレンジ色と白色

ある雨の日


自動ドアが開き、オレンジ色の彼が入ってきた。


「いらっしゃいませ」

私と目があい、彼は笑顔で会釈をする。


175センチくらいで、何かスポーツをしている体型。

30代後半から40代前半で、少し怖そうに見える。


「本日はどういったご用件でしょうか?」


「先日見せていただいたパンフレットの中に、欲しいものを見つけたので注文しにきました。今日はあなたが対応してくれるの?」


「はい、先日の担当は大田でしたよね?あいにく本日は営業に出ておりまして…」


「良かった。あなたと話したかったんです。」


「?」


どういうことなのか解らなくて首をかしげる私を、彼は優しい瞳で見つめていた。


少しの沈黙。


「これなんです。」

パンフレットを差し出されて我に返った。


「…あ、はい!確認いたしますね。」


パソコンを触る私の手元と顔を交互に見つめる。


「おいくつですか?」

注文の数量を確認したつもりだったのに

「40になりました。」の返答。


我慢できずに笑ってしまった。

「ごめんなさい、何個注文すればいいかなって聞いたつもりだったんです」


私の質問と自分の質問の答えがちぐはぐなことに彼は気付き、恥ずかしそうに

「2つ…おねがいします」と、笑顔で返してくれた。


可愛いな


見た目と違うその雰囲気が、私の興味を駆り立てる。


注文書に書かれた名前を見て、オレンジ色の彼が谷町さんだと知った。


「僕、近くでお店やってるんです」

良かったらきてください。


名刺を置いて、彼は帰っていった。

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7股【3不倫】 @tamatamaitadake

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