ステージ1-2
しばらくして、自宅へと戻ったガーベラは自宅のパソコンで先ほどの動画を探そうとしていた。
一体、リアルではどのように表示されていたのか――若干気になっていたのである。
しかし、タグ検索や投稿日検索等でも発見する事は出来なかった。
検索避けされている可能性はなく、単純に動画が投稿されていないだけの可能性が高いだろう。
「ARゲームの動画は、基本的に公開されているはずじゃ――」
ガーベラは思う。他のARゲームでも基本的にプレイ動画は投稿されているのが一般的だ。
実況者等の様な勢力もいるので、そうした部分を踏まえて色々と権利関係をクリアにしている可能性が高い。
それなのに――今回の動画は存在しなかったのだ。権利者削除された訳ではなく、普通に投稿が確認されていない。
「やっぱり、あれはロケテストの様な物だったのか――」
ロケテストに関しては特例として動画の公開をメーカー側にゆだねると言うルールが存在している。
実際にサービスを行うかどうかは、ネット上や実際にプレイしたプレイヤーの反応を見て決められるのがほとんどだ。
中には反応が良くなかったという事でサービス途中で打ち切りをするよりは、ロケテストの段階で打ち切りを決める場合も存在している。
その一方で、同じようなテンプレゲームばかりが出てきてもゲーム市場が盛り上がるかと言うと――疑問に思うのはガーベラも同じだ。
その一方で、ある人物は今回の動画が流出する事の意味を考えていた。
鹿沼零(かぬま・れい)、彼は一連の動画がネットでアップされる事は別の意味で衝撃を生み出すと――思っている。
『イメージギアの権利関係はクリアし、公式企画としては動いているが――あれだけの暴走を拡散されては――』
今回の企画はパワードこれくしょんではなく、イメージギアの開発メーカーとの協力によって実現した物だ。
その関係もあって、ネット炎上するような事は避けようと考えている。
しかし、保護主義的な方法やネット炎上を避ける為に様々な情報をシャットアウトしていては――過去の失敗例と同じ道をたどるだろう。
『あの動画がいい方向で拡散されればいいが、まとめサイトや芸能事務所は――それをよしとしない』
鹿沼は表情には出さないのだが、今回の件に関して苦悩していたのである。
情報をオープンにする事は、時としてパニックを起こす可能性を生み出し、それこそ芸能事務所が自分たちこそ神だと――。
『我々が求めるのはトップランカーであったとしても、拝金主義を連想するような芸能事務所の超有名アイドル商法のノウハウではない――』
芸能事務所のやり方は、拝金主義のそれであり――ARゲームにとっては、百害あって一利なしとも言える状況だろう。
彼は――そこまでしてARゲームのノウハウや技術等が広まるのを望んでいないのかもしれない。
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