イントロダクション2
拡張現実――AR、その技術をゲームに応用するのは分かりきっていた事でもあった。
これには海外も驚きの声を上げている一方で、仮想現実のVRとの差別化が課題の一つでもある。
しかし、ARゲームには危険性が存在していた。それこそが、あらゆる兵器にも匹敵するような大量破壊兵器への転用だ。
これが現実化すれば――間違いなく、地球終了待ったなしである。
それほど、ARゲームには賛否両論があると言っても過言ではない。
ARゲームが爆発的な人気で支持されていた訳ではなく、だからと言ってネット上のまとめサイトで取り上げられた訳でもなく――。
「このまとめ記事、所々が誤植だらけと言うか――」
晴天の草加市、コンビニの近くまで伸びた長蛇の列――それを見ていた一人の女性は、ふとつぶやいていた。
その行列は電機店の所で途切れているように見えるが、駐車場の車が通れないのを考慮して複数に列が構成されているようでもあったのである。
この様子を見るまでに彼女が先ほどまでチェックしていたのは、ARゲームに関するまとめ記事と呼ばれる物だ。
まとめサイトと言うと――大手芸能事務所が自分達のアイドルをタダで宣伝する為に活用したという話が存在し、それがきっかけで第炎上した事でも有名である。
こうした事件を『超有名アイドル炎上事件』と呼び、ニュースサイトで取り上げられるほどだった。
ただし、テレビでは取り上げた番組数が圧倒的に少ない。これが意味するのは? 答えは簡単だろう。芸能事務所が買収した可能性が高い事である。
「やはり、全ては足で確かめないといけないと言う事なのか」
身長170センチ、黒髪のメガネと知的な雰囲気を思わせるイメージがあるのだが――体格は見た目でぽっちゃりと言われそうな感じがした。
それに彼女の服装は胸の谷間は強調しないが、横乳がはみ出しそうな服を着ているのも、周囲の人物と明らかに違っていたのかもしれない。
彼女が並ぼうとしていた物は、最近になって復刻した『パワードこれくしょん』のチップである。
実際の事を言うと『イメージギア』のリメイクが『パワードこれくしょん』なので、ある意味でも『イメージギア』の玩具展開で再開すると言った方が早いのだろうか。
「それにしても、あの行列じゃあ――」
仕方がないので、彼女は別の店舗で購入しようと考えて、別のお店へと向かう事にした。
草加市内だけでなく関東地方で先行発売されている物なのだが、秋葉原等へ行っても時間的には間に合わないだろう。
オークションサイトの様な転売価格で手に入れるのもしゃくと言うか――色々とネットが炎上しそうなので、手を出すべきではないと思っている。
自転車で10件ほどは『イメージギア』のガチャと呼ばれる自動販売機を見つけたのだが――完売が多い。
他にも変身ヒーローやロボット、妖怪、萌えアニメのフィギュアと言った物は残っているが、これだけはどうしてもないのだ。
回数制限も無駄と言う状態――それ位に転売屋が入荷する店舗の情報を集めていた可能性も高いだろう。
それに、転売屋の目的は近い内に出る超有名アイドルのCDを大量に購入し、芸能事務所に大金を回すという――過去の事件を繰り返そうとするパターンだろうか。
『どこの世の中でもいる物だな――こうした悪質な転売屋は』
偶然、ショッピングセンターのARゲーム設置状況を視察していた鹿沼零(かぬま・れい)は、行列を作っている物の正体を知り――呆れかえっていた。
人気コンテンツであれば、転売屋が買い占めて高い金額で購入させるパターンが――と言うのはネット上でも問題視されている。
ソーシャルゲームでも廃課金やチートを使ったプレイが問題視されたように。
『あれは――?』
ARメットを装備している鹿沼の目に――自転車に乗った一人の女性が入った。
その女性は、『イメージギア』を買おうと様々な店舗を見て回っている人物もであるのだが――。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます