ガチャのチップでロボットバトル

アーカーシャチャンネル

イントロダクション


 約500年前に起こった人類殲滅戦――そこで使用された人類サイドの最終兵器が存在した。

 古今東西の英雄等の力を封じたチップから生み出されたそれは、襲撃者と呼ばれる謎の敵への切り札となっていたのである。

 殲滅戦から500年が経過した西暦2015年、現代になって復活したそれを、人は『イメージギア』と呼んだ――。

 君はパワードスーツや巨大ロボ等のガジェットを操り、現代によみがえった襲撃者を撃破し――世界を救う。

 その力を『イメージチップ』から解放せよ――襲撃者は『イメージギア』のみを狙ってくる。

『イメージギア』を使用するプレイヤーの中には、襲撃者ではなくプレイヤー自身を狙う可能性も高い。

 だからこそ――彼らと共に襲撃者を倒さなければ、未来はないのだ。襲撃者から領土を取り戻せ――プレイヤーたちよ!



 数年前に流行したソーシャルゲームである『パワードこれくしょん』は、2014年代にヒットした玩具をヒントにしてリメイクした作品である。

 しかし、二匹めのドジョウとなる事はなかったのである。そこそこのユーザー数を獲得し、プレイヤーの問題行動で炎上した訳でもない。

 最終的にユーザー数は100万人を超えたのだが――ジャンルがFPSだった事、それが大ヒットを阻害したとも言える。

 ソーシャルゲームと言う割には、課金要素は対人戦やオプションなどがメインであり、コレクション要素となる『イメージギア』は未課金でも揃える事は可能だったと言う。

 パワードスーツや武器をコンプリートするもよし、対人戦を極めるもよし――という路線だったのかもしれないが、この時のソシャゲは廃課金やコンプガチャの様な問題点もあったのは事実だろうか。



 元々の『イメージギア』は10年近く前にヒットしたコレクション玩具であり、それをリメイクしたのが『パワードこれくしょん』だったのである。

 当初は1万人がプレイすれば何とか利益が得られると考えていたのだが、予想外とも言える展開で100万人を超えるプレイヤーがプレイしたのだ。

 ネット上でのつぶやきでイメージギアを取り上げるつぶやきがまとめサイトで――と言うヒットの説もあるのだが、本来は違う可能性が高い。

 その時には擬人化作品がブームになっていた事もあり、その波に乗ろうと『イメージギア』をリメイクしようと言う話になったのかもしれないが。

 古今東西のパワードスーツやそれと連動したロボットを題材にする一方で、擬人化要素としてパワードスーツを装着した美少女等の要素を取り入れた。

 それこそ、擬人化ブームのテンプレを『イメージギア』に取り入れたと言うべきか?

 しかし、ソーシャルゲーム版は1年を持たずにサービスが終了してしまう。

 こちらも2匹目のドジョウを狙ったが失敗したと言う感じでネットでは炎上してしまったが――。



 パワードスーツのデザインは、それこそ絵師によって異なり、中にはロボットと思えないようなデザインもあったり、生命体に見えるようなデザインもあった。

 ミリタリー要素も踏まえつつ、多くのユーザーの支持を受けたのは――様々なデザインのパワードスーツを動かせるというのもあったかもしれない。

 実際の『イメージギア』がチップからガジェットを使用してロボット化する要素などは、リメイク版でも削られていない。

 その一方で、いわゆる擬人化に拒否反応を示す人間がいるのも確かだろう。

 結局――コンテンツ流通で炎上したりするのは宿命だろうが、それをサイドビジネスや芸能事務所のアイドルを宣伝する道具に使う事は許されない。



 舞台は西暦2018年――埼玉県草加市、近年ではARゲームを町おこしにしたりコンテンツ流通に新たなパイプを強化したり――色々と話題が多い。

 その一方で、ARゲームに対する関心を市民が持っているかと言われると――賛否両論なのである。

 確かにARゲームの利益が草加市の環境改善に使用されているというのは、市議会でも議論されている為に有名なのだが――。

「ネット炎上リスクに怯えて、新たな事業を立ち上げられないのでは――過去の事例の二の舞になります」

 市議会で今回の話題を取り上げたのは、40代にも見えるような外見の男性である。

 背広と言うか正装と言うべきなのか――さすがに、こうした場所でコスプレも問題があるので、していないだけかもしれない。

 周囲の議員も背広なので、それに合わせている可能性が高い。しかし、彼には周囲の議員と違う物が一つだけあった。

「しかし、君の行っている事が草加市の為になっている事は譲歩するが――こうした場でもメットは外さないのかね?」

 ある議員の指摘を受け、彼は被っていたSFチックなメットを脱いだ。

 このメットはARゲームで使用する専用のアイテムであり、ARメットと呼ばれている。

 拡張現実で作られたフィールドやガジェット、アイテムなどをみる為には必要不可欠のアイテムでもあった。

「これは失礼を――。しかし、このメットがなければ――ある物を発見できないので、身に付けている次第です」

 彼はメットを被っていた理由が、ある物を発見できないと言及するが、それで周囲の議員が納得出来ていない。

 隠しカメラや盗聴用ドローンと言う様な物もニュースで取り上げられるので、彼はそう言った物を発見する為にメットを被っていたのかもしれないのだが――。

「草加市としては、新たなARゲームを立ち上げる為のロケテストを行おうと思うのですが、その題材に――」

 鹿沼零(かぬま・れい)、彼は草加市のARゲーム等を取り扱うARゲーム課に所属している。

 実際にプロジェクトリーダーを任せられるほどの能力を持っていた為――いくつかの特殊な権限も認められていた。

 特殊権限の一つに、ARメットの着用と言うのがある。よほどの事例でない限りはメット着用を認められているのだが――。

「それを題材にするのは決定事項なのか?」

「個人的には芸能事務所のアイドルとのタイアップを――」

 様々な意見も飛び交うのだが、鹿沼がそれを曲げるつもりはないようだ。

 最終的には反対者も何人か出た物の――鹿沼のプロジェクトが草加市公認で動く事になったのである。

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