読み終えた後、涙を抑えることができませんでした。どこまでも清らかな愛、という、そのかなしさに。優しい兄、秀一郎と、純真な妹、恵子。深い絆を結び合う二人は、成長とともにそれぞれの心の形を少しずつ変えていき——。妹への、兄の思いの深さと、清らかさ。兄を慕う妹の、溢れそうな思い。そして、それぞれの思いが行き着く、この上なく美しい結末——。本当に人を愛するとは、こういうこと——。そして、その痛みが静かに心の奥深くまで染み込んでくる、限りなく美しい物語です。