第8話 夏祭りとハイテンション。③

「ユースケ、次は射的よ!あたしの超精密狙撃術を見せてあげるわ!」

金魚すくいのあとも色々屋台を回ったのだが、レイラは元気満タンだった。

「待ってくれ、少し休憩しよう。走りすぎて暑い」

「そう?あ、暑いならいいの持ってる!はい!」

そういって俺に手渡したのは…扇子だった。ここでいいセンスだな、とか言うのは古いし何故か言いたくなかった。

「扇子だな」

「そ、末広がりよ!」

「ってやっぱりハチじゃねえか!!!」

このハチ現象は夏の日射しのせいだろうか。今8月だし。それとも―――とそのとき、ドンッと空から力強い音が。

「あー!ユースケ、花火花火っ!」

「本当だ!たーまやー」

「かあああぁぁぁぎやああああああああああああっっっ!!!!!」

それただの汚ない悲鳴にしか聞こえないぞ。せっかくのロマンチックな花火が台無しだ。まあレイラにはロマンチックなんて言葉は似合わなか。花火のように美しいというより、花火のように爆発的に元気なレイラだもんな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

お嬢様と男子高校生。 折道 @orimiti1560

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ