第2話 追い討ち


橋田はあれから全くの連絡がなかった。

私に塾で会う前に、

塾講師のアルバイトも、

あれからすぐ辞めた。

私もその塾をやめた。


呆気ない恋だった。

しかも玩具にされた恋。

おそらく私は一生彼奴を許さないであろう。


晩御飯が終わり、兄が私に話しかけてきた。

私には兄がいる。

大学生で、橋田と同い年で、

C大学という、私立の大学に通っている、

わたし思いの兄だ。


「この前な、

K大に通っている、

高校のクラスメイトだった女の子と話したんだけど、

なんか、K大の一部の男子の中で、

女子高生を何人ヤレるかっていう、

ゲームが流行ってるらしいんだ。

お前は一応大丈夫だと思うけど、

気をつけとけよ…。

K大の塾講師とか前の塾にいたろ?」


ビクッと自分の体が反応した。

「あはは。

そんな私大学生とかと今もう接点ないし、

前の塾なんか、

講師と全然仲良くなかったから…

お兄ちゃん、心配しすぎだよ。」


嘘。お兄ちゃんごめん。本当は私は食い物にされた。

そのゲームというやらの1人のカウント数になった。



「だよな。ごめんなこんな話して。

あっ、もうすぐドラマやるわ。」


といって兄はリビングに消えた。


私は自室にこもってまた泣いた。


橋田とのあの電話の後、

私は声を殺して泣きまくって泣きまくっていた。


「畜生…」

呻き声のような、自分でも恐ろしく感じるほどの声で、そんな言葉を放った。


橋田の大学生での素性を追求したくて、

SNSなどを探ってみた。



何時間も探したら、

どうやら、橋田の裏アカウントらしきものが特定できた。

本名がユーザーネームになっているわけではないが、アカウントがいかにも橋田らしかった。好きだといっていた風景の写真が、

アイコンの画面に設定されていた。


だがしかし、鍵アカウントであったために、

K大の男子学生のフリをして、アカウントを作り、橋田にフォロー申請を送った。


すぐに申請は許可され、

私はとんでもないものを目の当たりにする。



女子高生達の裸体の写真の数々だった。


その写真達へのコメントには、


5人目〜〜!

J○サイコーーwwwww


いつに撮られたのか分からないが、

顔は写ってないが、私の裸の写真も載せてあり、


人生初!中出し!

妊娠したかもだってwwwww

シラネwwwww


あ、フォロワーさんで画像欲しい人言ってください。一枚五百円で売ります。

あ、一応これ本人に許可取ってますよ!w



と書いてあった。



人はショックすぎることに直面すると、

どうやら思考が停止するらしい。


私は机に突っ伏した。


数分して私はもう一度

「畜生…」と呻き声のように呟いた。


「絶対に復讐してやる。」

その時の私の顔は恐らく獣のような顔であったと思う。

理性のない、ただ怒りに任せた姿。


頭の中に浮かんだのは、復讐すること。

それだけだった。







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男の屍 九条馨 @kahokaori

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