国王生活2日目! 「まず、服を脱ぎます!」

国王生活2日目!


さて、2日目の俺はと言うと……

書いていた!

小説を書いていた!


これ程までに自身の書く小説を求めらた事はなかった。

しかもあのくそゲロ小説より面白いものなんて あおられて。

かつて無いほどの集中力と高揚感に包まれて、書いていた!!


昨日から一睡 いっすいもしてない!!


「うおおおお!」

今俺が書いているのは、壮大な物語だ。

永遠の命を持つ少年

悠久の時を生きる中で多くの人との出会いと別れ。争いの歴史、破壊と再生の物語。


これぞ全人類必読!あらゆる思想、宗教観を網羅している。まさに聖書と呼ぶに相応しい小説!

ちょっと手塚〇虫の火の鳥入ってるけど、まあこの国の人知らないし大丈夫だろう。


そして1000ページに及ぶ大作は完成した。


ちなみに何故かパソコンやプリンターは普通にあった。スマホもあるしテレビもある。言語はこの国のクヨム語がなぜか俺も読めたし、書けたし、話せた。

この国が高い技術力を持っているのか、はたまたご都合主義の産物なのか……


とにかく完成原稿を印刷して、まずは王宮のみんなに読んでもらった。


「……これは……なんか」

「うーん、そうねぇ……」

全員表情が穏やかじゃない。

「どうなんだよ?ハッキリ言えよ」


「……うーん、よくわからないなぁ」

「ちょっと難しいねぇ」

「なんとなくすごい話ってのはわかるケド…」

「そうそう、言葉が固いですぞ」

「じゃぁ、ジイサンはどう変えた方がいいんだってんだよ」


「コホン、そうですな、まずヒロインはロリで行きましょう!12才、いや10才!小学5年生!一番萌えな時期ですぞ!」


は?なにを言ってんだコイツ

頭おかしいのか?

ジイサンは続ける

「大体主人公が妻帯者、しかも妻は三十路とか、有り得ないですぞ!時代は萌え!ロリ!天然あざと可愛い女子が流行りですぞ!しっかりしてくださいよ」

……ダメだコイツ


「そうですよ、物語の基本はキャラクター、萌えでエッチなキャラがあればあとは適当でイイんすよ。シコル様は1人、部屋で籠ってモンモンしてるのにそんな事もわからなかったんですか?」

とキシデスまで……どうかしてるぜ!


「そうだよー!誰もおっさんの愚痴なんか聞きたくないでしょ!もっとロリ同士のイチャイチャ書いてよー!」


……そうか、俺の小説はおっさんの愚痴なのか……

「なぁ、俺その、萌えとかロリとか良くわかんねーんだけど……」


「なんと!そうでしたか!それなら私が教えてあげましょう!」

キシデスはなぜか目を爛々と輝かせていた。

「まず、服を脱ぎます!」

おい!!!


キシデスは全裸になった!

肝心なところは辛うじて隠しているが、男の裸など見たくない。

キシデスの体は、ソフトマッチョと呼べばいいのか、線が細い割に逞しかった。


「女性物下着を持ってこい!」

「はっ!」

そうしてジイサンが、持って来たのは真っ赤なランジェリーだった。

そしてキシデスはブラとパンツを身につけた。

「からの鎧!!」

下着姿の上から先程脱ぎ捨てた甲冑を身につけた。

「女戦士の標準的な衣装はこれです。下着アーマー。防御力など二の次。細く色白な体躯にかっこいい鎧。このギャップが萌えるのです!どうです?今からでもヒロインをこの格好にすればだいぶよくなりますよ!」


「いや、ロリじゃ!ヒロインはロリ!ランドセルに武器をしまうのじゃ!」

いつの間にかジイサンは小学校の制服に身を包み、黄色い帽子をかぶり、ランドセルを背負っていた。


「下着アーマーだ!」

「ロリだ!」

「ケモ耳だ!」

「エルフお姉さんだ!」

みんな口々に自分の好みのキャラを言って、王宮はコスプレ会場と化していた。


「……そうか、よくわかったよ。お前らみんなバカなんだな。あのバカ小説におかしくなっちゃったんだ。」

「……はぁ」

俺はため息をついてこの国の情勢を憂いていた。この異常な国民性を変えるべきか、俺が合わせるべきか……

そもそも真面目に国王なんてやってられるか……


……どうする!?

俺!

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活字中毒《ビブリオフィリア 》のアンチテーゼ【オレが異世界転生されて、小説書いて、次期国王に!?】 クレイジーメガネックス @crazy_meganex

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